第35話宇枝悠の 【ユニークスキル】
「――――――しかし、驚いたのう」
時は昼頃。
いい時間になったから今日の授業はコレまでという事で、今は広場にいる皆で昼食を取っている。
村のお母さん達が食事を用意し、子供たちに配っている。
いつも授業がある日は、こうやってみんなで食べるらしい。
ちなみに、昼食はサンドイッチだ。
みんな其々いくつかのグループに分かれて、シートの様なモノを敷いて座り、あるいはベンチに座ったりして食事を採っている。
俺はサクラ、オルトンさん、チャックとモニカの5人で一枚のシートに座り、授業を振り返りながらサンドイッチを食べていた。
「まさか、一度で使えるとは・・・・・・」
オルトンさんが思い返すのは、先程までの出来事。
俺が魔法を使った事だ。
オルトンさんの口にした通り、俺は一度で属性魔法が使えた。
特に苦も無く。
俺はコッチには才能があるのかと思ったが、そういう訳でもないっぽい。
オルトンさんが目の前で見せてくれた【火】【水】【風】【砂かけ】【光球】。
この5つは直ぐに使えたが、他の属性魔法――――――闇属性の魔法は全く使えなかった。
口頭で説明を受けただけだが、それでも分かりやすかったし先に見せた5つと大差ない感じだから、残りの闇属性もすぐに使えるだろうと思っていた。
だが、全く使える兆しが無かった。
いったい何がダメだったのか首を傾げたが、直ぐに理由が頭を過った。
「たぶんだけど、俺のスキルの効果ですかね」
「悠のスキル?」
「俺のスキル・・・・・・【観察し学ぶ先達の能力】だ」
【観察し学ぶ先達の能力】
・他人のスキルや魔法、技等を会得出来る。
・模倣するには、模倣するモノを観察しなければならない。
・模倣したスキル等の精度は、本人の力量に依存する。
「思い出してみれば、心当たりがあり過ぎるしな」
使えなかった闇属性魔法は、単純に見たことが無いから使えない。
練習すれば使えるようになると思うが、5種類の属性魔法が簡単に使えたのは観たからだ。
【魔力弾】もそうだ。
俺が使う前に、サクラが使っている所を観たから簡単に使えたのだろう。
てことは、俺は【魔力波】も使えるようになっているかもしれんな。
サクラが使ってる所を観た訳だし。
ただ、オルトンさんやサクラと同じ精度で使える訳じゃ無いらしいが。
【魔力弾】を初めて使った時は、岩柱に命中して対象を壊せずに霧散したし、見せてくれた属性魔法もオルトンさん程の火力は出なかった。
オルトンさんの【火】は人間の胴体ほどの大きさの炎を出したが、俺はせいぜい拳程度の大きさ。
オルトンさんの【水】は消防車並みの放水力だが、俺はせいぜい強めの水鉄砲程度。
オルトンさんの【風】は台風並みの強風だが、俺はせいぜい和風程度。
オルトンさんの【砂かけ】は瀑布の様な山津波だが、俺はせいぜいスコップで掘り起こせる量をブチ撒ける程度。
オルトンさんの【光球】は閃光弾の如き眩い凄まじさだが、俺はせいぜい懐中電灯程度。
同じ魔法でも、魔法の力は俺の練度に左右される。
「完全再現出来れば良かったんだがなぁ」
「いや、充分反則染みたスキルだと思うけど・・・・・・」
「見ただけで使えるもんね・・・・・・」
使えるだけで、使いこなせるかどうかは別の話だけどな。
「あ! 村長の凄い魔法を見せて貰えば、それだけで使えるようになるんじゃない?」
「いや、それは止めておいた方がいいじゃろう」
モニカが名案とばかりに閃いたが、オルトンさんは反対のようだ。
「何でです?」
「強大な力の魔法程、制御が難しくなるもんじゃ。悠殿のスキルは確かに凄いが、コピーした魔法は悠殿の実力に比例する。ならば、下手に強大な魔法を覚えても制御出来ずに暴発してしまう可能性が高いじゃろう」
さっきもこの広場の一角を消し飛ばしちまったしな。
否定出来ん。
「まぁ、焦る事は無い。この村で暮らすのなら、ゆっくり、じっくりと覚えていけばいいんじゃ。時間はあるんじゃからのう」
「・・・・・・そうですね」
この村で暮らす・・・・元の世界に戻る方法は分からないし、菊之助さんも見つけられなかったみたいだし、望み薄だよな。
「・・・・・・・・・・・・」
本当に、この世界で一生過ごすことになるのかねぇ。
元の世界に急いで帰りたいとは思わないが、一生帰れないというのもなんか・・・・・・。
いや、どの道今直ぐ解決できる問題じゃないんだし、焦っても仕方がない。
まず、覚えられることを覚えていかないとな。
菊之助さんが探して見つけられなかったのなら、彼が探していない地を調べるしかない。
探すためにも、この世界の知識や常識は必要だし、モンスターなんてモノがいるなら力だっている。
必要な事を覚えていかなければ。
その為には、まず魔法だな。
興味があるからというのも勿論だが、制御さえ如何にかしてしまえば他人の魔法を簡単に使えるようになるかもだし、今は魔法に打ち込むとしよう。




