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取り敢えず、ノアナと知り合ってから彼女に思うことをひとつ言わせて欲しい。
あの子基本的にはいい子なんだけどアイザックが絡んだらめちゃくちゃ恐ろしい!!
いや、普通にフェリナとレインと一緒にいる時や二人がいなくなった際にノアナと二人きりになったりしても普通に話すし、話してて楽しいのは楽しい。
けどそこにアイザックが入って来て、私に話し掛けたりしてきた瞬間にその楽しいという気持ちが一気に恐ろしいに変換される。
あの子本気で人を殺せそうな目をしてるよ。
で、何故か私とアイザックが会話してたら射殺さんばかりの目で見てくるのにフェリナとレインがアイザックと話してても二人にはそんな目を向けないんだから私的には「何故っ!?」と叫びたくなるよね。
まあ、アイザックとあんまり関わらない限りはこちらに何の影響もないからいいけど。
なんて私は考えながら何やらアイザックに色々と教えて貰っている妹と幼馴染みをノアナと眺めながら二人で会話をする。
「それにしてもアイザックって物知りね。それに教えるのも上手みたいだし」
「兄さんは昔から勉強も剣術もとても頑張ってる人ですから。それに物事を教えるのに関しては私がよく色々と聞いてたからもあるのかも知れないですね……」
「あら、じゃあ彼のあの人に物を教える時の上手さはノアナのお陰なのね」
途端に私の言葉に不思議そうな顔をして小首を傾げるノアナ。
「何故そうなるのですか?」
「え、だって人に物を教え慣れてるからこそああやってどう説明したらいいか理解してるってことでしょ?つまりはノアナが色々聞いたおかげで他人にどう物事を説明したらいいかアイザック自身が理解してるってことじゃない。だからノアナのお陰ね」
「私のお陰……」
すると、ノアナは小さく私の隣でそう呟いたかと思うとクスクスと何故か笑い始めた。
この時いきなり笑い始めた彼女に私はほんの一瞬顔を引き攣らせたものの、次に彼女が私に問い掛けてきた質問を聞くなり思わず私は微笑みながら頷いた。
「フォリナ、私は兄さんの為に何かしてあげられると思いますか?」
「えぇ、勿論よ」
「じゃあ、例えば何をしてあげられると思いますか?」
「そこにいるだけでいいわ」
「え?」
ノアナは再び私の言葉に不思議そうな顔をし、私はそんな顔の彼女から視線をフェリナに移して口を開く。
「これは私の意見なんだけど、アイザックもきっと貴女っていう大切で可愛い妹がそこにいるだけで沢山の力を貰っているのよ。だから貴女はそこで元気に笑って彼を迎え入れてあげるだけでいいのよ」
「……そういうものなのですか?」
「少なくとも私はそうね。なんならアイザックに聞いてみる?」
私は一度ノアナの方を向くと、クスリと笑ってアイザックを指差す。
けれど、彼女は首をゆっくりと振るなりこう言った。
「いいえ、信じます。なら私は毎日兄さんに笑顔を向けないと!」
グッと目の前で両手を握ってガッツポーズをする彼女、私はそれが面白くてフェリナにするように彼女の頭を撫でてやる。
「ふふっ、頑張って。応援するわ」
「フォリナの手って兄さんの手によく似てますね」
「お互いに妹っていう手は掛かるけど可愛い子達の面倒を見ていからかしらね?」
クスリと私が笑えばノアナも私同様に笑う。
すると、そこへ先程まで何かを教えて貰っていたフェリナとレインと共に二人に何かを教えていたアイザックがやって来た。
「フォリナも向こうで本読もう!」
「フォリナが好きそうな本があったよ」
私の両脇であれこれ話し掛けてくる二人と、そんな二人に挟まれて困惑する私を見て笑うテペルギュウス兄妹。
「本当に三人は仲がいいな」
「あら、兄さん。私達も仲良しでしょう?」
「ははっ、そうだな」
私は兄であるアイザックに頭を撫でられで心底嬉しそうに笑う彼女を見て軽く笑うと、そのまま両脇にいる二人の頭を優しく撫でて落ち着かせることにした。




