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宇枝悠の異世界漫遊記  作者: U-1
第1章 異世界漂流編
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第64話 謎の紋様

「大丈夫かね? 何やら死んだ魚のような目をしておるが・・・・・・」

「・・・・・・そっとしといてくれ」

「む?」


眼が死んでるラッセル、精神的に疲れた俺、特に何ともないサクラの三者を見比べたオルトンさん、ヒナギクさん、アルフォンスのオッサンは首を傾げるが、俺の言葉に「まぁ、問題ないのならよいか」と本題に入る。

場所はオルトンさん家である村長宅。

時刻はそろそろ昼時に入ろうかという頃、昼食を摂りつつ俺達は話をする為に集まった。

話の内容は、オッサン達の調査結果だ。

俺の個人的な話故にラッセルは席を外そうとしたが、ラッセルの事情を知ったオッサン達は彼も席に付くように言った。

まだよく分からないが、もしかしたらラッセルの洗脳事情に関係するかもしれないからだそうだ。

ラッセルには前提条件というか、話が本題に入る前に俺に関する事情を説明する。

俺が異世界から召喚された異世界人だということを。

話を信じさせることに時間が掛かるかと思っていたが、以外にもアッサリとラッセルは話を受け入れた。

というのも菊之助さんと接したこともあり、彼から話を聞いていたこともあって、俺の事情を信じてくれだ。

寧ろ何か納得された。

理由としては、俺と菊之助さんの雰囲気が似ているからだとか。

別に親類ではないと思うが、同じ日本人だからだろうか、黒髪黒目だし。

兎にも角にも、ラッセルに事情説明を終えて話は本題に入る。


「俺とヒナギクでタマリスク荒野を探索し、そして坊主の召還場所と思しき場所を見つけた」


アルフォンスのオッサンが話を切り出し、そして「んで、こんなものを見つけた」と取り出したのは、一枚の布切れ。

黒い布切れだ。

あの場所の焦げ跡的に爆発に巻き込まれた人が身に付けていた物だからか、少々焦げ付いている。

だが、問題はそこじゃない。

問題のなのは、その黒い布に描かれていた刺繡だ。


星を逆様にしたような逆五芒星と、山羊の頭をした悪魔のような紋様が描かれていた。


「これは・・・・・・ッ!?」


その紋様を視て反応したのは、俺ではなくラッセルだった。

だが、その反応にも納得がいく。

俺の記憶に、昨日語られたラッセルの言葉が過る。


『特徴・・・と言って良いのかどうか分からないけど、そのローブに奇妙な模様があったよ』

『模様?』

『ああ。冒険者ギルドのパーティや、職人ギルドの製造品、商人ギルドとかに所属している人達が身分証明にも使っている紋様があるんだけど、あれもそんな感じなのかな。ただ、見たことのない紋様だったから印象に残ってる』

『どんな紋様だったんだ?』


――――――『山羊の頭部と下半身に、人間の上半身と悪魔の翼みたいなものを生やした姿。その後ろに星を逆さまにしたような模様・・・・・・うん、そんな紋様だったよ』


ああ、そうだ。確かそんなことを言っていた。


「ラッセル、やっぱり?」

「ああ・・・・・・僕が2週間前に会った、女商人のローブに描かれた模様と同じものだ」

「何だと!?」


オッサン達大人組が険しい顔つきになる。

ラッセルが魔族に憑依されておかしくなったや、魔族が宿っていた魔刻石を商人から買ったことは説明したが、そういえばその女商人が身に付けていたローブの模様については言ってなかったか。

改めてラッセルが説明すると、険しい顔つきが更に酷くなった。

其々に顔を見合わせて、何を言うべきか悩んでいる。

・・・・・・何なんだ、この反応は?

それだけヤバイもんなのか?

俺達が大人組の反応に困惑し、彼らが口を開くのを待つ。

そして、最初にアルフォンスのオッサンが重く口を開いた。


「坊主、お前・・・・・・元の世界に帰る事は諦めろ」

「・・・・・・・・・・・・は?」


どういう意味だと問う前に、オッサンは「いや」と言葉を訂正する。


「少なくとも、この件から調べる事は止めろ」

「・・・・・・そうね、他にも元の世界に帰るのを調べる方法はあるかもしれないし、王都なら情報も集まるから、そこを基点に調べてみるといいんじゃないかしら。王都ならオルトンさんの知り合いも多いし、色々聞いてみるとか」


オッサンの言葉に便乗するのはヒナギクさん。

この件には関わるなと言わんばかりに、話を捲し立てて強引に打ち切ろうとした。

流石に怪訝に思い、残りの大人組であるオルトンさんに視線を向ける。

オルトンさんは唸り声を洩らし数秒悩む素振りを見せたが、俺達(主に俺)に対して諦めさせる意味も含めて説明し始めた。


「この紋章の事を我々はよく知っている。いや、上級冒険者や位の高い貴族の様な国の上層部といった一部の者なら知らぬ者はおらん。男爵家・・・それも王都から離れた辺境地でもあるアセビタウンに住むラッセル君が知らぬのも無理はない」

「・・・・・・いったい、何なんですか。この紋様は?」


この紋様の事を知っていれば、自分はあのような愚行を犯さなかったかもしれない。

ラッセルのそんな意思が込められているのを感じ、ラッセルの件に関わった俺とサクラも・・・いや、俺がこの世界にやって来た理由にも関わっている可能性のある事なら、俺も強く理由を聞きたい所だ。


「この紋様は、ある組織のシンボルマークとして使われておる。何千年もの昔からこの国に・・・否、大陸に存在しており、歴史の裏で暗躍しているといわれている組織。その組織の思想を表した紋様だとされている」

「ある組織?」


一拍の間を置き、オルトンさんは重くその名を告げた。


「奴等の目的は魔族―――悪魔と呼ばれる存在を呼び出し、その力を以って己が思想を果たそうとする。悪魔を信仰する集団・・・・・・『悪魔教団(デーモン)』と呼ばれておる」

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