第1章 〜洗礼〜
裏口を出ると500m先ぐらいの所に町はあった。
周りを城壁で囲まれていて結構大きな町だ。
これならすぐに着くな。まぁレイ姉ちゃんを驚かそうか。
「レイ姉ちゃん、ちょっと練習中の魔法があるからそれの練習がてら町に行ってもいい?」
「いいけど、何をするの?」
「浮遊魔法!」
そう言って俺の足元に見えない壁があるようイメージして、無属性の魔力を練る。
そこからジャンプをしてみたり歩いたりするとそのままどんな高さでも移動出来ることがわかった。
壁は自然と俺の足元から離れず、ずっとついてくるようだ。
これは出来るものだと思っていたためそんなに驚かない。
問題はスピードだ、俺自身の足の速さでしか動くことができない。浮遊魔法とはまた違う気がする。
しかしイメージが出来ないため今はこの方法でしか空は飛べない、もしも飛ぶ魔物などが出てしまったら対処しづらくなってしまう為、早急に浮遊魔法を完成させる必要があるだろう。
「へー、ノートの浮遊魔法はそんな感じなんだ…」
「え?レイ姉ちゃんは飛べるの?」
「もちろん!
…我にまとうは風、潤沢なるそのみを彼方へ届けよ」
これが詠唱なのか…
そう思っているとレイ姉さんの周りに風が集まりだす。
「フライングロータス」
その瞬間俺の浮遊魔法とは違う、まさに俺が目指している浮遊魔法を発動させたレイ姉ちゃん。
完全に宙に浮いている。俺の魔法は宙に"立っている"だったが、レイ姉ちゃんはフワフワとその場に浮いている。
そして上へと上昇すると俺を見下ろすかのように上空を一周し始めた。
ロータス…確か木の実だとかそうゆう意味だったと思うが、潤沢なる実って事か?
語呂はいいけどつまりは
飛ぶ木の実…自然の摂理みたいな魔法名だな…
「はい、これが普通の魔法よ。こうやって詠唱をして、呪文を唱えれば魔法が発動されるのよ」
「さすが勇者だね!ちなみに今のは風魔法だったと思うけど、どの属性になるの?」
「草の属性よ。魔力を高める事で草の属性で木を生やしたり、風を起こしたり出来るの。他にも水なら氷、火なら爆発とかね。ノートの使った回復魔法は、光属性を聖属性の力に変えたのよ。」
「なるほど…例えばだけど、火と雷を合わせる事で雷をまとう火とかは出来るの?」
「うーん、難しいと思うわ。私は草と光、ママは水と光、といったように殆どの人が1属性か、2属性しか魔法を扱えないの。それに練り込む魔力は集中しても1属性ずつしか出せ無いと思うわ。
でもノートの"魔法作成"があれば合わせる事は難しくともそれに類似したものは出来るかも!」
「それじゃあやってみるね!」
「火と雷?」
「うん、火と光の属性を練ればいいんだよね?」
「そうだね。ノートは火と光の属性が使えるんだ…」
「いや、全属性使えるよ。」
「え…?」
とフリーズしてしまったレイ姉ちゃんはほっておいて
火の玉の周りに雷が走るようにイメージをしてみる
赤い魔力の周りに白い魔力で包むように…
そして魔力を込めすぎず少な目に…
…出来たな。
青白い炎の周りに黒い稲妻が走っている
雷をまとう火の玉の完成。
「よっ!」
切り株に向かって投げてみると
当たった瞬間、切り株全体に稲妻が走り、燃え始めた。
「ノートって本当規格外ね…全属性が使えるだなんて、フルエレメントの魔法使いなのね。」
全属性だから"フル"なのか?
