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チート+チート もう一度英雄  作者: 加糖雪広
第三話 異獣+子供
75/99

精霊+『共有化』

8/10(2/2)

+ + + + + + +




『『『『『『ダメダヨ!』』』』』』

「でもな、ここに来ちゃった時点で詰んでるじゃないか」

『諦めるのはダメ!』

「でもそうなると、いっそ死んでどこかの儀式とか魔法とかできる人を探した方が早いんじゃないか? お金も百八十万バーツくらいあるから、多少悪どくても出来る人を探せば、」

『ヒロ、それはうすうす気づいてるんじゃないの?』

「………やっぱり?」


 ナイの言葉に、この案が上手くいかないだろうという事に気づいた。

 闘技場で思った事だけれど……。

 五百年で闘技場の質が下がっていた。…と言うのは少し違うな。

 闘技場に出ている連中は、魔法を使わなかった。

 戦闘は魔法があれば簡単に勝てるわけではないけれど、ヒデ・ゴッサムなんかは魔法なんか使えてたら逆に弱くなっていたような気がするけれど。あった方が選択肢は広がるだろう。


 単純に魔法を使う人が減っているんじゃないかと思う。

 同じように、国と国の戦いがあったような五百年前に比べそれ以降平和な時代が続いていると言うのなら、そう言う力に頼らずに済む事が増えているはずだ。単純にそう言った力を求める人が減って行き、それを学んだりする人も五百年で減ってしまったのだろう。


「村や町に行けばそう言うのが出来る人がいるかと思ったけれど、そう簡単に会えないわけか」

『五百年は意外と長かったノ』

「蘇るまで腐乱死体になったら時間かかるもんな~」


 死体は新鮮な方が復活はラクらしく、掛かる時間が変わる。

 酷い時はひと月くらいかかる事もあるらしい。

 そうなると、……大変だな。


「異世界人とかその間どうなっちまうかなあ」


 ジルエニスの願いを果たすのに、それは掛けたくない時間だな。


「なんとかしなきゃな」


 ?


「精霊達が行くってのはどうだ?」


 精霊さん達が誰かどうにかできる人を連れてくるとかはどうだろう?

 もしくはホーグ辺りなら何でもできそうだから頼みに行ってくれないだろうか?


『それはできるけれど、今【自世界】にヒロを留めているのは私達の力なノ。私達が欠けたら、ヒロは【自世界】に留まる事ができず、本来の危篤状態になるかも知れない。霊力をヒロに注いで何とかしているけれど、魔力とは違う物だから、解決にはならないし………』


「………」


 ふむ。


 何かある。


 これは何かあると直感した。

 ナイの口ぶりにちょっと引っかかる気がしたからだ。ナイの『言い方』には含むところがあります、と告げているようだった。

 何か気付かせようとしている?

 ……となると、今精霊さん達が言っていた魔法や現理法、特殊能力にヒントがあるだろうか?


「ここでは特殊な力は使えないって言ってたけど・・・・・・・・・」


 そう考えるなら、それらを除いて考えろって事かな?


「あ、そうか」


 今の自分の服装は、和国時代の兵士の恰好だ。

 今の装備品ではない。


「万能ナイフとか、呼べば来るかな?」


 ………。

 いや違う。

 そうだとしたら、自分に直接言えばいいはずだ。

 ………これもきっと違うな。

 自分の特殊能力は、考えや気付きが関係するはずだ。

 ナイ達は自分に何かを気付かせようとしているのなら、特殊能力が関係してるはずだ。ナイ達がそれを言わないのは、もしかしたら自分で気付くことに意味があるからなのかもしれない。


 ナイ達は自分の気付きやひらめきを引き出すために、自分に何か伝えようとしているのだろう。

 考える位しか出来ないのだから、必死に考える事にしよう。

 多分、ナイ達はどうにかできる方法に心当たりがある。

 そしてその方法に自分は気づいていない。そして気付きが必要なのだとしたら、特殊能力だけだろう。


「………何が必要なんだ?」

 解析?

 ステータス?

 影箱?


 ………どれもありそうだけれど敢えて外すなら影箱だ。あれは自分の身体からできる影をどうにかする能力だ。説明を読んでもよく判らない理屈で、もう不思議空間を繋いでいる、と考えることにした。

 ここは【自世界】で精神だけの世界。個別空間とかよく判らないけれど、身体とは関係ないはずだ。

 解析も、ここでは意味がないような気がする。何を解析して数値化すればいいのか分からない。見当もつかない。

 ………ステータス確認。

 ………これもなあ。地図や時計の表示ができるけれど、基本的に自分のステータスを確認するだけの物だし。

 ………三つとも違う? あれ? あれ?

