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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者、従騎士になる
192/228

192.

大急ぎで自分の洗濯物を持って風呂場へ急行。

ここで洗濯と風呂場・トイレ・洗面台の掃除を一度に済ませる。

清潔なタオル類を所定の位置にセッティングし、洗濯後の洗面台も清潔に保ち汚れがないか最終チェックをしてバスルームを出る。

洗濯物は自室で干すしかないだろう。

ナリアッテに会うため、シンヴァーク様への挨拶もそこそこ急いで城へと向かう。

洗濯場の侍女さんたちにナリアッテの居場所を聞くと、どうもファインさんの部屋へ向かったらしい。

現在ナリアッテは元のファインさん付きに戻っているので、当たり前っちゃあ当たり前か。

さて困ったぞ。

夜会以降会っていないのに、ファインさんの部屋へは気軽に訪問は出来ない。

やはり城の自室かぁ。

情報をくれた侍女さんに、迷惑ついでに伝言を頼む。

城の部屋にしばらくいるので時間があいたら来て欲しい、というような旨の伝言だ。

ついでに洗濯石鹸を1つ侍女さんからわけてもらった。

いい人だ。

笑顔で礼をいい、城の自室へと向かう。

ナリアッテも忙しいだろうから、それほど早くは来れないだろう。

従騎士していて紅茶の入れ方は大体マスターしたので、とりあえず適当にいれて飲んで待つ事にした。

40分待ってこなければ、書置きして次行くしかない。

ナリアッテは思ったよりも早くこの部屋へ来てくれた。

1杯飲み終わるか否かというタイミングだった。

早いな。

「遅くなりまして申し訳ありません」

「全然待ってないよ。それより忙しい時間にごめん。自分では片付けられない問題が起こって」

「いいえ、大丈夫ですよ。それより問題ですか?」

出来るだけシンプルに、かいつまんで説明する。

「一応サイズはこれなんだけど」

待ち針つきの隊服をテーブルに広げる。

最悪自分で手縫いすることも辞さないと伝えてみた。

驚かれた。

「そうですわね、お針子担当の子達がいますので頼んでみましょう。こちらをお借りしますわね?」

「え?あの、自分で」

と言おうとしたら人差し指で言葉を封じられた。

「隊服は恐らく勝手に作ると後で困った事になると思います。担当の者に任せたほうがより確実ですわ。それにこの大きさのあまりがあったりするかもしれません。私にお任せ下さいませ」

笑顔で制されてしまった。

頷く。

「それでは、急ぎ行って参りますわ。出来上がりは直接シンヴァーク様のお部屋に届けるよう伝えておきますので。遅くても明日早朝には届くはずですわ」

思わずナリアッテを抱きしめてしまった。

「本当にありがとう」

自分の不甲斐なさとナリアッテの優しさに泣きそうだ。

「お……お気になさらず。ルイ様のお役にた……立てて嬉しゅうございますわ。こんな事でよろしければ気兼ねなくおっしゃって下さいませ。必ずお役に立ってみせますわ」

離れるとナリアッテの顔が真っ赤になっていた。

しまったきつく閉めすぎた!

「ごめん!そんなにきつく抱き閉めたつもりはなかったんだけど、苦しかったよね!?」

何してるんだ、私は。

ここのところいいとこなしだ。

顔を覗くと一歩下がられた。

え?

「だ……大丈夫ですわ。それより、い……急いでお針子達の所へ行かねば。ルイ様それでは失礼いたしますわね」

目をそらされた上に逃げるように去って行った。

結構ショックだ。

つ……次行こう。

気を取り直し副隊長のところへ向かう。

先触れなしだけど大丈夫だろうか?

いなければ、11番隊長のところへ行きスケジュールの確認しよう。

「失礼します」

副団長の部屋のドアをノックをすると名を名乗るよう促された。

許可が出たので入る。

今は誰もいないらしい。

「今日はよく会うな」

「そうだね」

誰もいないのでいつもの口調で話す。

シンヴァーク様に自重するよう言われているから少し気を使う。

「どうした?」

「あ、いや、実は今朝に借りた隊服返そうと思って」

「大丈夫なのか?」

頷いた。

「結局新調する事になったから」

「そうか」

「これ、ありがとう。元の所に戻しておけばいい?」

勝手知ったる隣の部屋とばかりに扉を開けようとすると止められた。

「だから迂闊だというんだ。男の寝室に勝手に入るな。これは自分でやるから」

隊服を奪われてしまった。

だからこっち見て溜息つくはやめて。

今日1日で溜息恐怖症になりかけてるんだから。

「もしかしてこれ返すためにわざわざ来たのか?」

寝室から声がする。

「そうだよ?あ、ごめん。もしかして邪魔した?」

「いや、今は暇だ。こんな事は人に頼めるだろうに」

寝室から出てきた副団長の顔は笑顔だった。

よかった、どうやら邪魔ではなかったらしい。

「いやいや、これくらいは自分で来ますって」

「そうか?」

「うん。さて、隊服返したし、そろそろ帰るよ」

「え?」

「え?」

首をかしげる。

「あ、すまん。分った」

「そだ、もしかしたらこれから勤務中会えないかもしれない」

「え?」

きょとんとされる。

「なんていうかそういう決まり?みたいなのがあるみたいで。でも勤務外ならいいと思うんだよねって事で、飲み会ヨロシク」

今日1日でこれだけ念押しすれば忘れないだろう。

言いすぎ?

「そんな決まり知らんぞ、俺は。決まりの事はともかくだルイ、お前が来たくなれば来ればいいと思うぞ、俺は。まぁ、お前が来なければ俺から行くけどな」

にやりと笑う。

私もにやりと笑い返した。

「副団長自ら来るなら仕方がないよね。予測不能の事態だし」

「だな」

2人してひとしきり笑った。

「さて、本当にもう行くわ」

「ああ、またな」

「また」

さて、次はっと。

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