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チート+チート もう一度英雄  作者: 加糖雪広
第一話 英雄+再臨
7/99

神様+執事妖精

手直しをしました。

+ + + + + + +


 執事妖精(壮年)は連絡係と言う名称でウィンドウに登録されている。なので名前は連絡係である。


 彼はジルエニスのいる管理を行う場所と第一世界を行き来できる特殊能力を持っていた。


 ジルエニスのいる不思議な部屋に執事妖精は音もなく現れると、ヒロに向かって話していた時よりも深い礼儀を思わせる態度で腰を折った。


「我が神、ヒロが闘技場都市の宿屋に到着いたしました」


「そう、彼は元気だったかい?」


「はい、これから情報を集める為に歩き回ると言っておりました」


「うん、順調のようだね」


 ジルエニスは作業を一旦停め、格式の高いソファに身を預ける。


「君に何か命令をしたかな?」


「いえ、連絡以上の事は何も」


「ふふふ、彼らしいね」


 ジルエニスは完璧な所作で緑茶を淹れると、軽く手を振る。一つ一つの動作に余分を感じさせないそれは、それだけで魔法のように感じる。


 ジルエニスと執事妖精の目の前に、町並みを歩くヒロとエニスの姿が現れた。それは球状の立体映像のようで、俯瞰カメラで撮影されているかのような解像度である。


「物価の変化を確認しつつ、人々の話を聞きながら歩く。彼は以前からそう言う『下準備』や『情報収集』を大事にしていたからね。この分なら五百年の後の世でも変わらず目的を果たしてくれるだろうね」


 第一世界に初めて降り立ったときの彼に与えたのは、神の武器と防具、言語と文字だけだった。その為人里に辿り着くまで数か月を要していたのである。


 その体験は確実に彼を成長させたと思うのでジルエニスはその時間に感謝している。そして、第一世界の魔王を討滅するまでのかかった日数はジルエニスの最初の予想の三割程度の日数しかかからなかったのである。


 原代の和国に生まれ、戦争に兵士として参加した彼を見つけたのは本当にたまたまだった。そんな彼に武器と防具を与えて管理する世界を救ってもらえば上手くいくと、神の直観を得たのだ。


 ジルエニスから見た『世界』には無管理世界がいくつもある中、彼が生まれ育った世界と、報酬として体験(精確には憑依)していた世界にも管理神が存在しない。


 しかし、それには神にも知れない理由がある様で、その無管理世界の出身者(物品などにも)は管理世界の病を打ち払うワクチンのような力があるのだ。


「しかし我が神」


 壮年の執事妖精は表情を渋くしながら言葉を放つ。


「神の力を全く扱いきれていない彼では、私にはどうやれば第一世界を救うのか全く理解できません」


「君程度ではわからないよ、私だって全容を理解しているわけではないからね」


 神の表情は、言いながら少し尖っていた。機嫌を損なっていると、執事妖精は直ぐに思い至る。


「しかし、それを抜きにしても私は彼を友達だと思っている。彼が望むならその力の全てをかけて彼に尽くしなさい。今の言葉は聞こえなかったことにしておこう」


 表情も目の奥にある色も変わったわけではない。だと言うのに、執事妖精は湧き上がる恐怖を抑える事が出来なかった。


+ + + + + + +


 情報を集めながら町中を歩く。

 食堂の味は満足だったのである。

 闘技場の話やこの町の外の話に耳を傾け、解析で数値を調べながら徘徊しているわけだ。


 日用品を扱っているらしい店の軒先で、闘技場のルールブックが無料配布されていたので一部貰う。無料配布のための物なので、大きな葉っぱを加工したそのままの形の安っぽい束である。


 ルールブックには闘技場で開催される大会ごとのルールや日程などの詳細が記されている。


 闘技場近辺の色々な所で配布されている事を考えるとルールも解らず騒ぐ客が後を絶えないと見て間違いないと思う。


 噂によると一番人気があるらしいカフェで果汁の水割りを買いながらそれを確認する。形を残したままの葉っぱに一枚一枚手書きで書かれているのか、文字がやたら汚い事もあって読むのに苦労する。活版印刷の知識や製紙技術を広めても良いかと思うけれど、それは自分の役割ではないだろう。


 と言いながら碌な知識が自分にはないけれど。


 果汁はグレープフルーツとブドウを足したような味だったけれど、実際は判らない。もしかしたら未知の果物かも知れない。

 今まであった野菜や果物も、似ているだけで全く違う物なのかもしれないけれど、その辺り調べだすときりがない事が解ったので自重している。


 闘技場のルールは三種類で、自分が知っている物とは違う。


 自分が参加したのは相手が立ち上がる事が出来なくなるまで戦うスタイルだけだった。死者も結構出た、残酷なルールだった。


 今あるのは一つ目は陣取り。

 武器は決められたものだけ使用可能で、円形の場に魔法を込めた四つの球体を置き、それを全て叩いて自分側の色にすれば勝ち。円形の場は十字に区切られ、四つのフィールドに分かれており白と黒の強化魔法で満たされている。そして相手側の色のフィールドでは身体能力に制限が付くらしい。


 二つ目は乱戦。

 三十人ほどの人数を闘場で戦わせて、五人勝ち残るまで終わらないもの。早い話五人ずつのチーム戦なんだと思われる。武器や道具、魔法の制限などないので(事前に登録された物だけ使用可能)如何にうまく立ち回るかが重要なのだろう。