 自分、行き詰るの早すぎ。


 よし、じゃあ考え方を変えることにする。

 この今の状況を変える事が出来るとすれば、それはどういった行動だろう?

 一つ目は、外と連絡して魔力の回復を頼む事。

 二つ目は、直接魔力の補充。

 三つ目は、復活できる方法を持つ何かを招く。

 ………四つ目は想像つかなかった。

 ………とすれば三つ目はダメだと思われた。

 魔法で召喚しようにも、魔力がないし。ここから魔法は使えないはずだ。内の魔力と外の魔力を合わせる魔法に必須の作業をする事が出来ない。

 ここから発動させようにも、特殊能力と併用しないとダメ。

 そう考えると手段がないんじゃないかと思ってしまう。


「う~~む」

 以前ここで、ステータス確認は再現になっていると聞いた。


 ああ、また詰まった!

「ナイ、ここでステータス確認とかは再現になるんだよな? 実際とは違うんだよな~?」

『……そうなノ』

「う~~む」


 これは難しい問題だ。

 いや、自分が頭悪いだけか?

 方法ないんじゃないか?

 もう、すぐ投げ出しそうになるけど、これはいけないよな?

 ああもう、自分は勘違いしてて方法とかないんじゃないのかと思ってしまいます。


「うがあ」


 横になる。

 もちろん精霊さん達には気を付けてある。


「どうしたもんか…」


 ?

 再現。

 再現できるんだよな?


「ナイ、再現した物を現実に反映させる事ってできるか?」

『もちろん』

「そっかそっか」

 となると………。



+ + +



「『共有化』!」


 ヒロの従僕は常に彼に寄り添っている。

 そしてヒロの家族は常に彼の傍にいる。

 ヒロの変化に気付かない二人ではなかった。

 ホーグは変化に気付くや緊急事態と看破。すぐさま、使う事を控えたいと考えている「悪しき能力」を行使。


「何事ですか?」


 知らず、頬から落ちる汗があった。


おん!


 ヒロの危険、と言う事を同時に気付く事が出来た二人だったが、より詳しくその事の本質に気付いたのは家族だった。


「魔力ですか」


 非常に難しい。

 魔力とは外側にある物と内側にある物として分けて考える場合。内側の魔力と言う物は不味い。それが枯渇しかけてヒロが危険な状態にあると言う事は回復が非常に困難な状況だと言う事である。

 と言うのも、従僕が持つ内側の魔力をそのままヒロに注ぐと言う方法ではダメだ。内側の魔力と言う物は千差万別、人と同じ数だけ違いがあるため、内側の魔力同士を合わせても元の二つとはまた違う魔力が生まれるだけだ。

 同じように外側の魔力をヒロに注いだとしても、それは『魔法の種』とも言うべきものが出来るだけである。

 この世界には魔力を回復する薬品や道具がある。


 しかし。


 それは前以て個人用に調整の必要がある。

 その調整を行う事ができる個人もいるが、その数は非常に少ないので大抵その調整は、当人自身の手でなくてはできない。


「エニス様、仮に私に何かあればヒロ様を頼みます」


 従僕と家族。

 この二つを秤にかければ、家族の方が重くなくてはならない。

 重くあって欲しい、と言う願望かも知れない。


おん!


「エニス様ならば、ヒロ様に近い魔力をお持ちでしょう。しかし、近いだけで同じではありません。そしてエニス様はまだ魔力を使いこなせておりません。でしたら魔力のヒロ様への最適化と言う作業は私が行うべきです。

 幸運にも、……」


 恥ずべきものながら、自分にはそれをしやすくなる能力がある。


おん!


 エニスの声で呼ばれ見ると、ヒロの周囲に立体映像が現れた。


 ぶるる………


 それを見るなり、従僕は全身の震えを止められなかった。

 主もまた、現状を打破すべく動いている。身体が危険な状態であるにも関わらず。

 死力を尽くすのに、これだけ気が入る理由はないだろう。


「魔力の基準点、ですね」


 ヒロのステータスで表示されたのは、数値化された魔力の情報だった。

 ヒロの魔力、エニスの魔力、ホーグの魔力。この三つが表示されており、ヒロの魔力の数値に近づけるために必要な違いをエニスとホーグの魔力と比べて調べることが可能だった。

 ホーグはフードの隙間に手を差しいれ、


「よし!」


 自身の力を解放した。



お読みいただきありがとうございました。

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