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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者のプチ旅行
96/228

96.

その後、艦長に案内されて艦長室に入った。

呼びにやった船員がいつまで経っても来ないので、気になって甲板へ出て来たら、私とフィオルさんが話していたのを見かけたらしい。

「さて、改めて自己紹介と行こうか。艦長をしている、イジャ-フォ=イドファイ=ペオリ=ハドイだ。船員が手荒な真似をしたらしく、申し訳ない。レイ殿の事は、団長より話を聞いている」

「団長から……」

団長?

レイ殿?

女男……。

そうですか、あくまでもそのキャラで行けという事ですね?

解りました。

はいはい、やり(演じ)ますとも。

「失礼いたしました。改めまして、レイ=タダノ=オカシズキー=ド=ジャポンです。この度は」

「あー、いや。堅苦しいのはよそうや。この船の事気になるだろう?」

挨拶をしようとして、途中で遮られる。

艦長の顔を見ると、ニヤッと笑われた。

「まずこの船の事だが、フィオルも話していたように、第一級貿易商船だ。規約通り、ほぼ元軍人で構成されている。現役もたまに乗り込んでるがな」

艦長は、説明をよどみなくしていく。

この国の歴史から貿易商船、軍艦に至るまで。

約30分。

話が上手いので、つい引き込まれて聞き入ってしまった。

要約するとこうだ。

まずこの船は、第一級と呼ばれる商船で、この船の全乗組員名簿の90%以上は、一定数の訓練を経験した元軍人で構成されている。

有事の際に従軍するという規約がある為、国が決めた措置なのだそうだ。

その代わり、第一級ともなると税やその他の優遇が半端ない上に、平時は貿易で利益が出る為実入りがいいらしい。

国にとっては、艦をメンテナンスせずに済む上、人件費その他諸々がかからない。

優遇措置でかかる経費等は、それらの維持費のわずか数%。

むしろ交易による恩恵が大きいので、国としても積極的にこの政策を推し進めているのだそうだ。

あえて商船側のデメリットを上げれば、第一級に登録されている乗組員は、年に2回以上の海洋訓練に参加しないといけないという事か。

なるべく、時期をずらす等の分散策は練っているらしいが、船員が少なくなるのに変わりはないそうだ。

まぁ、でも外洋に出ると賊に襲われたりするらしいので、この定期訓練もあながち悪くないのかもしれないとの事。

それからたまに、有事でないのに国から依頼を受ける時があるそうだ。

今回のように。

「でだ、今回はレイ殿の所の団長から、君を攫えと依頼されたわけだ」

攫えって。

「で、伝言も預かっている」

どうやら、団長が色々手を回したらしい。

「伝言ですか?」

艦長が頷く。

「任務ご苦労だった。通常通りに戻ってもらって構わない。だそうだ」

一応、任務は終了みたいだ。

まあ、潜り込むためのダシにされただけだし、こんなものか。

「それにしても、驚いた」

ん?

顔を上げる。

艦長と目が合った。

「そうしていると、女にしか見えんな」

いや、女ですからね。




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