第1章 〜家族、そして力〜
目の前に見えるのは木製のログハウスのような家だった。
外には洗濯物が干されていて下着の様なショートパンツが何枚かある。
元の世界でいうブラはそこには見当たらない
日本では女性用の下着が干されていれば女性が住んでいる
トランクスやボクサーパンツが干されていれば男性が住んでいる、と常識の様になっていたが
目の前には白のショートパンツ…
男性とも女性とも見分けがつかない。
この家はそもそも人以外が住んでいるのかと考える。
そんなことを考えていると
「ノート!!どこ言ってたの!」
と声が聞こえた。
ノートとは俺の事であろうか…
恐る恐る声のした方を向いてみる。
目の前にはスタイルが良く、ほとほどに大きい胸を持ち合わせた赤髪のショートの女性が立っていた。
年齢は15歳ぐらいだろうか…
自然と胸元から見える谷間へと目線がいってしまうのを我慢する。
「ママも私もノートが帰ってこないから心配したのよ?」
とゆうことは俺の姉であろう…
「ね…ねえさん、ごめん」
「姉さん?いつもはレイ姉ちゃんって呼んでくれるのに」
やべ……
まてよ、とゆう事は酷い言い方をすれば俺は10歳のこの体を乗っ取ったとゆう事なのか?
この人と過ごしてきた記憶は一切ない…
だからこの人が『レイ』とゆう事も今知った訳だ
この体の元の…魂か?精神か?それはどこへ行った?
「ねぇ、聞いてる?」
俺はなんだか怖くなってきたので震える声で
「ご…ごめん、レイ姉ちゃん…実は道に迷って不安で…」
と、言った。それが上手くいったとゆうものか、レイ姉ちゃんは俺を抱きしめて
「そっかそっか、怖かったね。ほら!お昼ご飯できてるよ!食べよ?」
そうゆう訳で飯を食べることにした。
「あら、ノート!全く心配かけないで?」
「母さん、ごめんなさい」
「全く…誰に似たんだか…ほら!食べなさい!」
「頂きます!」
テーブルの上には麦ご飯の様なものと肉野菜炒めがあった。
ご飯を食べてみたが…これは何だ?
今まで食べていたご飯の様にふっくらとした見た目だが
いざ食べてみるとガリガリだ…炊けていない米を食べている感じ…
肉野菜炒めもキャベツの様なシャキシャキした野菜は無い
何とゆうか、ヌメッとしている…
肉は獣臭がすごい…
言っちゃえばこの飯はとてつもなく不味い。いや、飯ではなく食材に問題がある様だ
「母さん、この肉は何?」
「さぁ?何なのかしらね…市場ではでかいドライドイノシシが狩れたらしいぞ!と盛り上がってたからもしかしたらその魔獣の肉なのかしらね?
何にせよ久しぶりのお肉だし美味しいからいいじゃないのっ!」
と明るい笑顔で言われた…
うーん…この周辺は貧困なのか?それに魔獣の肉か…
ドライドイノシシ…どんな姿かもわからん
いくらなんでもこんなに獣臭を放つ肉はうまいとは言えない…
が、2人は美味しそうに食べているしせっかく作ってもらったんだ、残すわけにも行かない。
それに、市場と言ったが近くに村でもあるのだろう。
後でそれとなく聞いてみるか
「ノート!ご飯食べ終わったら私と剣術の訓練しよっか!」
お!やるやる!レイ姉ちゃんがどれだけ強いのか知りたいしな。
「うん!分かったよ、よろしくね」
「驚いた!今まで勝てないからやりたくないって言ってたのに。」
「気分転換だよ!たまにはね!」
そんなにもこのノートとゆう体の持ち主は弱かったのか?
それともレイ姉ちゃんが強いのか?
いずれにせよ楽しみだな。
……
………
「「ご馳走様でした!」」
「はい、お粗末様でした。」
よし、食べ終わった!
こうゆうご飯を食べる時や終わった時の習慣は今までと同じでいいな。
「ノート、やろっか!」
「うん!」
そうして俺ら2人は木剣を持って庭へと出る。
「今日は打ち合いしよっか。っていつもだけどさ…」
「本気でやっていいの?」
「ん?あ、うん、いいけど。大丈夫?」
「え?何が?」
「ほら、怪我させちゃうと危ないからさ」
「大丈夫だよ!回復魔法使えるし!」
「…え?回復魔法?
ノートが使えるわけ無いでしょ?
魔法適正0なんだから!」
…え、そうだったのか?
いや、ここは…
「なんかね!今日のお昼森で迷ってる時にふとした瞬間に使えたんだ!」
「嘘…?待って、ちょっとステータス見せて!?」
ステータスなんて見れるのか?
そう言って渡された石の板を見てみるが何も書いていない
「えーと、どうやって使うんだっけ?」
「それも忘れちゃったの?その板の端に尖ってる部分があるでしょ?そこに親指でもなんでもいいから指を押し当てて少し血を流してみて。痛いけど我慢してね。」
針の様なものに指を押し当て血を流す
するとその血が赤い文字となって浮かび上がる
ノーティラス・アルバスト 10歳
種族 人間
職業 ???(教会にて得よ)
LV 12
HP 1500 MP 100000
攻撃力 100 守備力 100 魔力 ??? 敏捷 300
運 100
ユニークスキル
神聖剣
魔法作成
スキル
全耐性向上 LV10
MP自動回復 LV10(毎秒5000)
剣術の心得 LV9
武術の心得 LV9
痛覚緩和 LV5
家事 LV10
???
