175.
「で、話ってのは何だ?」
「実は、同期会ってのを作ったんです。で、その活動許可および仮訓練生用食堂の拠点としての使用許可がほしいと思いまして。活動内容は情報交換と鍛錬です」
「お前は、じっとしておれんのか」
おれません。
「まぁ、なんて楽しそう」
ナリアッテが怖い。
やはり場所を移動しておけばよかった。
「だめ?せっかく共にひと月頑張ってきたのに明日から、はいさよならじゃつまらないでしょ?お互いの近況を報告し合う事って悪い事ではないし、人脈と情報は金脈だよ?手離すには惜しい」
副団長が難しい顔をする。
「まぁ、堅苦しく言ったけど、要は皆集まってわいわいくだらないお喋りをする場がほしいだけなんだよ。宿舎にもどった時のように、いつものメンバーと」
副団長がひとつ溜息をつくと、わかったとだけ一言つぶやいた。
おしっ。
「ただし、問題を起こすなよ」
「そんなへまをすると思う?」
と言うと、なぜかその場の全員がうなずいた。
結構ショックだ。
「おまえは、問題の方からやってくるから、気をつけろ」
なにそのゴキブリほいほい的なの。
失礼な。
「食堂には鍵がかけてあるはずだ。フォグフォード爺さんが鍵の管理していたはずだが……あ、明日から孫に会うために休暇申請が出ていたな、そういえば」
今日しか会えないのでは。
「その人はどこに?」
「厩舎の横の小屋で住み込みしているんだが、もしかして今から行く気か?」
「もちろん」
即答すると、盛大に溜息をつかれた。
「病み上がりの癖に。俺が話をして鍵をもらっておくから、必要な時に俺のところまで取りに来い」
「了解しました」
敬礼をすると、なぜか嫌そうな顔をされた。
何で?
「話はそれだけか?」
「飲み会のセッティングよろしく」
「あぁ、忘れてた」
あちゃーと言う仕草をしている。
私は覚えていますぜ。
「お前の怪我が完全に治ったらな」
思わずにやりとしてしまう。
うまい酒。
「後、行軍訓練から帰ってくる時に貿易都市でエンブレムを盗まれた。この間の夜会と関係が?」
片眉がピクリと動いたので、ほぼ間違いないだろう。
「あぁ、いい、いい。巻き込まれたくないから言わなくていい。ケイオエルジュという元締めの子飼いに盗まれたとだけ伝えておくよ」
「ふむ。話がそれだけなら、俺は今から鍵をもらってくるとしよう。お前はもう寝ろ」
ガキじゃねぇ、まだご飯すら食べて無いというのに。
「早いよ」
「はは、じゃあな」
「多分明日か明後日に鍵を取りに行くから」
恐らく、1度それ位に集まる事になるだろう。
「ああ、解った。ともかく怪我を早く治せ。落ち着かんからな、俺が」
「はは、ありがとう」
「おう」
副団長の後ろ姿を見送っていると、ナリアッテの視線を感じた。
なんかキラッキラしておりますが、何でしょう。
「同期会、詳しくお教えくださいませ」
ごめん皆夕飯間に合いそうに無い!