17
二人が手当を終えた後に私達の元へやって来たのはアイザック少年。
彼は私たちの目の前に来るなり静かに頭を下げた。
「さっきは君達を守ることが出来なくてすまなかった。あと、助けてくれてありがとう」
真剣な顔をしてそういいながら頭を下げ続ける彼。
すると、私の両隣にいたフェリナとレインが自身の体の前で手をブンブンと振りながら否定の言葉を口にした。
「べ、別に気にしないでいいですよ。私達のことはフォリナが助けてくれましたし!」
「そ、そうだよ!それに君も僕らを助けようとしてくれた訳だしありがとう!!」
そして、そこで少しだけほっとした様子で顔を上げた彼に私は笑顔で頷いた。
「二人もこう言ってることですし頭を下げる必要は無いですよ。それに、貴方を助けたのは私ではなくギノですから礼なら彼へお願いします。それよりもこちらこそ二人を助けようとして下さりありがとうございます」
軽くドレスの両端を摘んで膝を折れば、あたふたとしながら「そんな事しなくても!」と子供らしい表情を見せる目の前の彼。
私はそれに微笑ましい目を向けながら、改めて自己紹介をしてきた彼に自己紹介を返す。
「改めて、アイザック・テペルギュウスだ」
「改めまして、フォリナ・ヴィンセントです」
途端にそれに続いて自己紹介をする妹と幼馴染み。
と、ここで思ったのだが登場人物にはほぼ関わることは控えようと思っていたにも関わらず普通に仲良くなってしまったぞ。
この際思い切り内心で『やってしまった』と思った私。
でも、まあ仲良くなれるならなれるで仲良くしておけば私の死亡回避には繋がるだろうしいいや考えた私は悪くない。
私は何やら目の前でフェリナがアイザックを褒めるのを見ながら『そういやアイザックの初恋相手ってフェリナか』なんて考えながら手に持っていたグラスに口を付ける。
ゲーム内では確かアイザックの初恋相手が自分が救った少女であるフェリナで、彼女に恋した理由は自分とは異なるその明るさに惹かれたからだったっけ?
で、初恋相手ができたのは言いもののそれからその初恋相手の少女とは会うことなく学園で再会するもののフェリナは彼を覚えておらずって感じだったと思う。
私は頭を捻りながらゲームのことを思い出す。
まあ、取り敢えず現段階では多分ではあるもののフェリナの明るさを存分に感じているであろうアイザック。
私はフェリナとレインと楽しげに会話するアイザックを眺めながら笑う。
すると、パチリと目が合ったかと思うと迷いなくこちらにも笑顔を向けてくる彼。
だがそれもほんの一瞬のこと。
お互いに笑顔を向けあった瞬間に私達の間に入ってきたのはフェリナとレイン。
私はニコニコと私の手を取って「ケーキ取りに行きましょ!」というフェリナに手を引かれてケーキのある場所まで歩き出す。
「あ、僕チョコケーキね!アイザックは?」
「俺は甘いものはちょっと……」
「えー美味しいに勿体ない。取り敢えず、フェリナとフォリナよろしくね!」
私はブンブンとこちらに手を振るレインとその隣で困ったように笑うアイザックにフェリナと共に手を振ると、そのままレインの言っていたチョコケーキを取りに向かった。




