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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者の最終試験
176/228

176.

食堂に行くと、皆そろっていた。

「あ、戻ってきた」

「遅くなってごめん」

とりあえず先にご飯を食べる事に。

訓練生としての食事も今日で最後になりそうだ。

味わって食べよう。

あ、この肉おいしい。

「そうだ、例の件の許可取れたよ。で、追加連絡事項なんだけど」

おいしい夕飯も食べ終わり、ひと段落ついたところで連絡事項を切り出す。

ここの鍵は副団長が持っているから、使用する時は副団長の部屋まで取りに行く事になること。

シェフのイグプリームさんがここの厨房を使うこと。

副団長の名が出たことに、少し皆たじろいでいる。

「なるほど、解った。問題は鍵を誰がいつ取りに行くかだと思うのだが」

ウィルが思案顔だ。

「多分、面識がある私かヴォイドが取りに行きやすいかもしれないけど、うまく明日抜け出せるかが問題だ」

「ていうか、副団長と面識あるとか、レイって何者」

クィリムに詰め寄られる。

近い近い。

「いや、まぁ災難に巻き込まれ続けていれば、会えるようになるよ」

「それは嫌だなぁ。話はしてみたいけど」

「レイ……どんな災難に……」

ジェイに同情された。

まぁ、色々ありまして。

「明日は私が取りに行くよ。食堂が閉まっていたら、鍵を取りに行くのが無理だったという事で。代わりに取りに行くか、そのまま帰るかは任せる」

「それでいいんじゃない?」

「うん、鍵についてはおいおいって事で」

「解った、そうしよう」

決まったところで宿舎に帰った。

それにしても、明日から従騎士か 。

自分の人生の中で、まさか騎士とかいう職業に就くとは思わなかったな。

「あ、そうだ、ジェイ」

従騎士に就くにあたって、気になる事が出来たのでジェイに聞く。

ヴォイドは色々はしょっていそうだし。

「ん?何?」

まだ入るのか。

どこかから仕入れてきたらしいおつまみを口にくわえている。

結構今日の食事ってボリュームあったように思うんだけど。

「だって、腹減るし。それよりどうした?」

「ああ、明日の事なんだけど、教官から明日直接挨拶にいってそこで仕える騎士の発表やら部屋やらが決まるらしいんだけど、他に何か聞いているかと思って」

「ああ、明日隊長の所へ行って、いろんな手続きを済ました後、従騎士だけが集まって何かするみたいな事言ってたよ。何日間かかけて従騎士の心得がどうとかこうとか」

OJTか?

いきなり従騎士に就いても、仕事内容は確かに想像がつかない。

完全な未知の世界だ。

そういう初心者向けのトレーニングがあるというなら助かる。

「他には?」

「これといってなかったな。部屋の移動は明日中にしなくてはいけないくらいかも」

「そうか、ジェイありがとう」

明日中に移動ということなので、いつでも移動出来るように荷物をまとめておいた。

といっても増えた荷物は行軍訓練で失ったと思った武器と貿易都市で手にいれた服2着だけなのでまだまだ身軽だ。

徐々に眠気が来たので、その日はそのまま休む事にした。

ジェイが最後なのにと色々言っていたが、この眠気にはかなわず眠りに身をゆだねた。

朝6時に目を覚ます。

ジョギングが今日から解禁なので、軽く走る事にする。

久々なので少し足が重い。

半周だけして城に行き、軽く風呂に入って宿舎に戻った。

皆はすでに身支度が整っているようだ。

「いよいよだな」

ウィルがしみじみという。

貴族という生まれながらも庶民と暮らした事で、何か得るものがあったのかもしれない。

かつての顔つきとはまるで別人だ。

いい変化をしたんだな。

「ああ。この1ヶ月お世話になりました」

ウィル・ジェイ、それからヴォイドにも頭を下げる。

楽しい時間を過ごせてよかった。

ことのほか幸せたっだ。

「よせよ。世話になったのは俺のほうなのに。このひと月すげぇ楽しかった。ありがとよ。ウィルとヴォイドもな」

どこかジェイの目が潤んでいるのは、見ない振りをしよう。

彼にはこのまままっすぐ成長をしてほしい。

時々向こう見ずなのが心配ではあるが、彼の気質ならきっとこれからもいい仲間に恵まれ日々を過ごしていくのだろう。

「ああ、私もだ。レイは何かと色々な事に巻き込まれやすいような気がするから、気をつけろ。ジェイはもっと周りを見るようにな。ヴォイド、色々とありがとう」

「ああ、存外楽しかったよ。ウィル、ジェイ」

「じゃあ、そろそろ行こうか」

私の一言で空気が変わる。

「ああ」

誰が言うともなく、握手を交わし1ヶ月世話になった部屋を出た。

出ると廊下に隣部屋の連中がなぜか立っていた。

「遅い」

別に待ち合わせをしたわけではないと思うが。

「レイ、行くのか?」

リプファーグが声をかけてくる。

「ええ」

「そうか、色々迷惑をかけたな。君は時々危なっかしいから、決して周りの男に気を許すな。ヴォイド、癪だがあんたしかレイを守れない。気をつけておいてくれ」

ヴォイドはそれに返事をせず、方眉だけを上げる。

「君に何かあった時は、今度は俺が助ける。困った事があったらなんでもいいから相談してくれ。必ず力になるから」

あまりに真剣に言うものだから、姿勢をただす。

「ありがとうございます」

「俺も俺もだからな!レイってば、結構1人で何でも背負い込むからさ、時には頼れよな。あとお前らもだよ!」

「クィリム、ありがとう。そんなつもりは、全然ないんだけど。でも、これからはそうするよ。では、リプファーグ、他の皆さんもまたいずれ」

最後に笑顔でさよならできるとは思わなかった。

リプファーグとは色々あったから。

こういうスッキリしたまとまり方は好きだわ。

さて、そろそろ行こうか。





「言った傍から……あぁ、心配だ……」





あれ?

何か言った?

止まったままだけど皆行かないの?


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