結構スキルとかあったんだな…
ノーティラス・アルバスト
アルバストが性でノーティラスが名前か。
にしても神聖剣とはなんだ?剣を召喚でもするのか?
これは流石にわからないな…
それに『???』とはなんだ?
不明なのか?魔力は測定不可か?
スキルにもあるが。
このステータスボードは分からないことだらけだ…
「ノート?終わったのなら見せて?」
「あ、うん」
と手渡す……いや待て、これは見せない方が…
「待って!剣術勝負で勝てたら見せてあげるよ!」
そう言ってボードをポケットにしまう。
そうだ、剣術LV10なら勝てる!
だから見せないで済むな!
「あ、言ったわねー!よーし、絶対勝ってお姉ちゃんが見てあげるんだから」
と、すごく明るい笑顔で言われた…
うん、満点です。ついついにやけてしまうが、レイ姉ちゃんの顔が真剣になったので剣を構える。
「はぁっ!」
と、レイ姉ちゃんが踏み出してくるが、なんとゆうスピードだ…
「くっっ」
レイ姉ちゃんの怒涛の攻撃は、俺に反撃の隙を与えない。
剣を流して隙を作り攻撃をしてみるが、すぐに体制を立て直してくる。
剣術自体は同等ぐらいだろう、力で負けている…
「ノートいつのまにこんなに上手くなったの?知らなかった!」
「くっ、一人で…練習…してたんです!」
急に話しかけられたがその様子からレイ姉ちゃんはまだ本気では無い…
仕方ない…
一度距離を取って、俺は無属性の魔力を全身にまとうようイメージをして魔法をかける。
身体能力向上だ。これで力の差も埋める。
「いくよ、レイ姉ちゃん」
「なんかノートの雰囲気が変わったね…いいよ、今のノートなら本気でいかないと負けそうだし私も本気出すね。」
と言ったレイ姉ちゃんの体の周りに魔力のような白い光が集まっていく。
レイ姉さんが姿を消した瞬間目の前に剣が現れた
バキッ
とっさに剣を出したがどうやらこの体の限界だった様だ…
剣は折れて飛んで行ったのだが、俺の右腕も折れてしまった。
「わっ!ごめんノート!大丈夫?」
「いてて、レイ姉ちゃん本当に強いんだね…
僕の負けは負けだからステータスボードは見せるけど、腕を折ったからレイ姉ちゃんのステータスボードも見せてよ!」
「あ、うん…いっつも私の見てニヤニヤしてるけど…まぁいいよ、見せてあげるね。でもまずはその腕ママに見せないと!」
「大丈夫だよ!」
と言って回復魔法を使い腕を治す。
「ほらっ、綺麗に治った」
「ノート…い、今…何をしたの?」
「回復魔法だよ?」
「そんなの見てわかるわよ!
違うわ…無詠唱魔法なんて…私は出来ない…勇者なのに…
この世界で指折りの白魔道師であるママでさえ。
いえ、この世界の人全員が出来ないはず。
無詠唱魔法はこの世界のどんな文献を読んでも見つからないって公表されてるわ。骨折を治すほどの回復魔法なんてすごく時間のかかる詠唱をするはずなのに…一瞬で?ありえない…」
…そうなのか?
やばい…俺の力ってそんなに異質なのか…
そして俺の持っていたステータスボードを取り上げてきた
それと同時にレイ姉ちゃんが落としたステータスボードを見てみる
レイノール・アルバスト 16歳
種族 人間
職業 勇者
LV 30
HP 2000 MP 500
攻撃力 500 守備力 350 魔力 200 敏捷 300
運 50
ユニークスキル
神のご加護(全能力向上。その量は光を吸収する毎に上昇し。最低値は10倍。)
スキル
剣の申し子
武術の心得 LV5
自動回復 LV2
物理耐性 LV5
魔法耐性 LV3
状態異常耐性 LV1
ふむ…さっきのは神のご加護とゆうのを使ったのか…
全能力向上とはとんでもないな。
そもそもHPとはなんだ?このステータスボードでしか見れないのに必要なのか?
「レイ姉ちゃん、全能力向上ってHPとかMPとかって上がるの?」
「全能力向上とは言っても、体力や気力までは上がらないわ…」
ふむ、体力と気力がHPとMPになるのか
簡単な話が運動したら疲れるようなその体力の事なのか?
ゲームとは違うのか。聞いてみるか
「体力はどうやったら増やせるの?」
「運動や休息よ。最初はケガをしたりしたら減るものだと言われていたけど、ケガをしたら徐々に減っていったの。体を治すことで体力を消費したからだと学者は言っていたわ。彼らはHPバーと呼ばれるステータスボードに似たものを作り出したの、それが何でも時間経過とともに数値が動くって事で色々実験したってママに聞いたわ。
それよりもちょっとノートのステータスをしっかりと見たいから、話しかけるのは少し待って。後でなんでも答えるから。」
…HPはヒットポイントだろ?なのに体力なのか…
てゆうかそれなら最初からそうゆう風にボードに写せるようにしろよな。
そう言った不満が残りながらも、俺はレイ姉さんを待つのであった。