22.
ツンドラとは(―17参照へ)
ブリザードとは、(―17参照)
重力場とは、時空(17の初め参照の事)この時空のゆがみが重力場である。
以上の事を踏まえて、夕食会場(仮)を解説すると以下のようになる。
特異点Xではなく今度はYを中心に、ツンドラとブリザードが夕食会場(仮)という時空に局地的に展開され、光も曲げるほどの重力場が発生している。
さらに特異点Zまで発生し、特異点YとZを中心に強力なブラックホールが形成されつつあるようだ。
結論、形成されたが最後その場からは誰も逃げ出せない。
なんでこうなったんだろう?
とはもう言わない。
言わずにやけ酒してやる。
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うん、変だ。
隊長が?
いや、違う。
会う人物が、皆変だ。
これが国民性というやつか……
だぁ、あーーーっもう、嫌になる。
とことん現実逃避させてくれないんだな、私の頭は。
私はそこまで鈍くない。
そう、気づいてしまった。
キースもファインさんも隊長も、とある一過性の病に冒された事を。
キースの言動がずっと変だった事も、ファインさんが急に自己アピールしだした事も、隊長が急変した事も、全ての元凶はそれだ。
皆が紳士的に接してくれるので、その態度を勘違いして逆ハーレム状態を妄想してしまいました。
とかだったらよかったのに。
ちょっと痛い子で済むのになぁ。
ああ、面倒くさい。
なんでこんな、3日で忘れられるような顔のところに行くかね。
あ、マイノリティーだから?
あまりに珍し過ぎてってことか?
つまり珍獣。
珍獣だから惚れてみたと?
あー、無理あるなぁ。
ファインさんに至っては、ちょっと会っただけだよ?
どこにそんな時間があったっていうんだ。
意味が解らん。
あー、もう、やめやめ、これにはきっと何か裏があるんだよ。
そうに違いない。
それしか考えられない。
現実逃避はうまくいかないんだけど。
現にうまくいってないし……、そう、ここは夕食会場(仮)。
そこには会話もなく黙々と飯食う、男2人と女が1人。
数10分前、隊長に連れられて、夕食会場(仮)に到着した。
すでに、宗谷英規とファインさんが揃っていて、遅れた事の詫びと招いてもらったお礼を言った。
着席した後、軽い会話をした。
ここからだ、だんだん雰囲気が悪くなっていったのは。
取り敢えず、私がここの食事が全般的に食べられるものなのか判らなかったので、宗谷英規に食事事情を聞いてみた。
日本語で話すとファインさんに筒抜けだから、英語で。
意図を察してくれたのか、宗谷英規も英語で返してくれた。
彼によると大丈夫との回答だったので、これからは安心して食べられるとホッとしてると、あれ?
ファインさんがちょっと、空気悪い。
なので、今の言語は地球の公用語なんです。
とにっこり笑って言ってみた。
それからしばらくファインさんに、ここの文化や習慣について聞き出していると、宗谷英規が英語で何か話しかけてきた。
それに英語で答えていると、ファインさんが何か話しかける。
で、その質問に答えていたら、また英語で……
いい加減面倒くさくなってきたので、その質問には中国語で答えてやった。
したら中国語で質問してくるとか……
次質問してきたら、マイナー言語で対抗してやる。
ああ、面倒くさいよこの人達。
見た目も味も美しい前菜、物体Xを口に運びながら、そう思った。
これでは、酒も食事もおいしくない。
空気悪いし。
しかも、後ろの人物は殺気が隠し切れてませんから。
さっき忠告した本人がやってどうする……
何このカオス。
夕飯ぐらいは美味しく食べさせて……
お願いだから。
本当は、がっつりいきたいんだ。
ドレス着てるからお上品に食べてるけど、マナーなんぞ総無視オーライでいきたい。
パン1個といわず、3個ぐらい食べてしまいたい。
スープもお代わりしたいんだい。
ダイエット?
何それ、おいしいの?
マナーのせいでちまちま食べてるんだから、せめておいしく食べさせて……
結局、空気は悪いままだし。
話すと、多重放送になるし。
んじゃ、残る選択は沈黙。
ひたすら黙って、食事して食事して酒飲んで食事して、酒飲んで酒飲んで何かつまんで酒飲んで、そして部屋に帰った。
2人?
知らん。
適当に置いてきた。
隊長に送ってきてもらって、そこで隊長は帰って行った。
なんか帰り際の隊長の背中が、しょんぼりしているでっかい犬みたいだった。
私は、そのままベッドにダイブ。
とは、いかなかった。
ナリアッテが、着替えを用意するとか、湯あみとか言っている。
う~眠いです。
あー、本当に今日の夕食は疲れたー。
逃避に、飲酒を使ってしまった。
そして、飲みすぎた。
肝臓にキタ。
確実にキタ。
これはやばい。
そういえば、1度エコーで見てもらいましょう。とか、去年の健康診断で言われたんだった。
この歳で脂肪肝とか、シャレにならないから。
脂肪肝って放置すると、肝炎→肝癌コースなんだよな。
そして、そのコースをたどらない様にする為には、断酒 という苦行が待っている。
ああ、そういえばとっておきのワインがまだ家のセラーの中に……
飲み頃をケチった私が悪いのね?
ワインの神様がお怒りなんだわ。
あ、何だか涙が出てきた。
エコー検査か~。
帰ったら、CTと胃カメラと心電図とエコー受けなきゃな。
ちょっと待て。
なんか検査内容がこの2日で増えているのは気のせいか?
主人公酔っています。
精神疲労しているので悪酔いしそうです。