181.
急いで厨房に食器類を戻し、部屋のクリーニングをする。
ともかくソース類がやばい。
後、鍵つけよう。
そうしよう。
ここのとびら鍵ないから、誰でも入ってこれて無用心だ。
それから犯人見つけ次第締める。
隊服の恨み忘れまじ。
駄目だ、何だか頭が混乱している。
落ち着け。
部屋のにおいと汚れを取ったら、まずはナリアッテのところへ行こう。
副団長のところへは先ぶれ出してもらわないと行けない。
うっかりしていた。
ついでに、クロスの汚れが取れるか聞いて、副団長のところへはそれからだな。
副団長に会ったら隊服2着ほど借りて、鍵の相談をする。
そこから日常業務か。
うわ、今日忙しいわ。
一通り掃除をし、部屋の床がきれいになった。
と思いたい。
臭い……
こればかりは窓をあけっぱにしないといけないがあんな事のあった後だ、怖くて出来ない。
扉には鍵がないので、しばらくはそのままでいくしかない。
仕方がないので、少し仕掛けを。
従騎士室で無事だったPCを日差しのいいところへと置く。
これで充電切れはおきない。
カメラをセット。
留守中の部屋の中の動きをモニターできるようにする。
カメラは常に扉をチェックしているので、誰かはいってきた瞬間を撮ってくれるはずだ。
PCを調度品と一体化するようカモフラージュしておく。
これでぱっと見は何か判らないだろうし、目立たない。
犯人は調度品など高価なものには手を触れないようだし、ここにおいて置くのが一番いいだろう。
同じ犯人であればの話だが。
よしこれで準備は出来た。
さぁ、来い犯人。
いや、来るな。
掃除が面倒だ。
さてと、ナリアッテ、ナリアッテと。
彼女を見つけるために結構時間を費やした。
城といっても広いので、朝にいそうな場所を片っ端から探しまくったからだ。
やっと見つけて事情を話し、クロスの頑固汚れを取る方法を聞いた。
捨てるそうだ。
そう、なのか。
新しいのを見繕ってくれるといわれたので、今回は言葉に甘える事にした。
「それにしても珍しいですわね。ル……レイ様がこのような失敗をするとは思いませんでしたわ」
ナリアッテには、けつまずいてテーブルの上のものをぶち撒かしたと言っておいた。
なんか本当の事を言ったら大騒ぎになりそうだったから。
「あはは。まぁ、そういう時もあるんだよ。慣れない環境で疲れたのかな?あ、そうだ。副団長に相談事があるんだけど、迷惑ついでに先触れを出してくれるとありがたいな」
「あら?構いませんわ。それにしてもレイ様、ヴォイドはどうしました?見当たらないのですが」
あー、ヴォイドの事知らないのか。
私も言ってないしな。
「実は、従騎士になるに当たって、ヴォイドの業務に支障が出てきそうだったんだ。レイとして働く分に護衛は必要ないだろう?だから、本来の仕事に戻ってもらうにはちょうどいい機会かな?と思って。それで、外れてもらったんだ」
「な!では、今おひとりなんですの!?」
「そうなるな。正確には違うけど」
「それは、大丈夫なんですの!?」
両肩を掴まれ揺さぶられる。
「い、今のところ何も問題はないけど」
「そうではなく……あぁ、きっと又違う解釈を……」
え?
解釈?
何の?
「おほん、失礼いたしました。ともかく危険を感じたらすぐに逃げてくださいまし」
「う、うん。わかった。そうする」
最近やたらと逃げる事を勧められるんだが、私の知らないところで何か起きてるんだろうか?
「それでは、今から先触れを出しに行って参ります」
「助かる。ありがとう。ナリアッテ」
「どういたしまして。レイ様のためなら私、何でもいたしますわ。何よりも優先して」
「優先はしなくていいからね。自分の仕事を優先しよう。断る時は断ってよ?」
「わかりましたわ」
本当に分かってるのかな。
うーむ。
時々本当に仕事うっちゃってる時があるからなぁ、ナリアッテ。
自分が原因なのが心苦しい。
「今は仕事も一段落しておりますの。お任せください」
城の部屋で待ち合わせをし、そこで待つこと5分。
ナリアッテが入ってきた。
副団長は今なら大丈夫だということで、早速向かう事にした。
クロスはこの部屋に置いておいてくれるらしい。
ありがとう、ナリアッテ。
帰りに寄ろうっと。