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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者、従騎士になる
227/228

227.

ん……?

思わず首を傾げる。

「あ、あああ、いや、ん?いやいやあれ?なんだ?」

「どうしたの?」

「あ、いや、な、なんでもないんだ、気にしないでくれ。教官見てくる」

様子が変なウィルはあちこちぶつけながらホーク教官の元へ去っていった。

そろそろ解散の流れかな?

ホーク教官のことについてはユイクル教官に任せたほうがいいな。

「ルイ様。そろそろ冷えますので戻りませんと」

ちょうどいいタイミングでウェルフさんが声をかけてきた。言葉に従うことにする。

「そうだね、そろそろ戻ろうか」

私は皆のいる方に向かって声を掛ける。

「皆そろそろ私は戻ろうと思う。ユイクル教官申し訳ありませんがホーク教官の事お任せしてもよろしいでしょうか?」

快い返事が来たのでユイクル教官には明日の練習でホーク教官がこれなさそうであれば代わりをお願いした。

食堂の鍵はイグプリームさんかシノヤカさんが管理することに。

イグプリームさんにも性別ばれしてしまったが、共犯ということで目をつぶってもらう。

「それでは皆様、(わたくし)はこれで御暇いたします。また明日時間がありましたら参ります。それまでごきげんよう」

最後にニコリと微笑んでナリアッテ仕込のカーテシーをしてあとにした。

「罪作りな……」

ウェルフさんの言葉が聞こえたけど罪作りって何がだろう。

教本通りのナリアッテ仕込みカーテシーと辞去の挨拶口上を述べただけなんだけど。

首を傾げる。

「ルイ様、足元が御暗いですので、(わたくし)めの腕に御掴まりください。あぁその前にまず上着をこちらに、その上着は後ほど私からユイクル教官へと返却しておきます。今はこれをどうか御羽織り下さい」

彼がどこかから出してきたストールを手渡してきたので羽織る。

とても軽くてしかも温かい。

地球で言うところのカシミア素材みたいだった。

心遣いがありがたい。

やはりこれくらいの気遣いができないと、傍付きは難しいんだな。

シンヴァーク様の時にも気をつけよう。

彼のエスコートでシンヴァーク様の部屋までたどり着いた。

幸いな事に誰にも会わなかった。

ふむ、この部屋から出てくる前シンヴァーク様の様子が変だったけれど、元に戻っているだろうか? 

一抹の不安が残るが、ナリアッテやウェルフさんがいるなら大丈夫に違いない。

彼らを信じて、中に入る事にする。

ウェルフさんがノックしナリアッテが応じて中に入れた。

ウェルフさんは席を外すといって、部屋に入らず用事を済ませにどこかへ行った。

中ではシンヴァーク様がリラックスして何かを飲んでいる。

落ち着いておられる様だ。

ほっとした。

視線を感じたのかシンヴァーク様が顔を上げたので、目が合う。

とりあえず目が合ったので微笑んでおいた。

シンヴァーク様がおもむろに立ち上がる。

立つときにテーブルに足をぶつけたのかがちゃんと音がなった。

微妙に痛そう。

少し待ってみてもシンヴァーク様から口を開く様子がないので、私の方から恐る恐る口火を切った。

「ただいま戻りました。遅くなり申し訳ありません」

そう言ってスカートをつまみ腰を落とし、若干上半身を前かがみ気味に。

女性がよくする謝意を表す姿勢になった。

ストールがはらりと解け床に落ちるも、体勢の維持は必須なので動けなかった。

相手の許可が出るまでこの姿勢を維持する。

維持をする。

維持を。

あれ?

何かこのやり方おかしいのかな?

そろっとうかがうと、うわっめちゃくちゃ怒ってる。

眉間のシワが……

光源がロウソクなので顔色がいまいち判らないけど、昼間だったらきっと赤いに違いない。

怒らせることしかできない自分が情けないが、忍耐もまた必要だろう。

「お前は………だったのか……」

小さすぎて何言っているのか判らなかった。

「すまない」

シンヴァーク様に一言断られ、体を起こされる。

突然のことでバランスを崩すが支えられて事なきを得る。

なかなか手を放してくれず顔を見上げると、見下ろされていた。

視線が微妙に合わずどうも別のところを注視しているようだ。

再起動した後、どこか性急な動きで落ちたストールを拾い、これでもかとストールをぐるぐる巻きにされる。

なんで?

と思ったが、先ほど ユイクル教官に指摘された事を思い出した。

つまりそういう事なんだろう。

自分の姿勢や何やかやに気を取られ、胸の不備にまで気が回らなかった。

こういう所がいつまで経っても男だと思われる原因なんだろうな。

いやばれたら不味いんだけども。

既にばれまくってるけど。

いや待って、ばれてる人達って、皆直接見たって事では?

それで女だと確信した?

つまり直接見えなきゃどんな服着ても男に見える?

なんだ問題ないではないか。

女としてどうかと思うけど。

「あの?」

と声をかけるとものすごく動揺していた。

「その、勝手に体に触れてすまない。だがその恰好は扇じょ……煽ら……じゃなくて目にい……ともかくよろしくない。赤が目に焼き付いてまずいぞ……」

「赤?」

「うわぁ、本当に何でもないんだ。とにかくもう許してくれ」

助けを求めるために私はナリアッテを見た。

うん、怖かった。

怖かった。


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