表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)が性別詐称?
55/228

55.

なるだけ残酷にならないよう配慮しましたが、血を流すもしくは連想させる表現があります。

なるだけ排除したつもりですが、気分を害される方がいるかもしれないのでここに記しておきます。


殺気を感じとった副団長は、国王の側へ速やかにかつ、さり気なく寄る。

私は、さっと持っていたグラスを音をたてない様に割り、欠片を扇子の影に隠した。

そのまま、扇子を開き宗谷英規と会話しているふりをしながら、微かに飛んできた殺気の方向にそっと体を向ける。

来た。

3人、いや5だ。

まだ他のゲストは、気づいていない。

その5人の内1人は、帯剣している。

帯剣している者は、騎士団の制服を着ていた。

その5人の内の1人が、ちょうどいい場所から出て来たので、すかさず足を引っ掛ける。

予期せぬところで足を引っ掛けられた襲撃者は、バランスを崩してこちらに倒れてきた。

さっと避けながら、私は何も持っていない方の手で、一発鳩尾に入れる。

そのまま、私の方へ倒れこむ襲撃者。

よける私。

いやいやいや、受け止めるとか無理だし。

念の為、倒れきる寸前に後頭部に手刀を入れておく。

頭から倒れる男。

まぁ、この方どうしたんでしょう。おほほほほ。

宗谷英規が不審な目でこっちを見てるが、気にしない。

私は何もしてませんよー、のジェスチャーが功を奏したのか、宗谷英規以外は気付かれなかった。

異変に気付いて駆け付けて来た、数人の騎士達の内の1人が気絶した襲撃者に気付き運んで行った。

宗谷英規が、いまだに状況が飲みこめていない様子だったが、取り敢えずは放置。

そして国王の方へ体を向ける。

すると、残りの襲撃者が今まさに国王を襲おうとしていたが、あれ?

なんで皆あんなに楽しそう?

気のせいかな?

国王も団長も、ついでにキョウキーニさんも……

もしかして私、余計なことしたのかな?

楽しみ奪った?

これは、もしかしてこれって余興の一種なのだろうか?

真剣に悩む。

ああ最後の良心、副団長だけは、真剣な顔をしている。

よかった、まともな人がいて。

それにしても、襲撃者が可哀そうになる位の最強メンバーがここに揃っている。

団長もキョウキーニさんも、ゲストとして呼ばれている以上丸腰なはずだ。

なので、襲撃のタイミングとしてはこの上ない条件だったとしても、これを見る限り何のハンデにもなっていなかったという落ちが。

そんな事を考えていると、襲撃者の1人が動いた。

残りの襲撃メンバーも、連携して動く。

どうやら、それなりに腕が立つみたいだ。

国王の周りを近衛が固め、団長と副団長とキョウキーニさんとその護衛が、応戦している。

国王が、非常につまらなさそうな顔をしているのが印象的だ。

近衛が、国王を安全な場所へと誘導する。

そこへ、5人の人間が飛び出し国王に襲いかかる。

別動隊だ。

近衛がすかさず応戦し、剣戟の音が会場中に響き渡る。

国王と近衛が少し分断されている。

まずいあれはまだいる!

恐らく陽動を2重に仕掛けての襲撃だろう。

国王の元へ急いで近づく。

同じくヴォイドも、国王の元へ向かう姿が向こうに見えた。

先程の、野暮ったい男を追ってきたのだろうか。

国王の前に踊り出てきた、その野暮ったい男と仲間5名が、国王を取り囲む。

そのうちの1人が、小型ナイフで国王に迫ろうとした。

ヴォイドが躍り出て、すかさず阻止する。

その手には、どこかから借りて来たのだろう長剣が、握られていた。

国王に張り付いていた近衛も、応戦体勢に入る。

私は襲撃者の後ろに気配を消しながらそっと近づき、右端の男を気絶させた。

その男からナイフを奪い、ガラス片からそれに持ち代える。

残り5人。

すぐ隣にいた襲撃者の1人が、こちらをちらっと見て動揺していた。

その隙を逃さず、後頭部に手刀をお見舞いし沈黙させる。

残り4人

ヴォイドが、野暮ったい男と対峙していた。

相手は、なかなかの手練れらしい。

だが力量はヴォイドの方が上だろう。

私はそう判断した。

国王と近衛2人が、残り3人と応戦している。

それにしても、国王が楽しそうだ。

この国大丈夫かな?

