48.
キースと2人で酒談義をしながら、副団長と団長の元に行く。
途中キースは、色々な人に声をかけられていた。
意外だったのは、そのあしらい方だ。
もっとこう手間取ったり、いちいち相手にして時間を食うのかと思っていたら、意外とすんなり躱して行く。
経験のなせる技か、はたまた性格によるものか。
まぁ、両方なんだろうな。
そうこうしている内に、人が増えてきたせいか些か進み辛くなってきた所まで来た。
団長と副団長がいるからだ。
どうやって進むかと考えた所で、副団長がこちらに気付いた。
視線がさっと横に流れたので、つられて見るが何もない。
思わず首をかしげた。
何だ?
「どうした?」
キースが途中で立ち止まり、こちらを向き手を差し出す。
私が慌ててキースの手を取ると、ぐっと引っ張られた。
わわ。
転ぶかと思って一瞬慌てた。
キースが腰を支えてくれたので、事なきを得たが。
文句の1つでもと思って、顔をあげたらどアップだった。
近っ。
「大丈夫か?」
それにしてもまつ毛長。
あ、いや、関係ないな。
「大丈夫、大丈夫」
はははー。
笑ってごまかせ。
「そうか」
それにしてもここだけ、密度が高いな。
さすが団長と副団長だ。
侍女さん's Networkによると、2人の人気は男女ともに凄いらしい。
団長は、身分が高いのにもかかわらず、気取らず一般兵にも公平で、面倒見が良く兄貴肌。
部下から下っ端に至るまで、信奉者がわんさか。
それでいて女性には優しく、ふと覗かせる品の良い笑顔に世の女性方はメロメロだという。
その話を聞いた時、「何、その完璧超人」と思わず言ってしまった。
たまに豹変モードになるのはご愛敬。
それから、団長には劣るものの人気の高い副団長。
騎士団の最後の砦というキャッチコピーの元、日々団長の豹変モードに振り回される苦労人。
部下から下っ端に至るまで、同情者が続出。
それでいて女性にはそっけなく、だが時折見せる艶めいた憂い顔に世の女性方がドキッとさせられるという。
それを聞いた次の日、思わず副団長の頭部を観察してしまったのだが、余計な心配だったようだ。
頭よりも胃の方を、心配しないといけないらしい。
キースが団長達に近づいて、本題を切り出す。
前置ゼロ、いきなり本題です。
キースは、先程私が話した事を掻い摘まんで説明した。
で、時々私がフォローを入れる。
やはり、何故その人物を不審に思ったのか、団長達は聞いてきた。
なので、今度は私が掻い摘んで説明した。
ただし、あくまで私見であり、その人物があくまでも少し浮いているだけの客だと強調し、国外からの招待客の可能性なども念押ししておいた。
「ふむ、なるほど」
団長が呟き、副団長と目線を合わせた。
副団長が頷く。
そして、キースに何かを耳打ちして伝えた。
「了解しました。では、アイエネイル・ルイ、私はこれで一旦失礼する。酒は程々にしておけよ」
キースは、正式な騎士の礼を私に挨拶すると、最後の方を私にだけ聞こえる声でボソッと言い、他の2人には目礼だけして去って行った。
酒は余計だっての。
しばらく去り行くキースの後姿を眺めていると、団長が徐に口を開いた。
「それで?16番、お前は何故女装している」
・・・・・は?