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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)の入団試験
36/228

36.

結局ましな案が出ずに行き詰ったので、偽13番に話しかけて見る事にした。

「あ、エーと、偽物13番さん。い、いったい私に何のご用でしょうか!?」

ああどうか、いきなり切りかかるという人種ではありませんように。

「偽物?ああ、悪いな。連れ出して」

「いえ」

私は首を横に振った。

「アレイの奴と、まともに戦える新人がいるとは思わなくて、少し興味がわいて話してみたくなったんだ」

アレイとは、多分団長の事だろう。

確か、アナレイ=ジャレイア=ジェン=ジアヴァイエとかいう長い名前だった。

「興味、ですか?」

うう、嫌な方向に話がいきそうだ。

相手に気付かれないよう、徐々に体を横にずらしていく。

とにかく、いつでも逃げられる体勢を整えておこう。

「ああ、試合中にお前のやっていた剣の型だが、あれは一体何だ?」

何だと聞かれても困る。

太極剣とか、どうやって説明すればいいのやら。

中国発祥の古代拳闘術の一種と言うと、中国の説明をしなければならないし、生まれ故郷の隣国で発祥した古代拳闘術と言うと、生まれ故郷の説明をしなきゃならない。

どこで発祥したか判らない謎の古代拳闘術と説明すると、なんだか胡散臭いし。

うーん。

「あれは何だと言われてもですね、説明が難しいです。どこの発祥だとか、そういった詳しい事を知っているわけではないですし……」

異世界発祥ですとか言えないしな、ここは有耶無耶にして、と。

「とにかくですね、私が小さい時に出会った方に、教えていただいた剣の型なんです」

は、はしょりすぎた……

だけど、これは本当の事。

10歳位の時に出会ったヤン師に、護身術として太極拳を教わった。

たった数年しか教わらなかったが、これのおかげで今の私がある。

言葉で適当にさっきの型について説明をしつつ、体を徐々に横にずらして行く事をしていった。

うん、後もう少し。

「ふーん?では、今からその型をもう一度見せてもらいたい」

偽13番が、いきなり剣を抜く。

うわ、強制、強制ですか?

しかも他国の宮城で剣を抜くって、おいおいおい。

なんですか、御乱心ですか?

思わずホールドアップする。

うわ~、なんかこっち注目されてますが……

主に要人警護の方々の視線が痛いです、はい。

「一体何の冗談のおつもりですか?他国で、しかも宮城敷地内で剣を抜くなどと。国際問題に発展しかねませんよ?」

と、一応もっともらしい事を知ったかぶったか言ってみる。

さらに、横にじりじりと移動。

「そんな事にはならないから安心しろ。だからその剣を抜いてさっきの技を見せろ」

あー、ヤバい。

相手が苛立っている。

お願いだから、剣を持って苛立たないで。

頭ん中でアラーム鳴りっぱなしよ、さっきから。

仕方がないので、こちらも剣を抜く。

はー、結局怪我コースじゃないか。

団長戦の時でさえ、怪我しなかったのに!!

適当に合わせて、逃げようか?

いやいや、適当に合わせられる相手じゃないし!

逃げきれるかな?

いや、逃げなきゃまずい感じがするし。

護衛の方も、ちょっと尋常じゃない空気出してるし。

つんだ?

さよなら、私の短い人生。

そして、集中し始めた時に、救いの神が現れた。


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