ぬいぐるみ温室
可愛らしいぬいぐるみ…美味しいお菓子…♪
「ねぇ、いっぱいお菓子あるよ」
友達はキャンディやポップコーンの入った瓶にそっと触れて言った。
「ぬいぐるみもある…」
私はライオンのぬいぐるみを抱きしめた。
ここにいるのは、私と友人の二人だけらしい。
天井にはキラキラした星の照明、パステルカラーの飾り。
奥の部屋にも同じような場所が続いている。
私たちが目覚めたのは大量のぬいぐるみが飾られたふかふかのベッドの上だった。
いつの間にここにいたのかは覚えていないけれど、面白そうな物が沢山あったから人を探すついでに探検しようということになったのだ。
「これ食べてみようかな」
試食コーナーのお菓子を友達は頬張った。
「おいし~い!甘い!ねね、一緒に食べようよ!」
友達はお菓子の瓶を取って私に差し出した。
ニコニコ微笑んで渡す友達が、私は少し不気味に見えた。
だって、人がいないのに。
どうしてここにいるのかも、分からないのに。
なんでこんなに楽しめるの?
だけど、友達を怒らせて離れ離れになるのは、もっと怖い。
私はチョコレートをつまんで、口に入れた。
「ね?美味しいでしょ?」
友達は私に嬉しそうに笑いながら言う。
「うん…美味しい。」
そう答えたけど、私には凄く苦く感じた…。
「良かった〜!他にも見ようよ!」
その時、友達の動きが少し変だなと思った。
歩き出した足が、なんだか不自然なような…?
私は友達の後に続いて歩く。
綺麗な装飾…お菓子、ドールハウス。
綺麗なのに、やっぱり不気味だ。
「ねぇ、戻らない?出口を探そうよ」
私が提案すると、急に友達はガシッと腕を掴んできた。
「な、なんで、?な、で…?」
話し方がおかしい。
というか、声と口の動きが合っていないような…
ふと、友達の足元を見る。
友達の足があった場所には人の手首のようなものがあった。
今の友達は…そう、まるでパペット人形のようだ。
カラフルな部屋の奥。
暗い影が満ちたそこから、巨大な腕が伸びている。
「いや、やめて!離してよ!」
抵抗してもズルズルと奥へ奥へ引き込まれる。
涙が溢れた。
片腕からズブズブ闇に飲まれていく。
ボトリとぬいぐるみが床に落ちた。
静かになった店の中。
ほんのり甘い香りだけが残っていた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
お菓子やぬいぐるみが沢山ある、お土産屋さんのコーナーなどを見ていて思いついた作品です(*´ω`*)
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