31.
結局試験が始まるまでの1時間、する事がないので試験会場へ行く事にした。
到着すると、結構人が集まって来ていた。
早すぎたと思ってたんだけど、いい時間になっていたみたいだ。
受付けを済ました後、その辺をぶらついていたら、昨日受付に座っていた隊員と目が合った。
「あ、化け物なみに走ってた奴」
「あ、ども」
頭を下げる。
さっき化け物って呼んだのは、こいつか?
ジト目で睨んでおく。
「……。ところで、今日の順番何番目?」
ああ、試験の順番の事、唐突だな。
「16番目です」
「そうか。死なない様にな?」
軽く昨日の受付の人に言われる。
うーん、隊長と同じ事を言ってるよ。
「それ他の方にも言われたのですが、今日の試験は殺し寸前の事をされるんですか?」
「殺しって。せいぜい怪我しない様に無茶は控えるようになって事だが……」
わざわざ忠告しに来てくれたんだろうか?
ジョギング仲間のよしみ?
「忠告ありがとうございます。あ、私はレイです。えっと、先輩は……」
「アイオンだ。アイオン= ジャージル。よろしくな」
「はい。よろしくお願いします」
お互い握手をした。
アイオン先輩は去り際にヴォイドに軽く手を上げて挨拶すると、そのまま走り去って行った。
ん?
「ヴォイド、今の人知り合い?」
「ええ、まあ」
「そう」
今朝から変だ変だと思っていたが、何が変って口数が極端に少ないんだ、今日のヴォイド。
いつもと違うのはそのせいか。
少しすっきりとした所で会場からワッという歓声が聞こえた。
え?
もう始まってるの?
じゃあ順番ってすぐ回ってこない?
さっきから会場が騒がしかったのは、審査がすでに始まっていたからなんだ。
ヴォイドと私は顔を一瞬見合わせて、慌てて会場まで走った。
ここまで読んで下さった方、並びにお気に入り作者&お気に入り小説に登録して下さっている方本当にありがとうございます。
盛り上がりに欠け部分が続きますが、きっと近いうちに盛り上げて見せますので(琉生が)、長い目で見守っていて下さい。




