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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)の過去話
58/228

58.

いつもと違って少し内容が変わっています。

なるだけ重くないようにしましたが、その分説明不足です。

後、こういう系統(軍やら情勢やら)が苦手な方はスルーしてもらっても、問題ないとおもいます。多分


あ、危ない。

どうやら、今日は飲みすぎたみたいだ。

危うく流されるところだった。

一息ついて、宗谷英規と向き合う。

「どうやら、ご心配をおかけしてしまったみたいですね」

「全くだ。ああいうところは、昔に会った時から変わっていない」

え?

昔?

SOYAの本社に謝罪に行ったのは、それほど前の話じゃない。

確か宗谷英規を見かけたのは、それが初めてだったはずだが……

「やはり覚えていないか。2013年コンゴと言えば分かるか?」

2013年?

9年前?

ああ、あれか。

「あの時、あ、そういえば宗谷さんいましたね。確か」

宗谷英規が、項垂れている。

「ああ、あの時は護衛の中に女性がいるとは、思っていなかった。護衛メンバーの中に女性がいると聞いて、当初はかなり不安を感じたものだったが……」

「でしょうね。実際、全員男性の予定でしたから、宗谷さん達と一緒に行くメンバー」

あの当時の事を少し思い出す。

コンゴ(  ※1)は、渡航するには少し、いや、かなり悪い時期だった。

コンゴは元々豊富なコルタン(地下資源)が取れる国で、それが反政府武装勢力への資金源となっていた。

武装勢力による虐殺や女性への暴行は後を絶たず、勢力の拡大に伴って首都キンサーサ(    ※2)から車を走らせてすぐの様な場所でもそのような事が行われているのが現状だった。

これが当時国際的に問題視され、ステイツ主導でコルタンなどのレアメタル輸入制限が行われたりしたが、あまり成果は出ていなかった。

この中途半端な締め付けが、内乱寸前にまで至りかなり際どい情勢となったのだ。

リビア事変以降、北アフリカや中東等アジア情勢の影に隠れて目立たなかったが、コンゴは着実に世界を巻き込む火薬庫に育っていた。

選挙時期も近く、比較的ましと言われていた首都のキンサーサでさえ、安全とは言い難い状態だったのだ。

そんな時期の渡航だった。

依頼が舞い込んできた時、本来派遣されるはずのチームが別の国に急きょ増援された為、たまたま空いていていた私のチームにお鉢が回ってきた。

「確かあの時、来るはずの人員が数名足りなくて、現地調達かこっちの調整チームが行くかって話になったんですよね?」

「ああ確か、それを聞かされた時、現地調達よりも信用できる君らに頼んだんだった。それは正解だった。実際君らがいなければ、あの時は死んでいたから。実はずっと礼を言いたかったんだ」

そう、よりによって渡航後しばらくすると、すわ動乱という争いが起こり、宗谷英規共々巻き込まれた。

退路は別チームが確保していたので、全員無事だったが。

「いやいや、あの時のは仕事でしたから。お礼を言われると逆に困ります」

首を横に振る。

「それでも礼を言いたいんだ。ありがとう」

「あ、えーと、はい。というか、頭上げてください。本当に仕事だったんで、何というか礼を言われるとどうしていいか判りませんから」

私がそう言うと、頭をあげて苦笑されてしまった。

「そうだ、本当は現地にいた時に聞こうと思っていたんだが、一つ質問いいかな?」

「何でしょう?」

「何のきっかけで、あの会社に?」

あの会社というのは、今勤めている会社ではなく、前の会社の事だ。

今は引退し、紹介された日本の企業で事務やら何やらの仕事を7年前からしている。

あー!

会議!資料、うわー。

堂島すまない。

一人でやらせてゴメンね。

「どうした?」

「あ、いえ。何年か日本で生活していた時に、私をあの会社に引き込んだ奴がいたんです」

「誘われたからって入ったのか?あんな危険な仕事なのに?もっと他に仕事があったんじゃないのか?」

こちらを責める口調になる宗谷英規に、少しうんざりした。

「まぁ、危険は危険ですが。もちろん、他の仕事というか、勉強したくて学校にも通っていたんですがね、あの時……」

そう、あの時は学校にも通っていたんだっけ。

懐かしいなぁ。

全然馴染めなかったが。

「いやー、日本に住んでいると、どうも自分の存在が希薄になっちゃって。で、つい誘いに乗ってしまったんです。丁度あのハートロッカーていう映画の主人公と同じです。ご存知ですか?ハートロッカー。あまりにタイムリーだったものだから、おかしくて」

いやー見てびっくり。

なんであの映画見たんだっけ?

タイトルに惹かれたんだっけ?

「待て、それはいつの話だ?」

えーと、2009年(    ※3)だったか。

「2009年ころの話ですよ」

「君が俺より年上でなければ、10代じゃないのか?」

「そうですね。活きの良い10代でした」

思わず遠い眼。

「おかしいじゃないか、何で10代でそんな仕事に就ける?」

さらに追求しようとしてきたので、ストップをかけた。

「うーん。秘密です。プライバシーですし、この話はこれで仕舞いにしましょう」

ニッコリ笑って、追及を躱した。

やっぱり今日は酔っている。

喋りすぎたようだ。

正直これ以上の事は、人に話したくない。

というか数度会ったというだけの関係で、話せる事でもないのだ。

他人から見たら小さなことでも、当人にすればとても大きな出来事だってある。

だから、まだ誰にも話さない。




*1 コンゴ民主共和国(旧ザイール)。隣国のコンゴ共和国ではなくコンゴ民主共和国。

*2 キンシャサ。キンサーサは琉生の癖

*3 ハートロッカー日本公開は2010年です。

とても選り好みする話でごめんなさい。

かなり色々突っ込まれそうですが、気にせずスルーしていただくとありがたいです。


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