180.
朝の仕事は、寝起きのお茶だし、着替え、朝食の準備、洗顔などの身支度の手伝い、訓練所までの付き添い、部屋の片付けと掃除、そして洗濯か。
昼食は食堂で食べるようなので準備はいらないとして、午後からは夕食の内容の確認とその準備、あとは風呂の用意だな。
それから、洗い終わった洗濯物の回収っと。
他は何をすればいいんだ?
スケジュール管理か。
夕方になるまでに隊長の所へ行って、シンヴァーク様の明日の行動予定を聞いておこう。
夕方になったら訓練所に迎え。
帰ってきたら風呂に入ってもらう。
湯浴みの手伝いがいらないようなら、その間に夕食をセッティング。
お茶の用意と。
夕食の後片付けが終わったら、酒を用意して、就寝まではフリーか。
衣装を片付けながら、今日の行動を考えてみた。
もっと色々やる事がありそうだが、それは後々追加していくしかない。
OJTの内容はおぼろげになら覚えているので、作業をこなす内に思い出す事を期待したい。
「おい、いつまでやっている」
どうやら、朝食は食べ終わっていたようだ。
しかも顔まで洗い終わっている節がある。
ひげがなくなっていた。
「はい、ただいま。訓練所へ向かわれますか?」
私が問うと頷いたので、そこら辺に倒れていた剣を拾い持つ。
奪うようにして剣を取られた。
「では、お供いたします」
「お前は来なくていい」
即座に拒否をされた。
「はい。ですが、まだ場所を把握いたしておりませんので、本日は同行させていただきます。明日以降はお供いたしませんので、ご安心ください」
相当嫌われたぞ、これは。
とりあえず笑顔で答える。
「念のためにお聞きいたします。迎えはいりますか?」
「いらない」
「かしこまりました」
礼をする。
存在自体が邪魔なような気がするので、気配を消してついていく事にした。
シンヴァーク様の後を2m半程離れて。
それぐらいの距離があれば十分だろう。
しばらく歩いていくと、シンヴァーク様が立ち止まり後ろを振り向いたので、つられて自分も振り向く。
誰もいない。
誰かいたんだろうか?
思わず首をかしげた。
全然気付かなかった。
前を向くとまだ見ているので、どうかしたのかと聞いてみたが返事はなかった。
無視ですか。
そうですか。
再び歩き始め訓練所までそのまま一気に進む。
訓練所までの道はこれであらかた覚えた。
単純なので、迷うことはないだろう。
「シンヴァーク様、私はこれで。訓練頑張ってください」
一応笑顔で暇の挨拶をする。
あいかわらず、無視されるが気にしない。
反応がないので、一礼をしてその場を後にした。
取り敢えず、早めにあの部屋を片付けよう。
帰る途中すれ違いざまに笑われた。
制服は従騎士だ。
恐らく先輩従騎士だろう。
なぜ笑われたのか、その原因は自室に帰ってよく判った。
荒らされていたのだ。
それは見事に。
調度品など高価なものは無事だったがテーブルクロスや私の服やらがひどい事になっている。
許せないのはシンヴァーク様の服まで荒らしていっている事だ。
隊服がずたずただ。
これは不味い。
明日の分までやられている。
私服は何とか難を逃れているようだ。
盗まれたものはないと思いたいが、こればかりはシンヴァーク様に確認してもらうほかないだろう。
朝食の後そのままにして出て行ったが、お皿などの割れはない。
音を鳴らすのを敬遠したためか、避けたようだ。
ともかく助かった。
床を拭くだけで済みそうだ。
高価そうなじゅうたんも、被害は少ないようだし、相手が小心者でよかった。
さて片付けるか。
修復不可能な服は雑巾にするため、裂く。
去らば私の服。
クムージォさん、ジーマごめんね。
少しぬらし、床を拭く。
真っ白のクロスは、洗っても落ちないだろう。
油とソースの前衛的な抽象画になってる。
後でナリアッテに相談にいこう。
クロスの落とし方と服の調達について。
問題はシンヴァーク様の隊服だ。
すぐに調達となると難しいかもしれない。
誰かに借りるか?
一番近い体型は、副団長だな。
言ったら貸してくれるかな?
食器類を戻したら先に副団長執務室へ行ってこよう。