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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者、従騎士になる
216/228

216.

大声を出してジェイが戻ってきた。

うるさい。

「ジェイ、騒ぐな」

ウィルがジェイに注意している。

「ごめん。それよりなんか面白そうな話してるけど」

「うん、リプファーグとクィリムが今から剣で賭け勝負するんだって」

心なしかジェイの目が煌めいた気がする。

「うわ、何それ面白そう」

錯覚ではなかった様だ。

自分もという幻聴が聞こえる。

「そんなことより、先に夕餉をとれ」

ウィルが夕食を促す。

「あっそうだった」

もしかして、忘れてた?

食欲魔神のジェイが珍しい。

「でもさ、自主練ならともかくとして、試合形式にするんだったら教官呼んだ方がよくない?」

ジェイがそう提案してきた。

喧嘩中の2人が白熱すると思わぬ怪我もあり得るので、呼んだ方が良さそうだ。

それに勝敗が関わると、素人判断の判定じゃ後々禍根に繋がりかねない。

水掛論争にまで発展すれば、更に面倒になる。

ここは有無を言わさぬ判定人が欲しいところだ。

まあ、私闘を禁じられてなければだが。

「賛成だな」

「そうだね。前の担当教官にお願いするのは?あの人なんだか暇そうな印象あるし」

「うん、いいんじゃないかな?」

おいジェイ、食べるか話すかどちらかにしないと、ほらこぼれてる。

「わわ、ちょっ、レイいきなり何するんだ」

何ってお前、その惨状を見て見ぬ振りをしろと?

持ってたハンカチでついでに口回りも拭いたら、固まった。

「俺はガキじゃない」

拗ねた犬みたいになってる。

それが余計子供っぽく見えるのだが、言わない方が良さそうだ。

「あ、リプファーグ、その試合少し待って」

試合の準備を始めるために出ていこうとしていたリプファーグがこちらを不思議そうに振り返っている。

「どうかしたのか?」

先程の案を伝えてみる。

「なるほど、それもそうだな。クィリムもそれでいいか?」

クィリムも異論がないのか、頷いている。

「じゃあ、ここで待ってて。今から呼んでくるから」

「レイ、まさかその成りで行くつもりなのか?」

立ち上がり出ていこうとしたら、リプファーグが驚きの表情で待ったをかけてきた。

「え?何か問題ある?」

何に驚いているんだろう。

「あるだろう。この時間に供も付けず男の部屋に1人で行くなど」

ジェイもクィリムも頷いている。

ん?

何が問題なんだ?

ただ教官呼びに行くだけなのに?

「大体君は何故ここに1人で来たんだ。いつものあの男はどうした」

うぐ。

古傷を……

ヴォイドのことは一旦忘れ様としていたのに。

「あ、うん。色々あって。上からの命令で別任務に着いたよ」

リプファーグが今日何度目かの驚愕の顔をしている。

「なっ、こういう時に役に立たないとは。なんのための護衛だ……」

「え?気づいてたの?」

「あれで気付くなと言う方がおかしい」

そうなの?

どうやらリプファーグは、ヴォイドが護衛だという事に気付いていた様だ。

鋭いんだな。

「えー、俺全然気付かなかった」

「ジェイは鈍いからな」

「え、それ言う?ウィルが言っちゃう?」

だからジェイ、食べてから話そうね。

「話元に戻して悪いんだけど、レイが1人で行くのは俺も反対だよ」

クィリムが少し不機嫌そうに言う。

今日はどうも虫の居所が悪いらしい。

「なので、私が共に行こう」

「なっ」

「んぐっ」

リプファーグから申し出があるが、準備もあるし。

クィリムもな。

というかジェイ、凄い勢いで食べ始めたけど大丈夫かな。

イグプリームさん、ジェイ用にいつも大盛りなんだけど。

喉摘めるなよ。

「あー、じゃあそれならウィルに頼むよ。リプファーグもクィリムも試合準備あるし、ジェイは食べてるから。ウィルはそれでいいかな?」

「ああ、問題ない」

え?

そこで何故他の3人は私に失望してるんだ。

何か気に障ることでも言ったのだろうか……

少し凹む。

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