エピローグ──君の唄が聴こえてる──
オモチャの笛の音にも似たカモメの鳴き声が、波音の上を跳ねるように響いてくる。
真っ白な雲の浮かぶ大海原を一望できる、青々とした丘。その切り立った崖っぷちに四つの墓標が並んでいた。
双剣、メイス、大斧、そして真っ赤なギター。具現化した得物をそれぞれ立てかけた木製の十字架には、麓の花畑で拵えた首飾りが。
オーソドックスに十字架にしてしまったが、宗教違っても化けて出ないでくれよ。
「じゃあな、皆。行ってくる」
墓標の前に並んだカレル、ソラ、ソーヤ、ジンとその仲間達を代表して俺は四人に別れを告げた。
ここは第十四層。スタート地点は無事全員が同じ場所だった。フィールドの七割を海が占めるこの階層、ヌシはきっと海中にいるに違いない。
見てるか、アンナ。君の言ったとおり、次の層にはこんなに綺麗な海があったよ。
スズ達も一緒だし、ここならアンナも寂しくないよな。
俺は墓標から背を向けると、ゆっくり丘を下っていった。遅れてソラ達もついてくる。全員、一晩中泣いたおかげかその顔つきには精悍さが光る。
手を伸ばし、メニューウィンドウを展開。音符マークのアイコンをタップして呼び出した画面を操作すると、内耳から彼女の声が聴こえてきた。
目の前に開いたホログラムに示された曲名はトワイライト。夜明けを告げる、微かで、しかし温かい光。
穏やかで湿っぽいメロディーに耳を澄まし、目を閉じて天を仰げば、心地よい浜風が向かいから俺の髪を撫でていった。
俺も寂しくないよ。だって、君の唄が聴こえてる。
俺は目を閉じたまま、彼女の声に合わせてそっと鼻歌を歌い始めた。




