82.
誰も居なくなったので、資料を読む。
取り敢えず全体図が知りたいので、元締めフィクサーな感じの人物と闇オークションの資料で詳細を把握。
まあ、要するにこの人物は、手広くやりすぎて国に睨まれてるわけだ。
んでもって今回、捜査のために私を売っぱらい、それでもって闇オークションの参加権を得る。
で、このオークションが始まり、何らかの買い物が成立すれば、現行で捕まえられると。
こちらが用意したチーズが不味くて、ネズミが食いつかなかったりして?
アハハハハ……
て、笑えるか!
さて、私が成り代わる女の子のプロファイルは、と。
ピアクィカ=ウェイ=グアオイエ=グ-リルクェン……
長い。
「ピアクィカ=ウェイ=グアオイエ=グ-リルクェン、ピア クィカ=ウェイ=グアオイエ=グ-リルクェン、ピアクィカ =ウェイ=グアオイエ=グ-リルクェン」
念仏のように唱える。
成り代わるのは、(父)グアオイエ=グーリルクェンの次女らしい。
グアオイエ=グーリルクエン、彼は元々学術塔――国の研究機関――にいた人物で、研究に明け暮れている内に、領地経営は悪化の一途を辿る。
結局建て直しもままならず、そのまま没落した。
彼自身はまだ研究を続けているらしい。
で、今回ピアクィカ=ウェイ=グアオイエ=グ-リルクェンなる人物に成り済ますわけだが、どうしたものか。
父親は無口で、あまり周りの人に関心がない、根っからの仕事人間。
母親は、18年前に亡くなっている。
と、そんなピアクィカの年齢23歳……
ちょっ無理。
いくらなんでもそれ無理ありすぎ。
流石に20代前半は、自分には無理ですよ。
多分肌艶とかで、年齢詐称ばれると思う……
取り敢えず、父親似の人付き合いが結構苦手な、暗め女子で行くか。
俯いておこう、そうしよう。
後は状況に合わせる。
こういうのはノリが大切だ。
まだ時間があるので、資料を見直していたら扉がノックされる。
いつの間にか、時間が経っていたらしい。
「そろそろです」
ヴォイドが入ってきたので、資料を片付ける。
抱えようとした所で奪われる。
「付いて来て下さい」
そうして作戦室へと移動する。
作戦室へ辿り着くと、すでに15人ほど部屋の中に居た。
私を見た面子が、一瞬ざわつく。
アイオン先輩が収めた。
私は空いてる席に適当に座った。
「作戦の変更点が一つだけある。今回レイ=タダノ=オカシズキー=ド=ジャポンが加わる」
又ざわつく。
一斉にこっち見るもんだから、礼が遅れた。
「変更点だが、ユメノシュコー、君が潜入する時にレイを売れ」
それだけで理解したのか、ユメノシュコーさんが了承する。
「レイにはその時女装してもらう」
再び皆こっち見る。
何だよ、女装しても女に見えないよ。
ふんだ。
「それ以降の行動は、作戦通りだ。待機班は……」
それから、アイオン先輩の説明が続いていく。
「……部隊は、連絡あるまでモペウィ地区に借りている家で待機だ。レイは予定通り、潜入時に土産として引き渡す。その後レイは闇競り終わるまで商品になっておいてくれ。ユメノシュコーは、買い手として競りに参加。出来るだけ、引き伸ばせ。1番いいのは目玉を落とす事だが、予算がなぁ」
待て。
なに、その不安を煽るフレーズ。
本当に出来の悪いチーズだったのか……
○ナド○が聞こえるのは幻聴だろうか?




