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一応いつのまにか完結です。

もともと短編予定だったので非常に中途半端ですが・・・

どうぞお試しください

意識を心層から現実に戻す


かえらなければ


お嬢様はいまごろ泣いていらっしゃることだろう。


さっきまで5m程離れていた兵士達がもう2m程しか離れてない。

乱れていた魔素もだいぶ落ち着いて、いつ放たれてもおかしくはない。


そんな中、私はフル回転で魔法を構築。通常なら1分はかかる魔法を10秒で構築する

兵士の間に緊張が走った。

フル回転させたせいで右腕の骨が全て砕けたが無視。体全体で腕を振り上げ魔法を放つ。腕の骨と筋が壊れているせいで狙いがなかなかにつけにくい。魔法で補助

水を押し固めたような魔法弾は兵士にかすりもせず空へと消える。


ふと、気配を感じ聖女を見るとこちらをけなしたように笑って見ていた。


その手にはいつのまにかまがまがしい錫杖が握られている。

悪神の脊椎で作られた逸話を持つ武器だ。教会では、確か聖なる羽衣とか読んでったけ。教会の人間は人間の中でも最も頭がおかしい。聖なる要素も羽衣名形状もしてないと思うのだが・・・


聖女が祝詞をつぶやく。彼女のそれはアンデットとに対して効果大だ。さ迷える魂を聖杯に導く効果を持つのだ。

さて、どうしようか。

まああれ、範囲攻撃だからどうしようもないんだけど。


術が完成する。いびつな黒い錫杖から黒い光が漏れ、それを中心に広がった。目が焼けるように周りの空間の色がなくなり戻る。間違いなくイメージは悪の波動だ。さっき殺した死体の辺りから何か目に捕らえられないものが聖女の方に向かっていく。

・・・やっぱ、今殺すんじゃなかった。

命は救われるものだ。停滞し続けるなど絶対に良いものではない。


「な、なんで・・・」


聖女の顔が驚きで歪む。まるで信じられないものを見るようにこちらを見てきた。


ただのアンデットは、肉体と魂がかろうじて結び付いているにすぎない。だからこそ生理現象など存在せず、感覚もありはしない。

でも私は違う。私はお腹だって空くしトイレだって行きたくなる。人間含め魔物の肉をおいしいと思うし感覚だけでなく感情だって鈍くはあるがちゃんと備わっているのだ。


つまるところ私の魂と身体は深く、それも下手したら生前の時より強く結び付いているのだ。そんな私がそうやすやすと魂を剥離されるはずがないのである。


「あ、貴方達!何をしているのその魔物をさっさと殺しなさい!」


聖女が叫ぶが残念ながら時間切れだ。巨大な何かが空を飛び雲を割りここへ下りようとしていた。

地上の空気が掻き乱され髪がはためく。見上げるとあまりある羽を持つドラゴンがいた。身長は2m程しかないがそれが持ちうる羽は片方だけでその体をすっぽりと覆える程に大きい。一度空気中で完全に速度を殺してからそれはふわりと地面に降り立った。


「・・・遅かったな」


低く少し怒っているように彼はつぶやいた。

遅かった、というのは用事が終わったというためのさっき腕壊しながら奮った魔法の合図のことだろう。


「・・・手土産、いるかと思って」


何匹か狩ってきた、と続けながら腕の首なしをみせる。そしたら首を寄せられたのでなでた。不愉快気に目を細められた。なぜだ。


そういや、意外にここまで来るのに時間がかかった気がするが何か問題でもあったのだろうか。


「そっちも遅かったけどなんかあった?


この飛行速度だけなら世界1位であるドラゴンがそうやすやす人間に襲われることなどないとは思うが・・・

彼は少し気まず気に顔を引き


「最近、トイレが近くてな・・・」


どうやら排泄物を頭にかけるようなことにはならなかったようだ。配慮のできるドラゴンである。


「おじいちゃん・・・」


つい、つぶやいてしっまたが聞こえていたようだ。ぎろりと睨まれ、たたんでいた羽を再び広げ2、3度羽ばたく


「阿呆、まだ生まれて1000程だ。行くぞ。乗れ」


生後1年もしてない相手に何をおっしゃると思うが手土産を魔法で縛り両肩に担ぎ彼の腰に飛び乗った。

彼は少し身じろぎして私の位置を調整し、確認するよう足を踏み鳴らした。


「それでは聖女、王子ご結婚おめでとう。貴方がたの幸せを心から願っているよ」


最後に固まっている聖女達に一瞥をくれ、私の体は中に浮いた。


厭味に聞こえているかもしれんが残念本心である。どうか少ない時間を幸せに過ごして欲しい。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


空中飛行はなかなかに爽快だ。この速さなら後3分程でお嬢様の元に着くだろう。そんな折、いきなり彼が首だけこちらに向けた。


「嬢、手から治っているようだが臭う。

拭いておけ」


そういえば魔法を使った時だいぶ怪我をしたのだった。いそいそと袖をまくり上げ水魔法で浄化した。臭いもないか腕に鼻をつけ確認する。よし、オッケー


調度腕まくりを戻した時、着陸場が見えた。私の自慢の視覚はそこに人影を捕らえる。


お嬢様だった。


帰る時間は知らせてないはずなのだが、まさかずっと待っていたのか?


ゆっくりとくれぐれもお嬢様に砂埃が跳ばないよう注意して着陸する


お嬢様は隈を作り泣きそうになりながらも私に向かって笑いかけた


「お帰りなさい、ユーヤ」


ひどく穏やかな声が私の耳に響く


・・・ああ、やはり私の帰る場所はここにあるのだ。そう思わせる声だった


“私“はあんなにも求めたが帰れなかった。

でも私は、いつだって何が起こったって彼女の元に帰りたい


そうだそれが私のたった1つの生きる理由だ。


「ただいま帰りました。お嬢様」


だから“私“が浮かべれなかった笑顔を自然と浮かべそう言った。


私はいつでもここに帰ることだろう。

帰りたい

帰りたい



アンデットは帰りたい   END


完結しました。短い間でしたがお付き合いいただきありがとうございます。後日の話は人気があったら書いていこうかと。ですが細かい設定集は作ろうと思っております。


誤字・脱字がありましたらお気軽にご連絡ください

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