第62話 ラッセルの謝罪
「本当に、申し訳ありませんでした・・・・・・‼」
深々と頭を下げるラッセル。
魔族や憑依されていたこと等の事情は一通り説明した。
それ故、村の被害を考えれば複雑だろうが、彼に非は無いことを俺とサクラが口添えする。
取り憑かれていたらどうしようもないだろう。
まぁ、魔法とかが存在するこの世界の法律がどうなってるのか知らないし、その辺の罰則によっては罪人になるのかもしれない。
大丈夫なのかと、思わず不安気にオルトンさんを見やる。
彼は、俺達を安心させるように優しく微笑んだ。
今も尚、頭を下げ続けているラッセルの肩を優しく叩く。
「ラッセル君、君に罪はない。全ては魔族のやったことじゃ」
「けど僕は・・・傷つけてしまった! 村の皆を・・・・・・チャックだって‼」
「幸い死者は出ておらんし、チャックも一命を取り留めた。村の皆も、放せば分かってくれるじゃろう」
「オルトンさん・・・だけど・・・・・・」
「ねぇ、ラッセル君。私も村の皆も、小さな頃から此処に遊びに来るラッセル君の事を家族の様に思ってるわ。そんな家族の一人であるラッセル君の事を責めるなんて私達はしないし、ラッセル君だって逆の立場ならそうするでしょう?」
「ヒナギクさん・・・・・・」
「みんな豹変したアンタの心配もしてたんだから、さっさとその無事な顔見せて安心させたら? それが一番でしょ」
「サクラ・・・・・・」
「あー・・・まぁ、どうしても罪の意識が消えないってんなら、お前なりに村の復興やら援助やらで出来る事をやってきゃいいんじゃねーか? サクラも村の奴等も無事なら、それがお前の出来る償いだろ。たぶん」
「悠・・・・・・」
そうだ、コイツが悪くない事は俺達が分かっている。
村のみんなもきっと許してくれるはずだ。
「ああ、そうだな。村の皆を傷つけた事は許してくれるだろうよ。サクラを連れ去ったことも・・・・・・まぁ、許してやる」
「アルフォンさん・・・・・・」
おっさん・・・・・・一番説得の難易度が高いと踏んでいたのだが、どうやら事なきを得た様である。
サクラやヒナギクさんもホッとしている。
一番ブチギレ案件だという認識は間違っていなかったようだ。
初対面の頃から娘を溺愛していることがよく分かっていたから、今回のサクラ誘拐の件でヤバいくらいにブチギレると思っていたのだが、流石は噂の歴戦の冒険者。
こういった事件の場数も踏んでいるのだろう。
それ故事件の被害者とも言えるラッセルの対応もオッサンは見事に行い、命を賭して謝罪と説得をしようとしていたラッセルもその命を守ることが出来た。
「ああ、サクラを連れ去ったことも、無理やり力づくで純潔を奪って結婚しようとしていたことも許してやる・・・・・・テメェの首をこの場で斬り落とすことでなぁっ‼」
訂正。ラッセルの命はこの場で散る。
「じゃねぇわ! 何しようとしてんだオッサン!?」
「あぁん!? 娘に対する所業を首を落とすだけで許してやるんだ、寛大だろーがッ‼」
「どの辺が寛大!?」
「苦しませずに一撃で終わらせてやるのを寛大以外の何だって言うんだよ!?」
「少なくとも寛大ではない事だけは確かだよ‼」
「折角良い感じに纏まりそうだったのに、台無しね・・・・・・」
斬りかかろうとするオッサンを抑えに掛かる俺に、嘆息するサクラ。
いやお前も止めに入れよ、ラッセルも罰を受けますと言わんばかりに大人しく首を差し出そうとすんな逃げろよお前。
そしてサクラやオルトンさんも説得に参加し、最終的にヒナギクさんのお話(物理)により、なんとかオッサンは気絶したのであった。




