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チート+チート もう一度英雄  作者: 加糖雪広
第二話 過去+復讐
41/99

+魔族=

ご指摘いただきましてステータスの表記を変更しております。



  ◇◇◇◇◇◇◇

ラロース(魔族)

  体力 D

  魔力 B

  理力 |

  筋力 C

  身軽さ D

  賢さ C

  手先 C

  運 B

 装備品 『父の鎧』セット

       (修復・強化)

     テルトアボーン


 特殊能力 「復讐スルハ我ニアリ」

             (常時)

       理不尽を糾す誓い。

       不条理に対して

       奮い立つ怒りで

       身体能力が

       上昇する。

      魔法の始祖

       魔法を作り上げ、

       積み上げ続ける

       一族にもたらされた

       称え名。

       非常に高い

       魔法への適性と実力

       を持つ。

  ◇◇◇◇◇◇◇



 魔法に関しての項目は非常に多いので割愛。大抵の魔法を使う事が出来ることが分かった。


 そして間違いなく目の前の奴が魔族であることがはっきりした。


 ………正直拍子抜けも良い所である。これならばヒデ・ゴッサムでも何とかできる相手に思えた。

 目の前のラロースと言う名前の魔族は『影箱』とは違う『倉庫魔法』で何もない空間に魔法陣を浮かび上がらせてその中から得物を取り出した。


 テルトアボーンと言う名称の魔族が好んで使う武器である。

 テルトアの骨を十字架型に組んで使う武器で、縦と横のラインの交点の部分に指を差し込んで握る形だ。突く、薙ぐ、打つ、守ると言う幅広い選択肢を持つ武器であるが、問題はそのサイズである。


 テルトアと言うのは魔界にいる学校一つ分くらいの大きさの草食獣で、骨が外殻のようになっている。それを加工して作ったテルトアボーンはエニスよりも大きい物である。その上密度が高く異様に重い。ヒデ・ゴッサムが使っていた棺桶みたいなダンビラの五倍近い重量をラロースは気軽に持っているのだ。


 筋力がCのあいつでは使う事が出来ないような代物だけれど、既にいくつかの強化魔法で身体を戦闘用に最適な状態にしていた。



  ◇◇◇◇◇◇◇

ラロース(魔族・強化魔法数値反映)

  体力 C

  魔力 B

  理力 |

  筋力 A

  身軽さ C

  賢さ C

  手先 C

  運 A

 装備品 『父の鎧』セット

       (修復・強化)

     テルトアボーン

     魔族の仮面


 特殊能力 「復讐スルハ我ニアリ」

             (常時)

       理不尽を糾す誓い。

       不条理に対して

       奮い立つ怒りで

       身体能力が上昇する。

      魔法の始祖

       魔法を作り上げ、

       積み上げ続ける

       一族に

       もたらされた称え名。

       非常に高い魔法への

       適性と実力を持つ。

  ◇◇◇◇◇◇◇



 魔法の強化を数値に合わせると体力・筋力・運が一歩先を行く段階に強化されているようである。数字表記してみると全ての数値がある程度強化されている事がわかる。


 この相手、『強化魔法(ex)』の使い手らしい。


 しかし強化した数値を考えても、あの武器を使いこなせるとは思えない物だった。


 まあ、魔法の実力者たる魔族なら使い方は幾らでもあるだろうけれど。


「その首を捩じ切って墓前に捧げてやる!」


 ラロースは想像通り、印形魔法(指を組んだりする密教の手印を持って「神の模倣」とする魔法)でテルトアボーンに『使役魔法(3)』を掛けて空に浮かぶ十字架のようにした。


 よく磨かれた骨は白蝋のような色をしていて、少しだけ幻想的だった。


「さて」


 その大きさで飛鳥のような動きで自分に迫る武器は、先端が杭のようになっていて心臓に悪いけれど、飛鳥程度の速度なら身構える必要もない。


 『使役魔法(3)』は使役するものに一時的な自我を与えて使った相手の目的を果たすように動く物らしいけれど、速さも捻りもない動きなのでブーツを履いた足で蹴り飛ばすのは簡単だった。


