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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者の初任務
86/228

86.

「さて、アイエネイル・ピアクィカと言ったかな?君は何者だね」

何者だと、そう来たか。

よし、取り乱そう。

「何者!?冗談ではありませんわ!勝手に浚って、勝手に売られて!帰して、私を家に帰して下さい!」

手で顔を隠せないので、俯いて泣くふり。

「ふむ、あのジオレガ商会の若造、ああ見えて中々の切れ者だからな。何か裏があるのかと思ったのだが。まぁ、いい。君が何者だろうとこちらはあまり気にしない。ただし」

交渉役が近づき、私の髪を鷲掴みにする。

そのまま顔をグイっと上げられる。

ちょ、近い。

そして、痛い。

「私に」

更に、相手のまつげの本数が数えられそうな位、顔を近づけ、

「逆らうな」

渋い声で、言い放った。

その時突然、扉が開く。

「あー、俺お邪魔でしたかね?」

先程の案内役が、戻ってきた。

「ヨモルォスカか、ご苦労だった。いつものように、この者の世話を頼む」

交渉役がトンと背中を押し、案内役の側に私を押し近づける。

「任されました。で、明日出しますか?」

こちらを指差し、交渉役に指示を仰ぐヨモルォスカ。

指差すな。

「いや、珍しく欲が出てきた。この事は伏せておけ。上には知らせるな。後、適当に競りに出せるものを見繕っておけ」

「へー、珍しい。明日は雨ですな」

「さっさと行け」

まるで犬を追い払う様な仕草で、ヨモルォスカに退出を促す交渉役。

それを受けてヨモルォスカは、乱暴に私の腕を掴むとそのまま部屋を出た。

しばらく道なりに、廊下を歩いていく。

すると突然足が止まり、案内役がこちらに振り向いた。

何だ?

「悪いが、あんたが生娘かどうか、調べさせてもらうよ?一応、商品だからな」

ニヤニヤ笑いが鬱陶しい。

「な!?そんな事しなくても、わ、私は、き……生娘……ですわ」

最後の語尾を、小さく俯いてごにょごにょ言う。

別の男が、進行方向側から歩いて来たからだ。

反応が無かったので、どうやら今までの会話は聞かれていないらしい。

だが、目の前の男にはキチンと聞こえたようだ。

「へぇ、それが本当かどうか、これから判るけどな?」

ニヤッと笑う。

先に進むと右に曲がる廊下があり、そのまま曲がる。

するとすぐ近くの部屋に、無理やり入れられた。

「ふぅ」

男が息をつく。

「申し訳ない」

開口一番に謝られた。

何が?

なんで謝られてるんだ?私。

あれ?そう言えば、副団長から説明を受けた時に、別の任務がどうたら言っていたな。

もしかしてそれ?

情報の共有は大事だ。

聞いてみよう。

「友軍ですか?」

「そうだ。連絡員からの情報では、今回ここに来るのは、女にしか見えない男だという話だったのだが……ピアちゃん、本物の女の子だよな?結局、危険回避のために、本物を寄こしたって事なのか……」

あんなに触っておいて、男とか無いでしょ。

団長め。

というか、ピアちゃん言うな。

ちゃんとか、無いわー。

無い。

「とにかく、さっき途中本気で触ってしまった事、謝るよ」

本気で触ったのか。

そうか、ふーんへーそうなんだ。

「あ、いや、男だって思って触ってたら、男よりも腰細いし、胸もあるし。胸偽物かと探ってたら、本物の胸だったから、つい、こうね?こう。ゴフっ」

手つきがいやらしい、思わず蹴りを入れてしまった。

やくざキックで。

「白。ちょ、げほ、ひでぇよ。いきなり蹴るなんて、ピアちゃん女の子なのに」

片膝をつくヨモルォスカ。

誰がピアちゃんだ。

それに、白とか言うな。

白しかないんだって。

「そりゃあ、生娘かどうか調べるのに、抵抗の一つも無ければ不自然でしょう?」

フフフフ、次どこ蹴ってやろうか。

「だけど、蹴った場所って見えない部分だよね!?あ、水色も見た事あるよ?げ」

私のニヤ顔を見て、思惑を悟られたらしい。

「あぁ、ごめん、悪かった。悪ふざけし過ぎた。あの時の事は謝る」

先手必勝とばかりに謝る、ヨモルォスカ。

気勢をそがれてしまった。

「えーと、じゃあおふざけはここまでにして、話の続きをしましょう」

取り敢えず先を促してみる。

話を逸らしたのは私だけど。

「そうデスね」

ヨモルォスカさんが、何とも言えない表情をしていた。



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