34.
団長に当てていた、剣をしまうと団長と目があった。
無表情。
そ、そんなにきつく蹴ってないと思うんだけど、たぶん。
き、急所もわずかに外したし?恐らく。
い、痛かったのかな?
な、なんで立ち上がらないんだろう?
と、おろおろした所で、周囲の騒めきが耳に届く。
「16番やるな~」
「あぁ、もう駄目だ……」
「今季ってもしかして当たりじゃね?」
「借りた金、どうしよう」
「16番、俺はお前に人生を預けてたんだ」
「16番!16番!」
「中々面白い動きだったな~」
「おわた」
「彼女と会う約束だったの「あはは、ざまぁ」に……なんだと?てめぇ、やんのか、あぁ?」
「俺の給料の恨み」
「16番!よくやった16番!」
な、なんだろう……所々悲鳴が聞こえる。
全然関係ない所で、恨まれているような気がする。
と、途中棄権するべきだったかも?
自分の欲求満たしたいがために、最後まで試合をしてしまった。
悪目立ちしすぎた……
「おい、聞いているか?」
ぞくっ。
この美ボイスは、団長。
ソロっと見る。
「な、何でしょう」
「そろそろ、お前が戻らないと収拾がつかないんだが」
「とと、あ、手合わせありがとうございました」
そういって礼をする。
又驚かれてしまった。
あれ?
もしかして、礼の習慣がない?
良く解らないけど、まあいいか。
そして、ヴォイドの所に戻った。
戻ったら、何故か呆然としていたので、目の前で手を振ってみた。
それでもヴォイドは動かない。
体をゆすったら正気に戻った。
何か口を開こうとしていたが、コールされたので結局何も言わず中央へ進んで行った。
何か言いたそうだったが、何だったんだろう。
なんか、本当に変だなヴォイド。
何かあったのだろうか?
さっきの試合で財産すったとか?
賭けはいかんよ、うん。
団長とヴォイドが対峙する。
先にヴォイドが動く。
団長が、ヴォイドの剣を受け止めてしばらく動かない。
何か話してる。
何を言っているか判らない。
何だ?
と思っていると今度はこっちが話しかけられた。
「おい、16番」
振りかえると、偽13番がいた。
ああ、なんか嫌な予感がする。
私は、今ヴォイドの試合をみるので忙しい。
後にしてくんないかなぁ?
と思っても口にはしない。
「何でしょう?」
と口にすると、にやっと笑われた。
なななな何でしょう??
「お前強いな、16番」
これは、あれですか?
団長に絡む程のバトルジャンキーが、私に何かを期待していらっしゃる?
ジリッと後ろに下がろうとしたら、腕を掴まれた。
ひっ。
ああ、今私に味方はいない。
ヴォイド達の試合に皆夢中だし、知らない間に外出されてるし。
他国の人間で、身分高そうだから私この偽13番に何もできなさそうだし。
私のとれる行動は以下の3つ。
1.戦う
2.説得する
3.逃げる
どれも高度な技術がいりそうなものしか残っていませんが、先生!!