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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者の初任務
79/228

79.

皆が去った後、副団長は暫く動かなかった。

ようやく何かがまとまったのか、口を開く。

「ルイ、俺はまずは謝らないといけない」

ぼそりと話し出す副団長。

さっきまでの堂々とした表情とは、全く違う。

どこか苦しそうな表情をしている。

うわーこれは、女殺しな。

「すまない、ルイ。言い訳にもならないが、閣下いや、団長からこの話を聞いたとき、俺は強く反対した。それこそアリーオのように、誰かを雇えばとか訓練もまだだとか色々反対意見を並べ立てたが、ことごとく却下されてしまった。実際隊員の中で上手く女に化けれるのは、お前だけだからな。恐らく決め手はそこだろう」

そりゃあ、本物ですから。

先を促す。

「今回の任務は危険を伴う事が予測される。ルイにとって辛い選択も迫られるだろう。だが、潜入中は一切誰も助けに入れない。それに……」

何か言おうとして、口を開けたり閉めたりを繰り返す。

言葉が出ないのか、表情は苦しげだ。

副団長は、そのまま両手で自分の顔を隠してしまった。

だから私は言った。

私は任務を受けた時点で、どんな事を命令されてもいいように覚悟を決めている。

例えそれが理不尽な事だったとしても。

だから、そんな顔をしなくてもいいよと。

ただ、行って来いと。

初めから、それだけを言えばいい。

また、ここに戻ってこれた時に、いつものように接してくれさえいればそれでいいから。

だから、そんな顔をしなくてもいい。

私はもう、覚悟を決めている。

と。

「……そうか。もう、ルイは騎士団員なのだな……」

深いため息をついて、副団長は顔を上げる。

それからまたポツリと話はじめた。

「今回行く場所は、現在人身売買を行っている元締めのところだ。潜入隊員は闇売人に成りすまし、今度行われる、会員制の競り市に潜り込んでもらう。ルイを元手に参加権を得る予定だ。身元の裏がしっかり取れる者と入れ替わってもらうので、疑われる事はないだろう。身体検査はないはずだが、あまり言い噂のないところだ。恐らく……」

しっかり頷く。

言いたい事は解った。

あまりに辛そうなので、代わりに私が言う。

「別に初めてではないので、大丈夫です」

副団長は大きく目を見開いた。

「任務優先なのは解っていますので、何が起こっても暴れたりはしません。作戦の妨げにならない様、大人しくしていますので安心して下さい」

と言うと、先程よりさらに悲痛な表情になった。

安心してと言ったのになぜ?

「……そうか」

副団長の絞り出すような声音が非常に重く、私はこれ以上何も言えなくなった。

沈黙が部屋に降りる。

「くそっ」

突然拳を机に叩きつけた副団長。

積み上がった皮紙がばさりと崩れ落ちる。

私はとっさに拾おうとするが、落ちたと同時に立ち上がり、こちらに向かってきた副団長に呼び止められる。

「ルイ」

呼ばれたので顔をあげると、切なげな顔をした副団長と目が合った。

かと思うと、そのまま腕を引き寄せられキスをされた。

え?

えー???


あーすみません、出来ごころでつい…

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