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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者、従騎士になる
179/228

179.

今から取りに行くにしても、ここに朝食を置くのは非常に不安だ。

何かある、絶対。

あ、そう言えばお茶をセットする台の中に、鹿革っぽい布がおいてあった。

あれで磨けば銀食器光るんじゃ。

いやいや、このカテラリーが清潔だとは限らない。

やはり厨房か。

とりあえず朝食類を部屋に置きに行き、一旦引き返すほうがいいだろう。

「失礼します」

「入れ」

「申し訳ありません。朝食の準備が遅れております。そのまましばらくお待ちください。朝のお茶を先にお入れいたしますので」

部屋に戻り、説明をして先に紅茶の用意をする。

紅茶の入れ方は地球のと同じやり方でいいんだっけ?

ナリアッテはどうしていた?

ああ、どうか紅茶に異様に執着する人ではありませんように。

淹れるとすれば、目覚まし代わりに濃い目のストレートか。

アッサムみたいなのがあればいいんだが、この国のお茶の種類はよく判らん。

もったいないが、茶葉数種類淹れて味見させてもらい、そこから一番アッサムっぽいのを探す。

最終目標は、フォートナムメイソンのロイヤルブレンドだ。

ブレンドは味が判ってからしか出来ないから、今日は一種類ずつ茶葉を確認。

その中から一番アッサムに近いものをお出ししよう。

これで時間稼ぎが出来ればいいが。

「お茶です。どうぞ。なにぶん慣れないものですのでお好みに合わないかと思いますが、その時はおっしゃってください。では、御前失礼します」

適当に言って、逃げてきた。

おっしゃってくださいと言いながら去るとか、ないわ。

ない。

そんなことより、今はカテラリーだ。

念のために持ってきた布にくるまれたカテラリーと鹿革っぽい布を片手に、厨房へと走る。

見つかったらかなり不味い。

ええい、階段を降りるのが非常にもどかしい。

窓から降りれないだろうか?

外をのぞく。

誰もいない。

気配も感じない。

いやいや、ただでさえ目をつけられているのだ。

ここは、堪えよう。

階段の手すりを飛び越え2階そして1階へと飛び降りていく。

1階部分で騎士に見つかった。

即座に体制を整え、敬礼をし謝罪を入れる。

「申し訳ありません!急いでますので失礼します!」

「……」

何も言われなかった。

セーフ。

厨房へと急ぐ。

「失礼します!」

厨房につくと大声で叫んだ。

そうしないと朝の厨房は誰も聞いてくれないのだ。

厨房は現在交戦中。

「ん、あれ?お前この間まで城にいた奴。こっちに用か?」

城でよく見かけた人だ。

よかったよく見る人がいて。

「ええ、本日よりこちらでお世話になる事になりまして」

「その制服はいつもと違うな。従騎士になったのか?」

「はい」

「そうか。それで?」

事情を話し、カテラリーを見せる。

「これはひどいな。俺たちに喧嘩売っているとしか思えない。食器は俺たちが丹精こめて……あ、いやすまない。これは俺が預かる。新しいのをもって来てやるから少し待ってな」

「申し訳ありません。お願いします」

ほどなくして新しいのを持ってきてもらった。

深く礼をとり、シンヴァーク様の部屋へと急ぐ。

階段付近でまたあの騎士を見かけた。

敬礼をし通り過ぎる。

ともかく急ぐので出来るだけ階段を跳ばし駆け上がる。

10分かかったか?

いや、判らない。

まぁいい、とにかく入ろう。

息を整える。

「失礼します」

「入れ」

心なしかどうでもよさげな声だ。

「大変お待たせいたしました。今からご用意をいたします」

テーブルを広げ、クロスのしわを伸ばす。

よしまだ暖かい、助かった。

もらいたてのカテラリーを、いつもナリアッテが置くようにして並べ、料理も温かいのを手前に置いていく。

全て置き終わり、再度お茶を入れ直す。

さっきのアッサム風茶葉を使って今度は飲みやすいように、もらっておいた暖かいミルクをいれる。

朝食は結構がっつり系だ。

朝から重いわ。

あ、何も聞かずに勝手にミルクを入れたがよかったんだろうか。

好みに合わなかったら言って来るだろう。

とりあえず出す。

これで全部出たな?

よし。

「お食事終わりましたら又お呼びください。御前失礼いたします」

敬礼をして、従騎士室へと引っ込む。

うわぁ。

どうしよう、シンヴァーク様とどう接していいか判らん。

OJT中の意識は飛んでたからここ数日一切記憶ないし、顔合わす回数も少なかったから会話は成立してないし。

初日から失敗した感、半端ないわ。

まぁ、別に馴れ合う必要はないけどね。

あまりにも距離が近いから、ストレスがたまりそうだ。

少し落ち着いたところで一旦外に出る。

時間ある間にあの衣装でも整理しておこう。

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