 三十メートルほどぶっ飛んだテルトアボーンが帰って来るが、


「『念動力』」


 闘技場の丸盆の時と同じように粉微塵にして終わった。


「『復元魔法』!」


 ラロースは多芸で舞踊詠唱(ダンスを神の模倣として魔法を発動させる方式)でテルトアボーンを一瞬にして復元。位階は1だが、高度な魔法なので一瞬で元に形に戻る。


 それを眺めながら、魔法って言うのはああいうのだよなあ。と場違いなのだろうか? 適当に考える。


 粉微塵にした時解析したけれど、テルトアボーンは魔族が好んで使うごくごく普通の武器で、特別な処理もされていない。もしこの武器をこうやって一時的な使い魔にするのならばもっと手を加える事もあったはずである。


 と言う事は向こうは小手調べのつもりでこれを行っているのかもしれないが、正直手加減しても殺さずに済ます方法が見つからないのである。


 飛んできたテルトアボーンをブーツで受け止め、サッカーボールのように踏み下ろす。


 使役魔法の実力は高いかもしれないけれど、粉微塵のまま使って器官を塞いだりされた方がよっぽども怖いと思う。


 ………と言う訳で自分は念動力でラロースの口と鼻を同時に塞ぐ事にした。


「ぐっ!?」


 仮面越しで声は籠ったままだったけれど、空気を吸えないらしく苦戦している。


 軽く気絶するまで続けようかとも思うけれど、下手に死んでもらっても目覚めが悪い。


 必死になっている所悪いけれどもね。


「出直して来い」


 駆け寄ってサッカーボールの要領でシュート。

 四、五十メートル程空にあがったら念動力を解除する。

 運の数値も高いし、体力と筋力もあるから怪我もしないだろう。


 使役魔法で後ろからこっちに迫るテルトアボーンを念動力で捕まえて、動けなくなるまで深く埋めて土をかけて完成。


「…………」


 呆気なさすぎる。

 『ステータス確認』のログを調べ、気になる事をある程度調べたら欠伸して暇そうにしているエニスと共にその場を移動する。


 轟獣は魔界から召喚する『召喚魔法(1)』を使った後、『使役魔法(1)』で自分達を追い立てるように仕向けていたようだ。この辺りの獣よりもよっぽども強いだろう魔界産の轟獣を召喚するのはまあ良いとして、この辺りには轟獣よりも怖い大蜘蛛だっているのにどうしてそんな面倒な手段を採ったのだろうか?


 暇つぶし程度に調べ物をしながら進むことにする。

 そう言えば、初めて万能ナイフを銃にして実戦に使ったな。

 感動も感想も特にない感じになってしまったのが悔やまれる。



+ + + + + + +



「『■■■(・・・)』、やりすぎだ」


「気を付けたんだけれどね」


 闘技場都市を追い出されて(・・・・・・)三日。

 バフォルと少年は二人で旅を続けていた。

 二人は辻馬車に乗って景色を眺めていたが、バフォルが口を開くと必ず最初にこのセリフが来る。少年も悪いと思ってか必ず同じ答えを返していた。


 旅馬車は闘技場南からUの字を描いて森を迂回し、道沿いに西へと向かうルートだったのだが、彼等との同乗を避けたため、部屋型にしてある馬車内は他の客はおらず暇を持て余していた。


「まさかあんな弱そうな奴が現覇者とは思わなくてさ」


「話によるとあの覇者は異常な数の手札を持っていたらしいがな。

 それを開始十秒で倒したとなれば客も満足しないだろう」


 現覇者は、百五十に及ぶ魔法の使い手でありながら、それを手段としてしか考えておらず、暗器に裏技、何でも使って勝利を掴む男だったらしい。それが十秒で倒されるとはだれも思わなかったのだけれど。


