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私って悪役令嬢じゃなかったの!?   作者: 花咲千之汰(はなさきちゆた)
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あのギノとの会話から約一週間が経った。


そして、この七日間の間に私は夜にギノとちょこちょこ顔を合わせては彼に礼の品であるお菓子の詰め合わせを彼に渡すと同時に、毎晩彼にケーキやら何やらをその場で食べさせてあげたりしている。


まあ、この餌付けのような行為に関してはこれからも続くであろうし色々と美味しい物を彼に食べさせてあげようではないだろうか。


私はそんなことを考えながら馬車に揺られながらボーッとする私の目の前で何やら会話をしているフェリナとレインを横目に、私達はアイザックの屋敷へと向かう。


ノアナ・テペルギュウス。


彼女とは今日初めて対面する訳だが一体どういう子なのだろうか。


私のよく知る彼女は学園内で基本的には大人しく過ごしているのだが、兄に近寄る人物が現れると花瓶を床に叩き付けて暴れたり、兄に近寄った人物の目の前で「兄さんに近寄らないで!」なんて叫びながら咳き込んでその場で蹲ってしまうような子だ。


もしも、現段階でもそのような状態であるとしたら何となく個人的に恐ろしく思ったりするけどまだ彼女も私達とほぼ同い年だと言うならばまだあの性格になるには猶予があって欲しいと思う。


と、そうこう思っているうちに彼女の部屋に着いたようだ。


私は目の前でコンコンと部屋の扉をノックするアイザックと部屋の中から聞こえてきた「どうぞ」の言葉を確認するとアイザックがゆっくりと開けた扉の向こうでこちらを見ている少女に向けて笑顔を浮かべた。


「初めまして」


すると、ベッドの上で可愛らしく微笑んだ少女もまた私の言葉に同じく「初めまして」と言ってきた。


まだ安心は出来ないがそれなりに落ち着いた子のようだ。


私は部屋の中へ進むアイザックと同じく彼女の部屋に足を踏み入れつつ、背後から近寄って来るなり自身の両腕に腕を絡ませてきたフェリナ達に首を傾けながらノアナに自己紹介を始める。


「改めて、フォリナ・ヴィンセントです。よろしくね」


「フェリナ・ヴィンセントです。よろしくね」


「レイン・キャメロットだよ。よろしくね」


ノアナは一度こちらを見てい微笑むアイザックを横目に見たかと思うと、すぐさまこちらに目を向けて同じく頭だけを下げて自己紹介を始めた。


「ノアナ・テペルギュウスです。兄から話は聞いてます、これからよろしくお願いしますね」


ふわりと花のように微笑む彼女。


だが如何せん目の奥が笑っていないような気がするのは私の気の所為だろうか。


それに何だか私の両隣の二人から冷たい空気も感じられる気がする。


けれどそれも束の間。


ふとほんの一瞬だけノアナはフェリナとレインに目を向けるなり軽く目を見開いたかと思うと、以外そうな顔をした後に本当に笑ったのだ。


「ふふっ」


それから本当に少しの間ではあるもののクスクスと笑ったノアナは私たちを見ながらこう一言呟いた。


「本当に面白そうな人達ですね」


この際、アイザックと顔を見合わせて首を傾げたのだがノアナとフェリナとレインの三人は何やら意気投合したようなのでまあこれはこれでいいとしよう。


私はそのままノアナに話し掛けに行った妹と幼馴染みを軽く見送ると、隣にやって来たアイザックの「何だか分からないが仲良くなれたみたいでよかった」の言葉に頷き返すとふと感じたノアナからの冷たい視線に慌ててアイザックから離れて楽しそうに会話する三人の元へ歩き出したのだった。



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