表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)の就職活動?
26/228

26.

ヴォイドに案内され、兵の訓練場の側に通り、士官(?)の執務室や宿舎のある建物まで来た。

でかい。

中に入ると、意外と静かだった。

ほとんどの者が訓練に行っているか、夜勤明けで寝ているのかしているのだろう。

3階部分の1番大きそうな部屋に行くと、ヴォイドが立ち止まる。

どうやらここがそうらしい。

ノックをする。

あ、いい音。

「レイ=タダノ=オカシズキー=ド=ジャポンです。ヴォクィッツ騎士団補佐官に、お届け物をお持ちしました」

ヴォイドが変な顔をしている。

あはは、偽名はあった方がいいよね?

うん。

「……入れ」

あ、このいい声は隊長だ。

「失礼します」

扉を開けると、その正面に隊長が座り、脇に見知らぬ人物が立っていた。

恐らく立っている人が、アリオイエさんだろう。

こっそりヴォイドに聞くと頷いた。

一礼して中に入る。

「お仕事中失礼します。こちらをお預かりしております」

と、持っていた物をアリオイエさんに渡す。

それを渡したとき、がん見された。

「え~と……」

取り敢えず首でも傾げておくか?

「見ない顔ですね」

アリオイエさんが言う。

「はい、はじめまして。レイ=タダノ=オカシズキー=ド=ジャポンと申します」

と言って、一礼した。

普通ここで所属とか言うんだろうなぁ、とか思いながら頭をあげる。

「……ルイ」

隊長が呆れた感じで小さく呼んだ。

その声を拾ったアリオイエさんが、すかさず隊長に尋ねる。

「副団長、お知り合いですか?」

隊長はそれには答えず、ヴォイドに問う。

「ジャミニ近衛三官、説明を」

「はッ」

ヴォイドが姿勢を正す。

凄ーく困った顔をしながら。

うは、ごめんね。

とりあえず謝っておく、心の中で。

ヴォイドが隊長に、うまく説明をしてくれた。

私の身分やらなんやらをうまく端折って。

隊長が頭を抱えている。

「アリーオ悪いが、少しだけ席をはずしてくれ」

アリオイエの愛称はアリーオになるんだ。

等とどうでもいい事を考えていたら、アリーオさんが好奇心いっぱいの目でこちらを見ていた。

そりゃそうだろう。

使いっぱで来た一見タダの一般兵のはずの私が、明らかにエリートなヴォイドと一緒にこの部屋に入ってきて、なおかつ隊長と私が知り合いかもしれないとなったら、何かあると勘ぐってもおかしくはない。

普通知りたいよねぇ?

でも、教えてやんない。

アリーオさんは非常に名残惜しそうな顔をして、この部屋を去って行った。

「さて、ルイ。お前は一体何を企んでいるんだ?」

おお、凄みを増すとますますいい声になるな隊長。

「ん?何も?」

一応とぼけてみる。

「ウソをつけ。偽名を使っている時点で怪しいだろう」

「あ~、まぁ、そうですけどね?」

あはは~、と私は笑った。

「だったら、吐け」

うーん、なんて言おうか。

ああ、これはあれだ、転職活動において、面接で転職の目的を尋ねられた時に困るパターンだ。

正直に金の為と言うか、その騎士団に憧れてとか訳の判らないウソをつくか、キャリアアップと言うか……

どれも地雷くさいな。

人脈確保に、地位獲得。

敢えて、言うのなら転職活動中?

うーん困った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