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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者、従騎士になる
191/228

191.

「俺に全部言わせただろう」

「何がですか?」

イウフジャミークさんをみる。

「しらを切る気か?」

「いえ、そんなつもりはありません。特に何かをしてもらおうと思ったわけではなく、たまたま偶然です。確かにイウフジャミーク様がいた事で、かなり順調に事は運びましたが」

「たまたま偶然順調に事が運んだ、か。まあいい。そう言う事にしておこうか。レイといったか?」

「はい」

いや、本当に偶然でしかない。

イウフジャミークさんが通りかかったのも偶然なら、流れで部屋へ入ったのも。

たまたま先輩のコレクションの中に私のナイフがあった事も偶然で。

恐らくどれか一つかけても、私の下着は返ってこなかっただろう。

捨てられていなかったのも偶然だな。

「覚えておく」

「イウフジャミーク様、今日はありがとうございました」

彼がいたから助かったのは事実だ。

感謝をこめて礼をする。

「コゥアイル=アイマオイ=ジェウェレイ=イウフジャミークだ」

突然だったので、驚いた。

名前か。

何かの呪文かと思った。

「アイルでいい」

「アイル様、本当に助かりました」

私が再度礼を言うと、またなといってすぐに立ち去った。

時間をとらせて申し訳なかったなぁと思う。

今度会った時にでもまたお礼を言うか。

何とか下着も戻ってきたので、手にある洗濯物は早急に洗おう。

今日中にはもう乾かないので、部屋で一夜干決定。

はぁ、やはり部屋干特有の臭いとかするんだろうか?

嫌だなぁ。

あとは風呂の用意と。

シンヴァーク様の洗濯物も回収せねば。

部屋干中のものを見られたら、かなり気まずい。

と思って中にはいると、所帯染みた洗濯物とシンヴァーク様のくつろぎ姿が違和感を放っていてそれはもう半端なかった。

うわぁ。

洗濯物と貴公子。

面白い構図だが、絵にはならない。

ハンクペアツァさんやアイルさんがうろうろしていた時点で、訓練終了と気付くべきだったか。

早急に回収だ。

「シンヴァーク様お帰りなさいませ。何か暖かいものを追加でお飲みになりますか?」

「いや、いい」

段々この不機嫌さ加減にもなれてきた。

私ではこれは直せないと思うので、早々に機嫌取りは諦めている。

出来る事は、極力接触を避けるか、接触時間を短くすることだ。

「それでは御前失礼します」

あのひらひら揺れている洗濯物が気になって仕方がない。

とっとと回収してささっと収納しよう。

やっとあの所帯くささからおさらばだ。

といっても明日もまた所帯くさくなるけど。

ついたてとか自作してみようか?

と、隊服だ。

1度袖を通してもらわなくては。

不具合がないかチェックしなくてはいけないが、応じてくれるだろうか?

隊服と裁縫道具を引っ張り出しシンヴァーク様の元へ行く。

「お寛ぎ中、申し訳ありません」

「なんだ」

ほんとすみませんねぇ。

「1度こちらの隊服に袖を通しておいてもらおうと思いまして」

「……わかった」

今着ているものを脱いでもらい、副団長に借りた隊服を羽織ってもらう。

見てろよボタンリベンジ。

よし、スムーズに留めれそうだ。

こればかりは先輩とアイルさんに感謝だ。

「お前。この隊服を借りてきたとか言っていたな」

「はい」

ボタンを留める手を休め見上げる。

「誰に借りた」

「え?ああ、副団長にですが。私の知り合いでシンヴァーク様と体型が似ているのは副団長だけだったので」

「副団長、だと?」

雲行きが怪しい。

「はい。一応事情の説明とシンヴァーク様に着ていただくことは了承済みです。快く貸していただいたのですが、何か問題でもありますか?」

「問題だらけだ!副団長のものをおいそれと使用できるわけがないだろう!?いいか?団長や副団長というのはな、軽々しくお会いしていい方ではない。それなのにお前というやつは!お前ごときが会っていい方ではないのがなぜ解らん!」

結構な大声で怒鳴られる。

声が低めなのでかなりの迫力。

シンヴァーク様には今日一日で何回怒られたんだろう。

いくら耐性があってもさすがにへこむ。

「そうですか……。解りました。勤務中にはお会いしないよう、極力注意いたします。お借りしていた分は全て副団長にお返します。その為にはもう1度副団長にお会いしなければならないので、その事だけはご了承下さい。現在隊服の代えがありません。なので新しく手に入れる必要がございます。1箇所心当たりがありますので、そこへ行きシンヴァーク様の隊服を新調してもらおうと思います。つきましては、きちんとした大きさを測らねばなりませんので、今着ておられる隊服を利用して測定したいと存じます。針を刺しますのでどうか動かないようお願いいたします」

これは、時間がなくなりそうだ。

シンヴァーク様のサイズに合わせて、待ち針を刺す。

ほぼ大きさは一緒のようだ。

これでよし、と。

「これで終了です。針がありますのでゆっくりと脱いでいただきます」

ボタンをはずし、そうっと片腕ずつ脱いでもらう。

よし。

「ありがとうございました」

礼をして自室へと行く。

そこでそっと、隊服を置いた。

まずすべき事をしてから、隊服の件を片付けねばならない。

つまり、風呂洗いだ。

これをしておかないとまた怒られそうだ。

次にナリアッテのところへ行って隊服の事を相談し、その後副団長のところへ行き返却。

ナリアッテに相談すると大事になりそうで怖いんだよなぁ。

だから、わざわざ副団長に借りたのに、結局ナリアッテに相談する破目になるとは。

とほほ。

いや、もちろんこれ以上迷惑かけたくないという気持ちもあるんだけど。

これが終われば11番隊長のところへ行き、明日以降のシンヴァーク様のスケジュールを確認。

夕食の時間前までに終わらせなければ、ディナーセッティングに間に合わない。

腕時計を見ると昼の3時。

後2時間以内でこれらをこなさなければいけない。

ふは、急がねば。

目の片隅に捉えたのは、自分の洗濯物。

げ。

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