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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者の初任務
88/228

88.

ヨモルォスカに蹴りをかました後、再び後ろ手に手枷をされ部屋を出た。

出てしばらく奥へ行くと、隠し扉があった。

その扉の解錠方法と中からの開け方を、万が一があった時の為に教わった。

入口の中を覗くと、地下へと続く階段があった。

ヨモルォスカの後に付いて、階段を降り続けると一階に到着した。

そこの隠し扉も同じ方法で開くと教わった。

一階の間取と、通常時の敵の歩哨数も聞いておく。

大雑把に、頭の中で脱出経路を描いてまとめて記憶しておいた。

そのまま地下へと降り続けて行くと、この国に初めて到着した時の様な、すえた臭いが立ち込める場所に出た。

つまり牢屋だ。

ヨモルォスカが、そっと私に耳打ちする。

「ここからは、乱暴に扱うぞ。適当に合わせてくれ」

私は、微かに頷いた。

通路を歩いて行くと、そのサイドに鉄格子があり、中に1人づつ人が入れられている。

前方には、看守らしき人が2人。

「きょろきょろするな、さっさと歩け!」

私が観察をしていたら、ヨモルォスカにグイッと腕を引っ張られた。

躓きそうになりながら、歩く。

牢屋の中から、絶望と同情を隠しもしないでこちらを見つめてくる。

その男女比は、4:3だ。

薄暗くて詳細が判らないので、髪の長さでの判断だが。

空いていた牢屋に辿り付くと、無理やりその中に入れられた。

乱暴に入れられた為、壁にぶつかリ倒れる。

「く、いい様だな。せいぜい、大人しくしている事だ。そうすれば、ましな飼い主がお前を買うだろうよ」

ヨモルォスカが近付いてきて、軽く頬を叩かれた。

先程のお返しだろう。

まぁ、いい。

「わ、私をぶちましたわね!」

キッ、とヨモルォスカを睨む。

「なぜ悪い?そうして喚いた所で、誰も助けは来ないぞ」

ヨモルォスカが、周りに聞こえる様に話す。

特に看守。

「私が、そんなに安っぽい人間だとお思い?」

再度叩かれる。

あれ?

ピアやってる私って、こんなキャラ設定だった?

何かもっとこう、暗くて弱い感じじゃあ。

何となく、高飛車お嬢に代わってきている様な。

まぁ、いいか。

続けよう。

「2度もぶちましたわね!お父様にも、ぶたれた事などありませんのに」

再びキッと睨みつける。

誰に見られているという訳でもないので、別に睨む必要はないのだが、演じてると思うとつい。

「どうやら、甘やかされて育ったようだな。せいぜい新たな飼い主に、愛想を尽かされない様に、しっぽでも振るんだな」

にやにや笑いをする、ヨモルォスカ。

その顔さえなければ、モテるだろうに。

残念な二枚目だ。

「も、もういや!私を家に帰して、帰して!!」

泣き崩れる、振りをする私。

とか思っていると、ヨモルォスカが思いっきり動揺していた。

いや、演技だって。

観客は前の牢屋の人だけで、その他は音声のみしか聞こえていない。

なので、本当はここまでしなくてもいいんだけど、つい入り込んでしまった。

「ふ、ふん。まぁせいぜい、せいぜい泣くなりなんなりすればいいさ。その内に、泣く事さえも許されなくなるだろうからな」

「さっさと出てお行きなさ……」

私の言葉を最後まで言わせず、ヨモルォスカに口付けをされる。

その時何かを口に移された。

「ごちそうさん」

そう言って、牢に鍵をかけると去って行った。

はぁ!?

あの野郎。

普通に渡せばいいだろう!?

ヨモルォスカが去った後、前の牢屋にいる男に解らない様、口の中のものを吐き出した。

布に包まれていたそれは、音も立てずに落ちた。

どうやって拾えと?

はぁ、もう疲れたよ私。


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