「あの歩法は良かったな。しかしそのせいで乱闘になってしまったのはいただけない」


 完全に意識を飛ばした覇者を見て、信者でもあるファンがこぞって少年に攻撃を仕掛けてきた。闘場を埋め尽くす数の骨の戦士が呼び起こされ、血気盛んな武芸者が武器片手に少年に襲い掛かる。


 最も、闘技場の戦闘一つこなすたびに少年は見違えるほど成長をしていったので、それが五日も六日も続いた現在、少年は本気を出す必要もない程度の力でそれらを制圧してしまった。


「一撃に全てを掛ける戦い方は嫌いではないが、あれではお前が目指す方向とは違うのではないか?」


「それも考えてあるよ。あれは防がれてから真骨頂、って言うか防がれてからが本番の技なんだけれど、それを見せる事もなく終わっちゃった」


「ほう………」


 興味が沸くが、鎧と剣を持った少年と戦えば、出会って直ぐの頃ですらその性能の高さに腰を抜かしていただろうに、今では少年自体が戦う事が出来る実力を持っている。下手をすれば見料に命を掛ける必要すらあるかもしれない。


 柄と鍔を使った剣の使い方を教えて以来、少年は気軽に熟練の武芸者を降してきた。


 少年の鎧と剣にはそれを補助する力でも備わっているのだろうか、とも思うが魔力に長けたバフォルにはそのような変化は認められない。これは少年の実力なのだろう。


 今では鎧と剣を持たない少年ですら、十回に一回はバフォルを倒すほどに成長している。


 魔界に置いてきた本来の得物を使って本気で戦えばまだバフォルが勝てると踏んでいるが、今では少年との訓練に毎回バフォル自身が新たな発見や天啓を得る事がある。


 弟子を持つと言う事が、自分自身の向上に明確に繋がる事にバフォルは衝撃と、それを超える喜びを感じていた。


 それを知られるのは理由がないが避けたいとバフォルは感じていて、話の方向を少し無理に変えた。


「この先の村には稀に魔物が出るらしい」


「魔物って強いのかな?」


 感情の読めない様子で少年が話に乗る。

 時折、よく笑顔でいる事が多い少年がその笑みを消す理由に理解が及ばないバフォルだが、その表情に何処か例えようのない、表現のしようのない物を感じてバフォルはどこかさびしさを感じている。


 ………さびしさを感じるまでに、彼はこの少年に精神的に近しい感覚を持っているのだ。


「物によるな、魔界ではよく見かけたが轟獣と変わらん。強さだけならな」


「旨いと良いんだけれど」


「中には桁違いに強い奴もいるが、味の方は諦めた方が良い。食った場合確率は知らないが『魔物化』することがあるらしいからな」


「魔物化?」


「魔物と言うのは何かの『ひずみ』が獣や轟獣を変化させて生まれるらしい。理由は解らないが、人が魔物化すると非常に強くなると聞いた事があるが、意識も無くなり自我を保つことも出来なくなると言う。


 もしかしたら魔物化した獣の肉を食った轟獣が魔獣になるのかもしれんな。それを考えると魔物化した数のつりあいが取れないと思うから他にも理由があるのかもしれんが、好きこのんで食う物ではないだろう。


 その代わり魔獣の牙や爪、革は武器や防具に加工すると(えら)く良い物が出来るから冒険者の中には魔物を探して旅をする者もいると聞く」


「じゃあ魔物になった人の歯や爪なんかも使えるのかな?」


「使えるかもしれんが………、『人』の物を使うのはあまりいい気分はしないな」


「言いながら自分も思った」


 だとしたら、……少年は思う。

 神様に言われた討滅対象の魔王って言うのは、どうやって生まれたのだろうか?



ありがとうございました。

楽しんで頂ければ幸いです。

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