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リアル・プレイング・ゲーム  作者: 旭 晴人
第一章《Utopia》
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死んだ理想郷の現在

 一週間で五十人死んだ。



 俺がそれを知ったのはセントタウンから最も近い次の都市でのことだ。その数が多いのか少ないのか、最初は判断しがたかった。



 だが、ザガンという闇ギルドの凶悪性を鑑みれば、思いの外少ないとも取れた。それはプレイヤー達の殆どが賢明にも、始まりの街から一歩たりとも出ないという選択をしたからに他ならない。



 始まりの街はそこだけで生活の全てが約束されている。フィールドに出るのはそれ以前から血気盛んな若年層が大半であったから、耳を疑うような悲劇は今のところ起きていない。



 ログアウト。それはここから逃避するには悪くない手段かもしれないが、その先に待つのは滅亡した地球という現実である。



 故にログアウトを実践した者は少ないと聞いている。酸素があるかどうかも怪しいのだからまともな判断だろう。



 いかに狂ってしまったとはいえ、ユートピアは未だに理想郷であることに変わりはなかった。少なくとも、地球に帰るよりは。



 人々の殆どは《ザガン》を忌避し嫌悪するがしかし、それは精々口々に罵る程度のことで、これといって変わりなく日々の生活を続ける。



 街を出なければ安全、とは確実には言い切れないが(街中でも武器を抜けるようになったため)、ひとまず今のところ、平穏な生活が街内部では約束されているからだ。



 ──だが。それでは腹の虫が治まらないという輩は、俺を含めて少なからずいた。



 不遜にも、世界をこの手で救ってやろうなどと考える若く熱い剣士達。私怨だけが動機とは限らなかった。



 単純に、このファンタジックな世界に酔っぱらった者も多いことであろう。



 死は怖い。しかし腰に差したこの剣で、行く手を阻むモンスター達を蹴散らし、いつの日かザガンを葬り去ってくれよう。──死者五十名とはそんな数少ない物好きで無謀な、多くは年端もいかない少年達である。



 システムの変更点の一つ。『モンスターの強化・新装』。



 以前のシステムバランスから容易に逸脱するほど高レベルのモンスターが次々とフィールドに放たれた。シュンを殺したヒヒ、バレルコングが良い例だ。



 死者の殆どは、新装されたそんなモンスター達にHPを全損された者である。



 殆ど、というのは。



 恐ろしいことに、すでに数件起こっているのである。──プレイヤー・キルが。

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