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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)と引っ越しと愉快な同居人
66/228

66.

合格者部屋に入ると、すでに面談が終わっている人たちが中に入って待機していた。

ざっと見ると、今のところ30人ちょいが集まっている。

椅子が適当に配置され、各々好きな所に座っている様子だ。

私達も適当に座る。

暇だったので、ここに集まっている正確な人数と残席数を数えてみた。

ついでにそこから、待ち時間も割り出してみようと思う。

私達を含めて34人がこの部屋にいる。

で、空席が18。

今のところ、ヴォイドの後に並んでいた人たちがこの部屋にいないので、まだ面談が43人しか終わっていないのだろう。

43人中34人がここにいるという事は、合格率が約80%で推移。

てことは、18÷0.8で後22人ほど面談が残ってる感じになる。

1人3から5分の持ち時間と仮定して66分から110分程待つことになる。

はずなのだが、考えたら待ち時間が相当長い場合、律儀にこの部屋で大人しく待つってのも変だと思い至り、この計算が意味のなさない事に気付いてしまった。

「無駄な計算をしてしまった……」

まぁ、長くて1時間くらいと思っておけばいいだろう。

待ち時間の間、ジョアーグに城下の様子やら、美味しい店やら色々聞き出していた。

いずれ街には行くつもりなので、この際聞けるだけ聞き出しておく事にする。

ナリアッテが色々教えてくれたりしていたが、なにぶん貴族なので市井の生活ってした事なさそうだし、どこまでその知識が通用するか謎だし。

やはりこういうのは、そこで生活している者に聞くのが一番いい。

ジョアーグは私が何も知らない事に、かなり呆れていた。

だが、突っ込んでその事を聞こうともしなかった。

いい奴だ。

そうこうしている内に、いつの間にか受験者が全員揃っていた。

やはり、外で待っていた者もいたらしく、考えていた時間よりも席が埋まるのが早かった。

暫らくしてから、30代と20代の騎士がこの部屋に入ってくる。

お待ちかねの説明会が始まるみたいだ。

若い方の騎士が一番前の中央に出てきて、口を開く。

「まずは、ここにいる52名の諸君、簡易訓練参加試験の合格おめでとう。最終的には残り40名が加わり、90名近くになる予定だ。このひと月色々あるだろうが、どうかそれを乗り越え、騎士団の一員となれるよう努力をして欲しい」

騎士が合格者を見渡す。

そして視線がこちらに来た時、体の動きがピタッと止まる。

あれ、見られてる?

ヴォイドが。

真横にいるヴォイドをそっと窺うと、まるで顔を隠すようにして俯いていた。

もしかして、知り合い?

ヴォイドと騎士を見比べる。

どうやら、知り合いらしい。

「まずは私の自己紹介と教官長の紹介をする。私は、ウィオディーク=グライエ=ケウェオ=エウェルニオーノ。このひと月諸君らの教官を務める。他に数名教官がいるが、それは実際訓練が始まる時に紹介する。それから、こちらがウェイニン=アフィオーマ=ぺオリ=フィンオイア教官長だ」

ヴォイドを見て少し動きが止まったが、何事もなく進行を続けている。

何だろう、ちょっと好奇心。

「52名の諸君、合格おめでとう。私は本訓練において総括責任者となったフィンオイアだ。我々は貴賎を問わず、騎士に相応しい人材となる様、このひと月諸君らを訓練する。相応しくないとこちらが判断した場合は、即時脱落となるのでそのつもりでいてほしい。しかし、ここに集まった君らは、確固たる意志を持ち、ここに在ると私は信じている。その心を忘れず、これからも頑張っていってほしい。ディーク」

教官長が話し終えると、ウィオディーク教官が話を引き継ぐ。

「さて、これから今後の事についての話を簡単に説明をしたいと思う。まず注意事項から」

そうして、説明会が進んでいった。

要約するとこうだ。

簡易訓練中の寝泊まりは、基本騎士団敷地内の寄宿舎での生活となる。

ただし、条件に合う者は申請さえ出せばその限りではない。

条件とは、訓練開始時刻に間に合う距離に寝泊まり可能である事。

大抵その時刻に間に合うのは、貴族の邸宅しかないらしいが。

ジョアーグがぼやいていた。

ちなみに、騎士団に本採用となれば、全員騎士団宿舎に入る事になる。

それは貴族も同じだった。

遅刻・欠勤は基本認められない。

まぁ、当然の事だな。

理由がどうあれ、3度遅刻・欠勤をすれば脱落。

親族2親等までの不幸があれば、その時のみ除外される。

訓練期間中は休暇は無し。

ただ、訓練内容のこなし方次第で取れないものでもないらしい。

そこら辺は、各自の力量次第との事。

訓練最終日には、再度実技試験が行われる。

それに合格すれば、晴れて騎士団の一員となれる。

ただし、一般兵コースは従騎士位である。

そこから1年間従騎士として実務経験を積んだ後騎士になる。

ちなみに貴族は大抵の場合、簡易訓練後は騎士として士官学校へ行く。

中には変わり者がいて、一般兵に混じっている者もいるらしい。

「さて、注意事項は以上だ」

て、本当に簡単だなぁ。

「訓練は明々後日からだ。それまでに、寄宿舎に各自移っている事。通勤申請は明日夕までの受付となっている。質問はあるか?」

ウィオディーク教官が見渡す。

また、ヴォイドのところで視線が止まる。

相当気になるらしい。

「無いようだな?教官長からは何かありますか?」

「いや、特にはないな」

「では、以上、解散」

2人がこの部屋を去る。

合格者もめいめい去って行った。

「んじゃあ、俺たちも寄宿舎とかに行くか?」

ジョアーグがいう。

私は頷いたが、ヴォイドが動かない。

「もしかして、教官とは知り合い?」

ジョアーグには聞こえないように尋ねる。

「ああ、そんなところだ」

なにやら考え事をしているようで、暫くヴォイドは動かなかった。



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