41.
アリーオさんがが道をあける様に去って行ってくれたので、女性陣に絡まれずにそこから動けるようになった。
ナイス。
さて、ここで世話になるだろう相手と挨拶はすませておきたい。
ここから1番近いのはと、やはりファインさんだな。
て事で、壁に沿って、徐々にファインさんに近づく作戦にした。
ヴォイドにその事を告げると突っ切るより壁から迂回する方がいいだろうと、教えてくれた。
「これはこれは、ジャミニ近衛三官。貴官がこのような場に姿を現すとは、驚きですな」
この様にヴォイドの知り合いに見つかり、話しこむ事しばしば。
その度に私の自己紹介と、お世辞の応酬の繰り返しとなった。
話を聞いてみて判った事だが、ヴォイドはどうもこの様な社交の場には、好んで顔を出さないらしい。
だからか、先程から凄くぎこちないのは。
話の内容を聞く限り、出ても任務の為だったり、家族の名代だったりするようだ。
何でも作り笑いが大の苦手なんだそうだ。
まぁ、解るが貴族社会は社交第一じゃなかろうか?
ヴォイドは気付いていないようだが、密かに彼の人気があるのはこの場の女性人をみてすぐ判る。
プライベートな招待やお誘いは途切れる事がないだろう。
近衛は実力と家柄がすごいらしく、それだけでもモテる要素だとナリアッテが言っていたので、今正にその裏付けが取れたわけだ。
レイの姿の時に、道行く女性に彼の事をよく聞かれていたが、それは宮廷女官による諜報員も真っ青な情報収集活動の一環なのだな、恐れ入ります。
知らぬは本人ばかりなり。
恋かぁ。
若いっていいよね。
まぁ、そんなわけで様々な思惑渦巻く社交界が苦手なのだろう。
そう言えば、ここら辺だったんだけどな、アイオン先輩。
あれ?おかしいな。
別に声をかけるつもりは無いのだけど、丁度通り道だしちらっと見ておこうかなと思ったのだ。
いないなあ?
「どうかしましたか?」
「あ、いや先程までアイオン先輩がこの位置で立ってたんだけど、居なくなってたから。きっと交代か何かかな?と思って」
まぁ、これから長時間警備しなきゃならないから、交代はあるだろうけどそれにしては早いしなぁ。
「……イオンの奴、また女の子の後追いかけてないだろうな」
「え?」
「あ、いえ。トイレでも行ってるのではないかと思って」
トイレ、トイレねぇ。
任務中に?