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第1話 5歳で家を破門になる

初めまして作者です。この小説を見ていただきありがとうございます。

長年小説家になろうの読者を続けていましたが、一念発起で作者になってみました。至らぬことが多いと思いますが温かい目で見守ってください


「ルーク、お前を破門とする。今日中に荷物をまとめて出て行くのだ」

日頃から城の一室に閉じ込められ、他者との接触の一切を許されていなかったルークが、

家門の当主であり実親でもある父親に約半年ぶりにかけられた言葉は非常に辛辣なものであった。


「ち、父上様。僕が何か御気に触られるようなことを…」

「ルークよ、誰がお前の発言の許可をした」


言葉を遮られ無造作に手鏡がルークの足元に投げられる。

「鏡を見るのだ」

足元に転がった鏡を丁寧に拾い自らの姿を映し出す。

5歳の少年であるルークの顔は、自身では気づいていないがとても美形であり、とても汚れたボロ雑巾の様な服以外に特に変わった様子はなかった、ただ数点を除いて。


「言わなくてもわかるだろう、お前はこの家にいてはいけない存在なのだ」

「……はい」


ルークは認めざるを得ない状態に顔を伏す。

すると、父親の横にいた母親が初めて口を出した。


「ねえ貴方様、やっぱり追放なんて甘いんじゃないですの?」

「……なに?」

「もしこの恥晒しの息子の汚名を世間から完全に消すには、やっぱり処刑が最も有効なんじゃないのかしら」


母親の顔には一切の迷いもなく、冗談も見受けられないその言葉に、ルークは初めてこの事の重要性を理解する。


「いや、それはしないと会議で決まったであろう」

父親が否定をしたせいか、母親の態度が目に見えるように悪くなる。


父親はそれを察したのか機嫌を治させる様に、

「まあいいではないか、どうせ郊外に置いてくれば5歳の子供1人なんてすぐに魔物に食べられてしまうさ、わざわざ我々の手を汚す必要はないだろう」


それを聞き、少しは機嫌が良くなったのか母親は無言で頷く。


「ではルークよ、お前はこの時をもってメラニール家から除外する。今後一切の我が家門との関係、及び我が家門と名乗ることを禁じる。夜10時に裏門に馬車を用意する、それまでに荷物をまとめておけ。」


そう言い放つと父親は出て行けと促すように顎で合図を送る。

しかし、ルークはそこから動こうとしない。

「は、発言をお許しください父上様。」

ルークは恐る恐る顔を上げて父親に発言の許可を乞う

「父親ではない、メラニール公爵だ。……そうだな、1つだけ発言を許す。手短に話せ」


ルークは真っ直ぐと父親を見て、躊躇いもなく答える

「はい、僕を殺してください」

父親は驚いたのか目を大きく見開く、しかしすぐに表情は真顔に戻り、すっと台座から降りてルークの元へ一直線に歩み寄る。


ルークや近くの親衛隊、メイド達も突然の家主の行動に誰も動くことができずただ目で追うのみであった


ルークの目の前に立った父親は、大きく腕を振りかぶ

りルークの腹部にパンチを食らわせる


殴られたルークは勢いもそのまま大きく後ろに吹っ飛び扉を破壊し地面に倒れこむ。

そして、しばらくの沈黙の後真っ先にルークの元に駆け寄る者がいた


腹違いの同い年の妹のセルビアである。

「兄上…兄上!平気ですか?大丈夫ですか!?」

セルビアは倒れて意識が朦朧としているルークを大きく揺らす。


ルークはやせ我慢であるが、妹の心配を解消させるために平気であると微かに頷く

セルビアは頷いたのを見るや否やルークに抱きつき大声で泣き出した。


ルークが久々の人の温もりに幸せを感じ浸っているのもつかの間、台座にいた母親がセルビアの元に駆け寄り手を引っ張りルークと引き離す。


「セルビア!そんな汚いもの触ってはダメでしょう!病気が伝染するかもしれないわ!」

発狂にも近い母親の言葉に、唖然としたセルビアは泣き止む。


充分にセルビアとルークの距離を開けた後母親はルークを見下ろす。

その目はゴミを見るようなものに近く、感情に暖かさなどは一切なかった

「……この悪魔の生まれ変わりが……」

ぼそっと母親が呟く。


気がつくと父親も横にやってきていた

そしてしゃがんでルークにしか聞こえないように話しかける


「そうだ、いいことを1つ教えてやろう。お前の大好きな実の両親を殺したのはこの私だ」

ルークはその言葉に驚く。自分が聞かされていた死因と大きく違っていたからだ。


「は…は……うえは…びょ…うしじゃ…」

肺に激痛が生じて、力が入らない中ルークはそう教えられていた母の死因を呟く


その驚きがまだ消えぬまま父親が続けて話しかけてくる

「ああ、あの女か、あの顔は笑えたな!死に際に俺にこう言ってきたんだ、『息子を、ルークを守ってくれ』とな。自分の命の危機がわかってないバカでなぁ!」

もはやひそひそ声ではなくなっていた父親の言葉がルークの胸に大きく突き刺さる


荒げていた声のトーンが急に落ち、

「憎いか?悲しいか?悔しいか?この俺が、我々家族、いや家門が。それならいつでもかかってこい。その時にお前の願い通り殺してやろう」


ルークは意識が飛びそうな中、家族を凝視し続ける。この時、この瞬間を忘れないためだ。


しかし先ほどのダメージは大きく、

意識が遠のくのはそう時間がかかるものではなかった

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「ルーク、こっちへいらっしゃい」

「どうしたの母様?」

「ちょっとお母さん顔を怪我してしまったの、見てくれないかしら?」


そういうとベッドの上で座っていた母上はルークを抱っこしベッドの上に持ち上げる


「どこー?」

心配したルークは母の顔を心配そうに見つめる

すると母上は急にルークの頬をまるでお餅のように両手で揉みほぐす


「嘘よー!相変わらず柔らかくて触り心地がいいわね〜。まるでお餅みたい、食べれるのかしら」

そういうと母上はルークの頬をぱくっと食べる素ぶりをみせる


「やー!母様だめだよ〜、苦しいよ〜」

「あはは冗談よ、心配してくれたのかしら?」

「し、してないもんね」


ルークは母にからかわれていたことに気付きプイッとそっぽを向く。不機嫌の合図だ。

すると母上がルークをぎゅうっと抱きしめる。


「これで、許してくれたかしら?」

「うん!」

久々の抱擁にルークは嬉しさがこみ上げる、同時に母の体調が良いことを察する


「母様!僕ね、今日新しい絵本を持ってきたのです、読んで下さい!」

母はにっこりと笑顔をルークに送る

「いいわよ、どれどれ昔々、ある所に王子さまと………………

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