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今回は少し長いです。

ご飯のお供に是非

だから私はこの世界で初めて暖かさをくれた彼女に忠誠を誓う。


そうだった。勇者に話かけたのはただのついでだった。本当の用件は違う。私はさっさと帰りたいのだ。


まだ良く事情を飲み込めていない勇者を尻目に私は各国の王に話しかける。あちゃー、こしぬかしてら


「王達よ。さっきの宣戦布告しかと耳にしたよ。まあ、そっちがその気であろうがなかろうがどうせそろそろ潮時だったみたいだけどね。」


彼らの顔に疑問と恐怖が浮かぶ。さっき剣士をあっさり倒したことと元魔王殺しの勇者であることが多分原因。こいつらは真実の話を知っているからいろいろ私の戦闘能力とか自分達が恨みを買っていること理解してるんだろうな。

まあ、だからといって今どうこうするつもりもない。時間もないしね


「では、神託の巫女及び現魔王様であられる 代145王女  プルメリア・アークヒルズ・ポークマントスの名の元に神託をお渡しします。

我等が愛しきお嬢様による人類終了のお知らせです。

ちょっくらお前等増えすぎてうっぜえので生態系が壊れんぐらいには数を減らそうか?

以上でござます。」


各国の王達は神託を理解するように口の中で咀嚼し、真っ青になった。とれぇよ。


「それは、つまるところ、今まで魔族が静観していた人類との、全面戦争をおこなう、と言うこと、ですかな?」


震えながらもはっきりと言葉にした大臣はさすが商業国の人間だ、危険な橋であることがわかっていても聞き返すとは、なかなかにやりおる。だが、勘違いをする勿れ。


「全面戦争?何をおっしゃっておるのですか?魔族が人類におこなうのは単純な害虫駆除ですよ?

理解してないようですので言っときますがお前等の未来は勝つか負けるかではなく野生に帰るか家畜に戻るかの2択でしかないんですよ?

・・・もしかして自分達と魔族の種族的地位が同レベルだと思っているのであるのでしょうか?」


マジか、びっくりだわ

あの神話の話、そういや人間の領域で聞いたことないけどもしかして人間に広まってない?どうして?

人間に対してあんま良くないもんだから先人が消したんかね?まあいっか


あれだなあ。私にしては結構頑張ってしゃべった方だなあ。まあ、最近は口を開く方が多いのだけど。

遠く空気が莫大ななにかによって掻き回せられるのを感じた。ベストタイミングだ。そろそろお嬢様の顔とか声とか香とかそのほか全部補充しとかないとここで大漁虐殺してしまう。


・・・それもいいか。人間ってのは肉一つとっても味が異なるから魔族間のお土産品としてはなかなかに好まれるし。

うむ、適当に6つ程持っていこう。


どれがいいかなぁー、迷うなー、

単純に脂がのってればいいって訳でもないだろうし・・・。

辺りを見回す。一人の少年と目があった。

一瞬で距離をつめて剣を一線。剣はちなみに勇者時代から使っている業物(元魔王の愛剣らしい)だ。一気に頭を落とす

他に選択するのも面倒なので近くにいた奴ら3人いっぺんにすべて頭をはねる。


剣を素早くしまい襟首を掴、あ、やべえ首と顎でひっかからないからこの人の服脱げた。しょうがないから4人の手首無理に掴み跳躍。一瞬遅れて私がいた場所を剣筋が通り過ぎ、同時にその一歩後ろに拘束魔術が発動した。勇者パーティーよりよっぽど仕事が早い兵士さんだった。


危なかった。捕まってもなんとかは全然なるがボロボロの服を見てお嬢様が泣くとこだった。

うーん、にしても無傷で食料を手に入れたかったのに多少強引に運んでしまったため手首があらぬ方向へと曲がっている。


「邪悪なアンデットめ!民に手をだすとは!その行為死を持って償え!」


王子が声を張り上げ切りかかって来るか!と思ったら聖女と仲良く近衛騎士に囲まれていた。お前なんもしないんかい。


じりじりとこちらの様子を探りながら距離をつめてくる兵士。なんか手土産でも持参したくなる健気さだ。うちの王子がすいません。


うーん、マジでどうしよう。さすがにこんなけ殺すのはめんど、いや私でも深手を負うからなあ。帰りたいし


・・・・・・帰りたいなあ、帰りたい


あー、いかん。アンデット化してからの悪い癖だ。

こんな時なのに、こんな状況なのに帰りたいと思って、でもどこに帰ればいいのかわからない。知識としてはわかっているのだ。私の故郷に“私“は帰りたかったのだと。だけど、胸にぽっかり穴があいたまま。母も父も兄も友達もゲームの設定のように現実感のない画面の向こう側。

思い出も思い入れもあったはずなのにそこになんの感情を持てない。


ただ漠然と帰りたいと願う。

意味など粉々に砕け散っているのに。


アンデット。死してなお願いを叶えようとし、だがその願いを忘れ、原動力を失いその体が破壊されるまで現世をさまよい続ける魔族の総称。

死ぬ直前、強い願いをエネルギーとし体を作りかえ不死身に近しい体を手に入れるものの代償として願いを失う。

言葉も通じず行動も漠然と願いを叶えようとするため魔族の中でも鼻つまみ者だ。


・・・このまま死んでしまおうか。


ふと、そんな考えが浮かぶ


なかなかの妙案に思えた。


魔族の鼻つまみ者である自分を良く思わない者も多い。それは自分を側に置く魔王であるお嬢様、しいては魔王軍の考えにも悪影響を及ぼすだろう。いまいちなぜお嬢様が自分にかまうかわからないがこの状況はあまり良ろしくない。

ここでなにもせず死んだ方がお嬢様の身の為にも・・・・・・


『かえってきますよね。』


思考の深くで愛らしい声が響いた。


『アンデットは、願いを無意識に叶えようとするから』


必ずここに戻ってきますよねと、ここに訪れる前に泣きそうな顔でつぶやいたお嬢様。


私はあの時なんと答えたのだったろうか


神話とかのお話は完結後設定として載せれたらな、と思います。


誤字・脱字がありましたらお気軽にご連絡ください

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