表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者のプチ旅行
94/228

94.

「待って」

腕を捕まえられた。

そうは、問屋が降ろしませんよねぇ。

そうですよね。

「君さ、競りの商品になりかけた子だろ?」

私が一瞬緊張して何も答えずにいると、何かあせりだした。

「あ、いやそう言うつもりじゃないんだ。きっと、多分まだ状況が飲みこめてないんじゃないかとか思って」

しどろもどろに何か言い訳を始める男。

敵意は感じない。

確かに状況はさっぱりだ。

鍵しまってない、見張りいない、攻撃されない。

だけど船の上。

「えと、そうですね」

鵜呑みにするわけにもいかないが、何らかの情報がもらえるなら欲しいところだ。

頷いて、続きを促す。

「まず俺たちは、君に何もしないから。君を売ろうとしてるわけじゃない。だから、どうか警戒しないでほしい。今日はまる一日ここにいてもらう事になるだろうけど、明日には家に帰れると思うから」

どうやら帰してくれるらしい。

男が続きを口にしようとした時、俄かに外が騒がしくなる。

「大変だー!女の子がいない!迷子になってるかもしれない!手ー空いているやつがいたら、今から探すの手伝ってくれ!」

扉が開く音がいくつか聞こえる。

「やべぇ。あ、ちょっとここにいててもらえるかな?」

そう言うや否や、男が慌てて外へ飛び出した。

慌てたせいで扉が開けっ放しだ。

ちなみに私は迷子扱いらしい。

騒ぎを聞きつけ降りてきた船員の内の1人が、この開けっ放しの部屋の中をちらっと覗く。

目が遭った。

挨拶しておいた。

「ヒルスお前なー。なに自分の部屋に女の子連れ込んでるんだよ」

「ちょ、誤解だって。女の子の方から、俺の部屋に来たの。俺じゃないって」

この部屋の男の声だ。

どうやらこの部屋の主は、ヒルスというらしい。

「てめー、1人で何良い思いしてやがる」

「や、だから誤解だって」

必死に言い訳をするヒルス。

多分こういう場合、誰にも聞いてもらえないんだろうけど。

この部屋に足音が近づく。

「あー、ごめんな、ヒルスに何もされて無いよな?」

1人が扉からこちらを覗きこんで、話しかけてくる。

さっき挨拶した男だ。

「だから、何もしてないって、俺」

「あ、えーと。状況説明だけそちらの彼にしていただきました」

「なぁ?言っただろ?たくよー、皆ひでーよ」

項垂れているヒルスに、皆笑い声をあげる。

「あはは、悪い悪い。そうすねるなヒルス。そうだ、アイエネイル…」

「ピアで結構です」

一応まだ任務継続中という事で、ピアクィカで通す事にする。

「アイエネイル・ピア、船長の所へ案内をしたいのだが、行けそうか?」

頷く。

「では、案内しよう」

手を取られる。

「うわ、でたよエセ紳士」

「俺はいつでも女性に紳士だ」

「自分で言っている時点で説得力が」

ヒルスがそう言ったら、エセ紳士に頭をはたかれてた。

ヒルスはどうやら、いじられキャラらしい。

ついでに、他の船員たちにもはたかれてた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