「あ、火事になっちゃうから消さないと!」
そして多めの水を生成し鎮火した。
イナズマ…ファイア…ボルト…火炎…うーん。
そろそろ魔法に名前をつけていきたいんだが…
「フレイムボルトって感じね!燃え盛る稲妻!なんとゆうか、ノートには驚いてばかりだわ。」
「フレイムボルト…うんそれでいいや」
「あ、魔法の名前?それでいいの?」
「うん、適当で!」
名前なんて呼びやすければなんだっていいよな。
魔法の練習をしながら町へと向っていたためだいぶ時間がかかってしまったが、やっと町の門へと着いたのであった。
門といっても入場制限もなくただ門番が居るだけであった。立ちながら寝ているが…
「この辺りは魔物も少ないし、町は平和だからと門番はいつも寝てるだけね
まぁ仕事といったら夜に門を閉めてるぐらいじゃないのかしら」
と笑うレイ姉ちゃん。
ずっと立ってるのは辛いが随分と楽な仕事だな。
俺たち2人は真っ直ぐ教会へと向かう。
町に入ってすぐに見えた為場所はすぐにわかる。
そうして着いた教会で職業を得る事にする。
「勇者様!そちらの方は?」
「弟です。洗礼を受けに参りました。」
「そうですか。それではこちらの水晶に手をかざして名前を言ってください」
そう言ったシスターの見た目はレイ姉ちゃんと同じぐらいの歳でなんとゆうか、シスターの服装では無い気がする…
普通に谷間を晒しているがこれが正装なのか。
「ノーティラス・アルバスト」
そういうと水晶が光りだし、その光がポケットにあるステータスボードへと当たる
「これで完了です。ステータスボードに反映されたと思います。経験を積んでいく事で職業は上位職へと変わりますが
ご自身での変更は不可能です。」
そう言われてステータスボードをみると
LV 15
職業 不明
HP 1500 MP 100000
攻撃力 120 守備力 120 魔力 9999 敏捷 300
運 100
ユニークスキル
神聖剣(特定の武器を持つと神のご加護を得る)
魔法作成(再現可能な魔法であれば作成可能)
誰が為に(他人へと力を貸すときその本領を発揮。全能力向上、守りたい想いによりその上昇幅は大きくなる)
スキル
全耐性
MP超回復(毎秒5000)
剣神
武神
痛覚緩和 LV5
家事 LV10
敵探知(敵と認識するもの限定)
成長期
だいぶ変わったようだ。
全耐性向上が全耐性へと変わったな…
MP超回復はただ名前が変わっただけか
剣神と武神は神界でやったからだろうか
成長期…まぁ確かにそのぐらいの歳だがスキルになるのか
「あれ、職業不明ですか?おかしいですね…必ず何かの職業についているはずなのですが」
ニートって事ですか!?職業ないって無職…ニート真っしぐら!
「でもまだこのステータスボードも分からないことが多いですし、もっと高級なステータスボードで調べたらわかるのではないですかね!」
安物と高級なものとあるのかよ…
「おや?ご存知では無いのですか?王都、アレスタシアの冒険者ギルドでBランク以上の方は貰えるそうですよ!なんでも今までうつらなかったスキルとかが見れるそうです。
それならまずは冒険者ギルドに登録してランクを上げるしかないな
この世界には冒険者ギルドがあって、依頼を受けて達成する事で報酬がもらえるシステムとなっている。
誰でもどんな依頼でも出せることから仕事は有り余ってるそうだ
魔獣退治はもちろん、採取クエスト、さらには掃除、洗濯、マッサージといったようにもはや冒険者に関係の無いものまでも依頼が殺到する
Fランク冒険者はそういった雑用をして信頼を得てランクを上げて行くらしいが、昇任試験なるものを受ければ案外簡単にあげられるらしい。
「それではまずこの街のギルドに登録していきますね!」
「あなた様お2人に神のご加護があらんことを。」
えーと、神聖剣のスキルですでに神のご加護があるんだが…
まぁどんな武器を手にすればいいのかわからないけども
「ノート!ステータスはそんな変わってないはずだしさっさとギルドにいって冒険者登録してこよっ!?」
「うん。わかった!」
あまり気にせずギルドに足を運ぶのであった。