186.
へこんでばかりではいられない。
時間があまりないのだ、やるべき事をせねば。
厨房へ行って今晩のメニュー聞いてこなきゃ。
「もういい。行け。ここへは今後来るな」
シンヴァーク様から訓練場への出禁くらいました。
1日目で出禁。
笑えん。
「承知いたしました。急用がない限りこちらへは参りません。それでは私はこれで失礼いたします」
敬礼をし、回れ右をして厨房へと向かう。
厨房付近に知っている人物がいないか探すが、残念ながらいなかった。
「何か用か?」
通りすがりの料理人に声をかけられる。
「あ、はい。実は今晩の夕食の内容を知りたくて。主騎士にお出しするお酒を選ぶ参考になればと思いまして。ご迷惑かと思いますが、お教え願いませんでしょうか?」
「ああ、そういう事だったら。今日は、エウェジークのそうだなぁ……26年だな。まだ若いが今日みたいな肉料理には合うんじゃね?」
「ありがとうございます!あの、毎日聞きに来るかもしれません。ここに直接来ればいいのでしょうか?」
「おう、熱心だな。なんか、噂とは違うみたいじゃねーか。役立たずの従騎士さん」
うわ、シェフの人にまでそんな噂が流れているのか。
というか、よく私がその噂の奴だってわかったな。
「なぜ判ったか不思議そうだな」
頷く。
「少し毛色の違う奴がそうだと聞いていたからな。1目見てすぐに判った」
「そ、そんなに目立ちますか?」
そうか、見た目って意外と重要だからな。
髪色でも変えたら目立たなくなるだろうか?
「そうだな。まぁ、気にすんな。初めのうちしか失敗はできんからな。今のうちにとことん失敗しておいて、後は間違いないよう進めばいいと俺は思うぜ。少なくとも俺はそうして這い上がってきたからな」
慰められた。
だが、言っている事はまともだ。
経験というやつか。
「ありがとうございます。頑張ります」
「おう」
「では、又明日も伺いに参ります」
「他の奴にも伝えておいてやるよ。がんばんな」
これは嬉しい。
今日はついているんだかついていないんだか。
「はい。それでは」
思わず笑顔で別れの挨拶をする。
さて、26年ものか。
担当教官のところにあまってないだろうか?
行ってみるか。
「で?俺のところに来たと?」
「いやあ、いつも余分に所有している印象がありまして」
「どういう印象だよ。まぁ、エウェジークの26年ものなら確かにあるけどよ。お前、毎日俺の所へたかりに来るつもりか?」
う、痛いとこついている。
毎日は無理だからねぇ、さすがに。
さて、どうしようか。
酒の買い付けはまず諦めよう。
資金がない。
「あのなぁ、酒蔵にいってそこの管理人に言えばいいじゃねぇか。隊士に配られる酒の枠があるからよ。まぁ、今日は俺のを持っていけばいいけど」
そんなのがあるの!?
道理で、担当教官のところにはいつ来ても酒が充実しているわけだ。
「俺のとこに来たから、知らねぇとは思ってたが」
あいまいに笑っておく。
「その顔、早速洗礼を受けてるな。まぁ、お前なら飄々とかわしていきそうな気がするが」
「何とかしますよ」
にやりと笑ってみせる。
「その意気だ。じゃあこれをやる」
26年ものを手に入れた。
「ありがとうございます。助かりました」
「まぁ、辛くなったら言え。酒の相手くらいしてやるよ」
「ええ、その時はお願いします。それでは。本当にありがとうございました」
担当教官から聞いた酒蔵へ早速行ってみると、そこは天国だった。
何ここの収蔵数。
管理人に説明を受け、11番隊専用のブースへといく。
なるほど、明日からここへ来ればいいのか。
説明によると、騎士は1日1瓶までなら大丈夫なようだ。
従騎士は3日に1瓶。
1瓶なんて1日で空けてしまう。
ちびちびいけるのを探さないと。
管理人に礼を言い、そこを出た。
どうしよう、厩舎と酒蔵は意味も無く入り浸るかもしれない。
場所も近いし。
少し気分がよくなり、酒蔵から部屋に戻る。
その途中、あのPCに映っていた従騎士がいた。
気分が一気に下降する。
逃すか!
下着ドロ!