ちょっと不安になった。

団長らが、こちらに走ってきて応戦し始めた。

うん、後は任せよう。

私はギャラリーに戻る事にした。

ヴォイドが男に切りつけるが、寸でのところで避けられる。

よけた瞬間、男がすかさず国王の背後に回る。

国王がふと力を抜き、脇へひょいっと避けた。

あわや味方と刺し合いそうになった襲撃者が、踏みとどまる。

だがそこを狙って国王は2人同時に切り伏せた。

残り2人

近衛の1人が襲撃者の1人を片づける。

戦況不利と今更悟った襲撃者が、突如逃走を図る。

て、え?

こっち?

思わず避けたが、その瞬間左腕を捻られ、首筋にナイフを突き付けられる。

あーえーと。

人質ですか?

てか、なんで私?

逃げるくらいなら、襲撃なんて止めりゃいいのに。

テンパっている襲撃者が、ナイフに力を込める。

首筋から一筋血が流れる。

「こっちへ来るな、この女がどうなっても知らんぞ」

そう言って、周囲を牽制する。

何?その三下発言。

それを聞いた団長たちが、ゆっくりと動き出す。

じわりじわりと。

緊張感はさらに高まり、会場中がシーンとなる。

「だから来るなと言っている。女がどうなってもいいのか!?」

ジワリジワリと近づく団長。

それに伴い膨らむ緊張感。

「何を勘違いしているか知らないがな、」

団長から発せられる、凄まじいまでの威圧感の籠った声音。

突き付けられているナイフの力が強まり、また一筋血が垂れる。

パンパンに空気の入った風船みたいに、会場中の空気は張り詰めた。

会場の空気が最高潮に張り詰めた時、団長が更にゆっくりと近づく。

1歩。

2歩。

3歩。

「ち、近づくな!」

襲撃者が後ずさる。

更に近づく団長。

その迫力に飲まれ、襲撃者が固まる。

更に会場中が静まる。

誰かの息を飲むような音さえ、響く。

1歩団長が足を踏み出す度に、カツンという靴音が会場に響く。

1歩、また1歩と、硬い床から響くゆっくりとした靴の音が、緊張感で静まり返ったこの会場中に広がる。

抜き差しならないこの場面を、固唾を飲みながら見守るギャラリー。

誰もがこの襲撃者の行動を注視し、団長の言動に最大の関心を払っていた。

1歩、さらに1歩。

カツン、カツン、と近づいて来るその足音が会場に反響し、やたらと大きく聞こえる。

「ちっ近づくなと言っている」

更に下がる襲撃者。

それに伴い近づく団長。

「そいつは」

間近で放たれた、団長の声音に襲撃者の体が更にこわばる。

あまりに深いそのバリトンの声に、ギャラリーも思わず固唾をのみ込む。

もう手を伸ばせば触れるか触れないかという距離で放たれた、その声音のあまりの真剣さに誰もがこちらを注視した。

団長が更にカツンと一歩近づく事で、この場の緊張感がさらに高まる。

息をする事さえ憚られる程の、緊張感。

誰かが身動きするだけで崩れる、今の均衡。

その中にあって唯一場を支配できる人物が、厳かとさえ形容できる声音で言い放つ。

あの腹に響く深いバリトンで。

腰の砕けるほどの重みを持って。

会場中に響き渡った。
















「男だ」

























だから、女だーー!!!
















もう、ほんと泣いていいですかね?

そこで何故それを言う…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