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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者の初任務
83/228

83.

すっかり、仔牛の気分に浸っていた私は、現在馬車に揺られて交渉現場へ向かっていた。

あの作戦会議の後、ナリアッテたちに剥かれ磨かれ着せ替え人形と化して女装を完了。

みすぼらしい(ナリアッテ談)ドレスを着せられ、貧乏設定な薄付きメイクをして。

他の侍女さん達が何だか物足りないという顔をしていたが、今回はこれでいいと思う。

その後、隊員たちと合流したけど、大きな反応がなくホッとした。

いや、もう美女だらけのこの国で、私の顔を見せるのもおこがましいというか、何というか。

なので、この反応の無さは逆にありがたかった。

同情されるのが、堪えるんで。

男にしか見えないとか言われたら、もうどうしたら……

その後ヴォイドと別れ、今回しばらく行動を共にするユメノシュコーさんの馬車へと乗り込む。

なんというか、成金ファッションなユメノシュコーさん。

お似合いですよとも言えず、言いあぐねているとあまり見るなと言われてしまった。

「あー、レイだったか?」

今までの事を回想していた所で、前に座っているユメノシュコーさんに声をかけられる。

「はい?」

「どこの隊だ?」

「え?あ、いえ。先日の入団テストに合格したばかりなのですが……」

あれ?

もしかすると、入隊したばかりって聞いていない?

「なに!?あぁ、いや、まさか新人だとは……」

何かもごもご言っている。

「おいおい、大丈夫かよ。まぁ捕まるだけなら大丈夫。なのか……?ま、まぁあれだけ似合えば、男だとバレねぇーシ、いけるか?うん」

新人である事に不安を覚えたらしい、ユメノシュコーさんはどうやら納得したようだ。

「え、エーと。頑張ります?」

返答に困ったので、笑顔で意気込みを語ってみた。

やけくそ感は否めない。

「へ?あ、ぇ?あ、いや、だが、え?しかし……」

く、久々に自分の変な笑顔で動揺してる人見たよ。

皆慣れて、反応しなかったから忘れてたけど、くそっ団長め。

私の笑顔が変なのも、空があんなに青いのも、鳥が飛んでるのも、団長のせいだ。

絶対そうだ。

それからそこ!何度も私の顔を見ない。

何度見たって、この顔は変えられないんだから。

くっ。

「あ、えーと、そうだな。一応今回の件をさらっておくか。俺が相手との交渉をする。その間悲痛というか悲壮な感じで立っていてもらいたい。設定は売られていくお嬢様だ。自分のその後の待遇なり何なりに、悲嘆にくれている感じで頼む」

「悲壮感を漂わせていれば、良いわけですね?」

ユメノシュコーさんが、頷く。

「そうだ。で、交渉成立したら、俺とはお別れだ。レイはどこか別の場所に連れられて行くだろう。万が一の事を考えて、その経路を覚えておくといい。任務が上手くいけば、解放されるはずだ。必ず成功させる。が、何が起きるか判らん」

万が一ってなーに?

万が一って。

と言いたいところだが、我慢して了承した。

まぁ、そうなった時は、そうなった時だろう。

計画通りなんて、期待するほうが間違っている。

「そろそろ着く。降りる準備してくれ」

御者をしている別隊員がそう告げる。

心なしか、馬車の進む速さもゆっくりとなっていた。

ふと前を見ると、ユメノシュコーさんの顔が、真剣みを帯びていた。

いよいよだ。

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