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ギノとラルクの二人組が屋敷にやってきた日の翌日。
何やら屋敷全体が騒がしいと感じた私は目を擦りながらベッドから降りて、身支度を整えて部屋から出た。
すると、バタバタと慌てていたメイドの中の一人が私の存在に気付くなり彼女の近くで慌ただしく何かをしていたウルラという割と私と仲のいいメイドに声を掛けた。
「ウルラ!お嬢様をめかしこんで差し上げなさい!!」
途端に大きな声でその言葉に返事を返したウルラはそそくさと荷物を置いて、私の元へやって来るなり私を再び部屋の中に押し込んで部屋のクローゼットの中にあった私の瞳と同じ赤い色をしたドレスを取り出すなり私にそれを着せ始めるではないか。
私はいそいそと自身を着せ替えるウルラに何故こんなことをしているのかと問い掛ける。
すると間を開けず彼女はこう言った。
「実は本日、奥様の妹君であらせられる現国王の妹君のミリアーナ様がこの屋敷に来られるんです!」
ここで私はふと自身が記憶を思い出す以前に何度か会ったことのあるミリアーナ叔母さんという人物のことを思い出した。
ていうか、ミリアーナ叔母さんと言えば攻略キャラのカインの母親ではなかっただろうか。
私は自身の脳裏に浮かんだ「うふふっ」と若干黒い笑みを浮かべるミリアーナ叔母さんを思い浮かべながらげんなりとした表情を浮かべる。
そうだそうだ、そういえばついでに私の記憶にあるミリアーナ叔母さんはフォリナ嫌いなフェリナ贔屓な叔母さんだ。
まあ、フォリナを嫌ってる理由は言わずもがな記憶を取り戻すまでの私が叔母さんの目の前でも何時でも何処でも関係なく我が儘を言うのは当たり前のこと、フェリナの事を引っ叩いたりしていたからだ。
いやぁ、取り敢えず私が私になる前の面食いな私を叔母さんは知っているだろうからカインは連れて来ないとして今の私は彼女の目にどう映るのだろうか。
私はそれに怖々としながらウルラに髪の毛などを整えてもらう。
すると、暫く悶々と『体調不良と言って部屋の中で過ごしてはダメだろうか』なんてことを考えている内に何やら私の淡い金色の髪がいつの間にやらふらふわとしたポニーテールになっているではないか。
私はこれはもう叔母さんの目の前に行くしかないと腹を括ってウルラを連れながら部屋を出る。
「ウルラ、ミリアーナ叔母さんが屋敷に来るのはいつ?」
「恐らくあと三時間ほどですかね?」
「そう、なら私は朝食を食べたらそのまま図書室にいるから悪いけど叔母さんが屋敷に着く数十分前に私の事を呼びに来て頂戴」
「分かりました!」
私は軽くガッツポーズをしながら「十分前にお嬢様を呼びに行く、十分前にお嬢様を呼びに行く」と自身の背後で繰り返す彼女にクスリと笑う。
「お願いね、ウルラ」
「はい!」
何はともあれこれで暫く現実逃避という名のまた今度ノアナに貸してあげる本の選別が出来る。
私はそう考えながら背後で張り切っているウルラに「朝食を取ってくるわ」と言って、朝食を食べに向かった。




