第51話 宇枝悠の迷い
2つの【魔力弾】が衝突し、弾けて霧散した魔力が視界を遮る。
「・・・・・・見えねーし」
取りあえず先程までラッセルがいた場所目掛けて【魔力弾】を連射するが、当たってるのかどうか分からない。
壁や床を砕いてる音が聞こえるから、当たってないのかもしれん。
砕いた衝撃で霧散する魔力と、巻き上がる粉塵が更に視界を遮る。
・・・・・・これ以上は無駄か。
「――――――――――【雷撃】‼」
「うおっ!?」
粉塵を突き破って一条の雷が眼前に迫り、慌ててしゃがんで回避する。
「チッ、そっちか‼」
雷が飛んできた方向目掛けて【魔力弾】を放つ。
すると魔力弾が何かに被弾した音が響く。
先程までの壁や床を砕いた音ではない。
コレは当たったか?
粉塵が晴れ、視界を遮るものが無くなり、ラッセルの姿が露わになった。
やはり俺の魔力弾は当たってたらしい。
だが、ラッセルにダメージを負った様子はない。
奴の前方には、青白い色の壁の様なモノが展開されていた。
魔力のバリアみたいなものだろうか。
攻撃は当たったが、アレで防がれたようである。
ラッセルは右手の上げ、その人差し指を天に掲げ、
「――――――――――【落雷撃】‼」
振り下ろす。
瞬間、頭上から雷鳴のような音が聞こえ、反射的に後ろに飛び退いた。
直後、先程まで立っていた地点に轟音と共に雷が落ちる。
「危ねぇ危ねぇ・・・」
危うく当たるところだった。
モニカから魔法を使う事は聞いていたが、思っていたよりも厄介そうだ。
「どうしたんだい? 攻撃してこないのかい?」
「・・・・・・じゃあ、お言葉に甘えて!」
余裕の顔を浮かべて攻撃を誘うラッセルに、お望み通り【魔力弾】を連続で放つが、それらは全て前面に展開する障壁に阻まれる。
【超爆発魔力弾】なら壊せるかもしれないが、こんな室内で使ったら建物が崩れてコッチにまで被害が出かねない。
どうするか・・・・・・。
「・・・・・・使い慣れなてないコイツでいくか?」
腰にぶら下げる剣の柄に手を掛ける。
この剣の攻撃力なら、あの障壁くらい切り裂けそうだ。
【魔力弾】なら籠める魔力の量と集束具合で威力を調整出来るが、流石に剣でそんなことは出来ない。
剣自体扱いなれてなく、剣の切れ味は相当なものだ。
【我が瞳は世界を見破る】で視たこの剣の攻撃力とラッセルの耐久力を考えたら、容易く両断出来るだろう。
モンスターを突き刺し、切り裂いたように。
つまり・・・殺してしまう。
「さすがにそれはなぁ・・・・・・」
モンスターを狩るのとは訳が違う。
この世界の常識がどうなのかは知らないが、少なくとも現代日本出身の俺は普通に人殺しに抵抗がある。
サクラ達の幼馴染みで、ラッセル本人も魔族に憑依されただけで悪くはないだろう。
そんな奴を斬るというのは・・・・・・。
「どうしたもんか・・・・・・」
あの首にぶら下がっているペンダントが原因なら、アレを壊せばラッセルからの憑依を解けると思うが、あのペンダントだけを壊すなんて器用なことが出来るかどうか。
「・・・・・・まぁ、グダグダ悩んでても、それしか方法がないならやるしかない訳だが‼」
コールブランドを鞘から抜剣し、駆け出す。
狙うはラッセルの首にぶら下がるペンダント・・・『魔刻石』。




