第55話 ???の戦い~VSバフォメット~
ようやく久々の更新!
「――――――――――――――aaaaaAAAAAAAAAAAAAAAAA‼‼」
放たれた咆哮が衝撃波を生み、周囲の物を吹き飛ばす。
壁や天井は罅割れ軋み、床に散らばっていた瓦礫は弾丸の雨となり、魔族へ襲い掛かる。
腕を交差させて顔を覆い、攻撃を凌ぐ。
サクラはその魔族のすぐ後ろに位置していた為、辛くも被害を逃れた。
「・・・・・・何ナノダ、アレハ!?」
その姿は既に人でなく、1匹の紅黒い獣。
唸り声を上げる獣は、不意に左手を伸ばす。
するとその紅黒い腕がゴムの様に伸び、床に落ちた自身の斬り飛ばされた左腕を掴み、伸びた腕が縮んで本体へと引き寄せられる。
手で掴んだ左腕が、まるで手の中に呑み込まれるようにズブズブと吸い込まれ、バチンッと、伸びた腕は元の獣のような腕へと戻った。
紅黒い鎧はうっすらと透けて、呑み込まれた左腕は溶けるような音を発しながら、元の位置に接続されて、完全にくっ付いたのが見えた。
「回復・・・イヤ、再生・・・・・・?」
切断された腕が瞬時に元通り。
回復のレベルを超えた現象。
瀕死の男の身に何が起きたのか全く理解出来ない魔族だったが、一つ気が付いたことがある。
「コノ魔力ノ気配・・・マサカ・・・・・・・・・・・・同族ナノカ!?」
何故人間が自分と同じ魔族の気配を漂わせているのかは不明だが、異常な事が起きているのは確かだ。
「・・・・・・危険ダ」
魔族と同じ魔力を発する男。
この男を生かしておけば、今後自分達の前に立ちはだかる厄介な存在になるかもしれない。
「今、消サナケレバ・・・・・・!」
目の前の男に関して何も知らないが、視界に入れるだけで背筋が凍り、危機感が募る。
早くその命を絶たなければ、狩られるのは――――――――――自分だ。
「カアァッ‼‼」
口内に集束させた魔力を瞬時に吐き出し、一条の閃光が口から放たれる。
人の胴体ほどの太さの有る光線が直進して男を襲う。
だが――――――――――
「――――――aaaAAAAAa・・・・・・」
ガバッと大きく口を開け、迫るその光線を呑飲み込んだ。
「何ッ!?」
驚愕する魔族に反応する事もなく、男は飲み込んだ魔力光線を吸収し、体内に取り込む。
瞬間、男の魔力量が跳ね上がり、強烈な威圧感が魔族を襲う。
魔族の身体に威圧感が圧し掛かるが、構わず足を強く踏み込み男目掛けて飛び駆ける。
翼を大きくはためかせて加速する魔族だが、左翼が千切れた片翼飛行な為ボディバランスが崩れてふらつく。
思わず落ちそうになり舌打ちしつつ、堪えて男を仕留めようと飛び続ける。
直ぐに男の命を絶たねば、自らの身に良からぬ事が起きる衝動に駆られる魔族。
そしてそれは、現実となった。
男を視界に入れる魔族だったが、一瞬で男がその場から消失する。
消えたことに気が付いた時には、右腕が熱くなっていた。
赤い血が噴水の様に肩から噴き出したの同時に、激痛が襲い掛かる。
右腕が肩からゴッソリと引き千切られたかのような跡を残して、魔族は痛みから漏れそうになる悲鳴を押し殺しながら振り返る。
一瞬で消えた男が、自身の右腕を口に銜えながら背後に立っていた。
獲物を口にした肉食獣の様な笑みを浮かべて、男は口に銜える右腕を噛み潰し、口に取り込み、咀嚼する。
グチャグチャと潰れた肉の音を立てながら口を動かし、そしてゴクンと右腕を飲み込んだ。
すると再び、男の魔力量と威圧感が上昇した。
それも先程よりも更に高い上昇値を感じさせる。
威圧感に圧し掛かる重圧は身体を重くし、自由に動くことを阻害する。
「何ナノダ・・・・・・」
魔力を喰らい、更には自身の腕をも喰らい力を上げる男に、魔族は声を震わせ、
「何ナノダ・・・・・・オ前ハアアアアアアァァァァァァァァァァーッ‼」
全身から溢れ出る冷や汗と恐怖心を薙ぎ払う様に咆哮し、魔族は再び男に飛び掛かった。




