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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)の入団試験
37/228

37.

「相手になるから、来いよ」

偽13番が言う。

そんなこと言われても、困る。

仕事と私どっちが大事なの?と聞かれるのと同じくらい、困る。

ごめん、どっちも大事じゃないとか言っても言わなくても、修羅場……

いやいやいや、テンパりすぎだわ、私。

例えおかしいし。

いや、こんなこと考えている時点でおかしいし。

はぁ、私じゃ相手にならないから行けません、とか言えたらいいのに。

技が見たいんじゃなくて、単に体を動かしたいだけじゃなかろうか?と、変に勘ぐってしまうのは私だけだろうか?

これだから、バトルジャンキーは面倒くさい。

どうしようと考えあぐねていたら、神が降臨した。

神は信じないけど。

「おい、何をしている」

神は神でも、魔神の方でしたか。

周囲の温度を急低下させた美ボイスの持ち主、団長だ。

あ、ヴォイドもいる。

手を振ってみた。

呆れられた。

これは、助かったと言うべき状況なのかな?

他国の客人に剣を向けてる時点で、なんかヤバい事になってませんかね?私。

又、牢屋行きでしょうか?

牢屋は体が冷えるから、できれば別の部屋でお願いします。

剣を収めたいんだけど、相手がこっちに剣先を向けてるものだから、なかなか剣を収められないでいるのですが……

団長に助けてサインを出してみた。

「双方剣をひけ」

本当にいい声だな、団長。

あからさまに、ほっとする私。

いやー、ほんとに助かったよ。

あのままだったら確実に死んでたって、私。

もう、帰りたい。

よし、団長と偽13番が話している今の内に帰ろう。

そうしよう。

ソローっと帰ろうとしたら、「ちょっと待て」と偽13番から待ったが入った。

ちっ、バックれ失敗。

団長を贄にしてそのまま去ろうとしたのに、上手くいかなかったか。

ちょっと不自然だったのが敗因だろうか?

でも、そろそろ戻りたいなぁ。

実を言うと、早く戻りたい理由があったりする。

今晩、夜会が開かれるという知らせが、何日か前に琉生宛てに招待状と共に届いたのだった。

国王主催の。

欠席しようとしたら、ナリアッテに凄い勢いで止められた。

得体のしれない異世界人が行っても大丈夫なのか?と、その時思ったのだが、拒否権無しの招待らしいので考えない事にした。

まぁ拒否権無しの時点で、招待とは言わないが。

まぁ、ここら辺りは暗黙のルールなんだろうなぁ。

等と考えながら、集まった人々から質問にあう事が予測されるので、あらかじめ質問主意集とその答弁集なるものを作ってみた。

もちろん、ナリアッテや他の人にもチェックしてもらい、当日どんな質問が来てもある程度は答えられるようにしてある。

これで異世界の社交界を乗り切れるはずだ。

と、思う。

多分。

所で、今回の夜会は国王主催だ。

なので、国王への挨拶は押さえておきたい。

通常時に謁見するとなると、拝謁申請をして順番回ってきたら、謁見の間とやらでギャラリーわんさかの中で口上を述べないといけないらしい。

嫌すぎる……

滞在のお礼を言わなきゃならないのは事実だが、出来ればこの夜会でどさくさに紛れて礼とか言えないものだろうか?

一応他の人にも色々相談したが、やはり国王への挨拶ともなると色々順番があるらしい。

夜会で挨拶出来るかは位置取りと運次第だそうだ。

そこら辺りは、異世界でも一緒なのだなと感慨深く思った。

まぁ、国王への挨拶が無理なら、謁見の日まで待つしかないだろう。

まだ日程は未定だが、出来れば訓練が始まるまでに、謁見をしたい。

まだ、合格してもないけど。

受かる気満々ですが、何か?

「まだ終わっていない」

そうか、まだ終わって無かったのか。

いやいや、団長がストップ入れた時点で終わりだと思うが。

「勝手に審査に割り込んできて、邪魔したばかりかここで騒ぎを起こされても困るんだがな」

そうだ、そうだ。

言ってやれ、団長。

「別に訓練所で、訓練するのは普通だろ?お互い同意してるわけだし」

おい。

誰がいつ同意したよ。

あ、剣抜いた時点で同意になっちゃう?

「ともかく騒ぎは起こさず、大人しくしてくれ」

偽13番が頭垂れている。

何か叱られた弟とか犬みたいになってる。

案外素直系?

「あ、えーと?発言よろしいでしょうか」

団長に聞いてみる。

「何だ?」

「そろそろ戻ってもよろしいでしょうか?」

「ああ、大体事情は察した。行くといい」

「ありがとうございます!」

嬉しさのあまり満面笑顔になってしまった。

「あ、ああ」

そこにいる全員が一斉に横を見たので、釣られて私も視線の先を追ってしまった。

そこには何もなかった。

何かあったんだろうか?

首をかしげる。

いや、やめておこう。

これ以上関わるのはよくない。

さて、次は又あの侍女さんズに囲まれなきゃならないんだなぁ。

そう思うと、一瞬上がったテンションがまた下がってしまった。

一礼して、偽13番に捕まらないうちに早歩きでその場を去った。

今回バトルを期待されていた方はすみません。

魔神が降臨中の為、見送られました。


次は夜会編です。

では、次話にてお会いしましょう。

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