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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者、従騎士になる
199/228

199.

うわあ、昨日なぜあんなことを語ったんだ……

素面だったのに。

恥ずかしい。

シンヴァーク様とどうやって顔をあわせればいいんだ。

いつもより若干早く目が覚めたので、長めにジョギングし城で風呂に入ってから部屋に戻ろう。

頭冷やそう。

そうしよう。

ジョギングから戻るとすでにシンヴァーク様が目を覚ましていたので、起きぬけのお茶をお出しする。

その間に隊服の用意をし、飲み終わったのを見計らって着替えを勧める。

もちろんボタンどめはミスらなかった。

やればできる子。

誰も誉めてくれないので、自分で誉めてモチベーションあげを計ってみる。

自分で言ってて空しい。

シンヴァーク様は昨日のことには触れてこなかったので、その事に少しほっとした。

そのまま忘れてくれ。

比較的時間に余裕があるので、朝食の準備は急がずゆっくりする事にする。

可動式テーブルを下ろした後、厨房へ行くために階段を下りていると、昨日1階部分ですれ違った騎士がいた。

「あ、今日は飛んでこないんだな」

覚えられていた。

最近周りに忘れてほしい事ばかりが増えていっているような気がする。

身から出たさびというか、自分でまいた種というか。

真綿で自分自身の首を絞めていっている感が否めない。

もう忘れて。

「申し訳ございません。昨日は急を要しまして」

「いや、責めているわけではない。それより君覚えてないか?」

ん?

何を?

「ええと?」

「まぁ、一度しか会ってないしな。実は1ヵ月前の潜入捜査の時に一緒だったんだが。君が女装をして俺たちが元締めのところへ連れて行ったあの捜査の時だ」

おあ。

よく見れば、馬車で御者やってた人だ。

「思い出してくれたか?俺も昨日朝に見かけた時にはさすがに解らなかったが、その後厩舎を通りがかった時に思い出してな。声をかけようかとも思ったが、あまりに楽しそうに世話してるもんだから、声をかけるのをやめたんだ」

あの厩舎の視線の主はこの人か。

頼むから、声をかけてくれ。

それから、あまりニヤニヤしないで。

どれだけ馬好きだと思われてるんだ私。

いや好きだけど。

「あの捜査の時1人で脱出したらしいと聞いて凄い新人だと思っていたんだが、なぜ11番隊での評価がこれだけ低い?」

う、私に聞かないで。

「あはは、きっと仮訓練中の評価があまりよくなかったからではないでしょうか?特に剣術が」

「どんな成績だったんだ……ま、まあ、剣術だけが全てではないからな。あの時自力で脱出できるだけの腕があれば、やっていけるさ。むしろ我々の隊の方が向いているかもしれんしな。11番隊に飽きたら、12番に来いよ。人手は多い方がいいから歓迎されるよ」

就職モテキきました。

お誘い2件目。

どちらも使い潰されそうだが。

それにしても、簡単に異動って出来るものなのだろうか?

「あはは、その時は」

「よう。待たせて悪いな」

その時はお願いしますと答えようとしたら、階段から2人の騎士が降りてきた。

その騎士たちを見上げると、昨日世話になったアイルさんともう一人は見知らぬ騎士だった。

「おはようございます」

こちらにやってきた2人に朝の挨拶をする。

「あれ?レイか。こいつと知り合い?」

アイルさんが潜入捜査の騎士を指差す。

「はい。先日色々お世話になりまして」

「いや、世話になったのは逆にうちの隊だけどな。急な作戦変更だったけど、そうした甲斐があったよ」

「え?作戦って、ひと月前の話だろ?レイが何故関わっているんだ?」

アイルさんの言葉に、その場の空気が凍りつく。

3人の視線が痛い。

「あー、判った。何も言うな。俺は関わらない。何も聞かなかった」

「同じく」

何かを察してか、アイルさんと見知らぬ騎士が勝手に理解を示した。

いや、たんにどう説明しようか迷っただけなんだけど。

「そう言えばアイルは別任務だったな、あの時。すまん、口を滑らした」

あの任務は人には言わない方がいいらしい。

まぁ、おいそれと話はしないけど。

「まぁ、お前だからな。気にするな」

「気にしなくていい」

アイルさんが潜入騎士に対して何か失礼な慰め方をしているが、潜入騎士に気にした様子はみられなかった。

「そうだ、名前。名前を教えて下さい。私はレイ=タダノと申します」

変な空気を覆す為に適当に発言してみる。

名前略したけど大丈夫だよね。

「ああ、そう言えばまだ名乗っていなかったな。私はフィルクム=ルコ=ペオリ=ケィムクシード。フィルと呼んでほしい」

「セラクル=フェング=ジェウェレイ=リチュジハンラス。お前の騎士の上官をしている」

おお。

この人がシンヴァーク様の小隊長か。

「リチュジハンラス小隊長、フィル様宜しくお願いします」

頭を下げる。

「セラで構わない」

セラ小隊長に何故か頭を撫でられているんだが、今ならジェイの気持ちが解るかもしれない。

若く見られたいとは思ってるけど、子供に見られたいわけではない。

この中で一番年上なのは私なのに……


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