第1話 宇枝悠の異世界漂流
「訳が分かんねーんだが・・・・・・」
1人そんな事をボヤくが、ツッコミを入れてくれる奴なんていない。
辺りには誰もいないからだ。
いや、正確にはいなくなった・・・・・・かもしれない。
景色的には何も無い、乾いただだっ広い荒野のど真ん中で天を仰ぐ俺一人。
空が青い。
眩しいほど晴れており、白い雲がゆったりと風に流されている。
気温は暖かく、風は涼しい。
もう梅雨の時期だってのに、春を迎えたばかりの様な気候だ。
・・・・・・というか、
「俺は何でこんな所にいるんだ?」
そもそもここは何処だ?
岩と土しか無く、なんか雑草っぽいモノが僅かながらに生えてるこんな荒野がある場所を俺は知らない。
近所は勿論、自分が住んでいる国『日本』でも存在しているのかどうか不明だ。
探せばあるんだろうが、俺が住んでいる町は山や森はあっても、こんな広い荒野は無い。
なら、此処は何処だ?
いや、今はそれよりも。
俺が今何処に居るのかよりも、だ。
――――――俺の周囲に倒れている、この大勢の人は何だ?
昼寝をしている、なんて事はあり得ないだろう。
倒れている人の中には、身体がありえない方向に曲がっている人もいる。
倒れている人の中には、尋常じゃない程の血を周囲に撒き散らしている人もいる。
倒れている人の中には、身体の一部が無くなっている人がいる。
倒れている人の中には――――――
「待て待て」
呑気に見回している場合じゃ無い。
あきらかに異常、あきらかに普通じゃない。
此処が何処だかは知らないが、それでもここでただジッとしているのはヤバい気がする。
直ぐに離れよう。
何処に行けばいいのかも判らないが、とにかく真っ直ぐに俺は駆けた。
何処でもいい、まずはこの場から離れないと。