 三つ目は一番人気の一対一の死闘。

 広い闘場に丸盆(半径四メートルほど)を設置して相手が動かなくなるまで戦うと言うシステムで、残酷ではあるが自分には一番親しみやすいルールである。


 闘技場の観客料は千バーツ~三千バーツで、三段階。良い場所ほど高くなるのは日本のミュージシャンのライブなんかと同じようだ。動員可能数は三万人以上らしい(人口五万で動員可能数が三万だとおかしいと思うが、これは日本の感覚なのだろう)。


 死闘は二十日に一回、乱戦は十日に一回、それ以外の日は基本的に陣取りをしていると言う形の様である。加えて死闘は定期的にトーナメント戦を繰り広げており、真の強者は一回の戦闘で強さを示すより、連戦をうまく立ち回れる頭脳も必要だと言うのが運営側の考え方らしい。


 陣取りに何回か参加して相手の能力を解析したりするべきだろうな。もらった能力まだ全然使いきれてない事だし。


 万能ナイフの使い方はかなり解るようになったと思うけれど、魔法は使えないし、現理法は進展なし、特殊能力のステータス確認もなんだか自分の知る物と違うようだ。


 仮に五百年前と同じ程度の強さが闘技場参加者にあるのなら、かなり参考にしやすいと思う。

 一般人と違い、警備兵たちは数値が似通っている事も多いので、解析で法則みたいなものを掴めるかもしれない。


+ + + + + + +


 二日掛けた甲斐あって情報もだいぶ集まり、五百年前との差も大体掴めた、と思うので闘技場の出場を決める。

 一般参加希望者は円形の闘技場の南側で審査と受付を受けるようになっているらしい。


 おお、ここなら情報を集めるのに良いかもしれない。


 十数人の受付希望者全てに解析をかける。


…………やばいな。


 三人を確認したところでエニスと共に一旦そこを離れ、自由に行動できるような場所を探した。


 城壁の中ではそんな場所はなさそうなので、一般の人と同じ手順を通って門から出ると、神樹のあった場所までエニスに連れて行ってもらう。


 まさか、世界基準があれほどまで高くなっているとは思いもしなかった。



  ◇◇◇◇◇◇◇

ヒロ 体力 396(A)

   魔力 150(C)

   理力 660(AAA)

   筋力 210(A)

   身軽さ 301(A)

   賢さ 204(B)

   手先 104(E)

   運 540(AA)

 装備品 万能ナイフ(神造)

     革の衣服(神造)

     ブーツ(神造)

  ◇◇◇◇◇◇◇



 これが自分のステータスだ。しかし、受付をしようとしていた面々のステータスとほぼ変わらない数値である。アベレージBからAほどだったし、数値では明らかに負けている物も多々あった。


 気軽に稼ぎに行くつもりでは返り討ちにあうこと請け合いである。


 これは本気で鍛錬をしなくてはならないだろう。


 エニスを見ると、遠くを見ている事から獲物を見つけたのだろう。自分はそれなら久々に本気出して剣を振ってみよう。


 万能ナイフをロングソードサイズにする。白銀の刀身には意匠と紋様が走り、実用性がないとしか見えないにしても、これは神造の武器だ。桁違いの性能を持っているだろう。


 数値は店に並ぶ一級品と思しきロングソードの十倍はあった。攻撃力はそれで賄えるだろう。闘技場都市に置かれている装具で、一級品と思えたそれは超一級品でなければならないからだ。


 闘技場に参加する武芸者用であったり、観客が勢いで買う場合もある事を考えると日本の小学生の頃行った修学旅行の木刀のお土産みたいなものもあるかも知れないけれど、武器の目利きは多少身に着けている。


 鼠人に騙された経験もあるので、自信を持ってとは言えないが僅差でもない限り質の高いのと低いのでの違い位は判る。つまり、自分が見た売り物のロングソードは武芸者が求める様な素晴らしい品であるはずである。


 万能ナイフの数値が一級品を軽く超える物となると、今回必要なのは相手に何もさせずに勝つほどの速度である。


 ちなみに日本から帰ってきて以来、頭痛は未だに続いていた。これは別の身体に入る事でいまだ本調子ではない事なのだと思う。しかし、頭痛と言うほどの大袈裟な物ではないので我慢できない程ではない。


 準備体操をして身体を解す。


 初めて第一世界に来た時の剣と鎧の力抜きとは言え、神造の万能ナイフ、革の衣服、ブーツがある。防御力も問題ないだろう。


 ロングソードを振る。

 旅の仲間に習ったり、旅先で出会った人に習ったりしてかなりちぐはぐな剣術になっているが、それでも魔王を討滅した技術だ。


 型のないような形で、有利になってくれると信じ、勘を取り戻すべく剣を振り続けた。


+ + + + + + +


 宿をそのまま取っているので、夜にはエニスに乗って帰る。影箱には大量の毛皮と肉、角を溜め込み、それらをある程度売ってかなりの財産ができた。部屋に戻ってステータスを確認する。


 …………?


ありがとうございました。




お読みいただいている方には興味のない話かもしれませんが、

この話の終わるまでの目標であった

『一日1,000アクセス』・『トータル10,000PV』を突破いたしました。展開についていけておりません。

つきましては近い内に一日二回目の更新をして読んでくださった方々への

感謝の形とさせていただきます。

重ねてありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

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